焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

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2章 訪問!紫躍財閥

19話 紫躍財閥の力

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「大変お待たせ致しましたお嬢様。」
運転席から執事が出てきた。
その執事の言葉に智登は疑問を抱えた。
「待たせたって…電話してから30秒もしてないぞ…?」
そう、待つほどの時間がなかったのだ。
「まー柴躍財閥の力を持ってこれはまだまだね。」
「…!!!?!???」
智登は久しぶりに連続で驚いた。
「大変申し訳ございません。」
「ふふっ、冗談よ。いつもありがとっ。」
「もったいないお言葉、感謝致します。」
秋花があまり厳しい人じゃなかったことに安心する智登であったが…
本物の従者はやはり違うなとも思った。

「ご主人様…これは…?」
ちょこちょことこっちにやってきた流卵。
「聞くな、分からん。」
「えぇー…」
智登は状況理解が出来ず今思った事をそのまま流卵に言った。

「さっ、乗って。いい機会だし流卵も来てっ。」
「あっはい。」
「え…来るってどこに…?」

色々と片付かないままリムジンに乗り込んだ3人。
初めてのリムジンに興奮すると思いきや動揺のほうが目立つ二人。
少しの間沈黙が続いた。
しかし…
 
「お待たせ致しました。」
執事がまた待たせたと言った。
「何を待ったんだ僕ら…」
ただ疑問がでてくる智登。
「家に着いたから言ったんじゃない?彼の事だし。」
「は…?」
智登はすぐにリムジンの窓のカーテンを開いた。
そこはさっきまで居た場所ではない。
大きな豪邸が目に見えている。

そう、一瞬で秋花の家に着いてしまったのだ。

「ようこそ、我が紫躍家へ。」
リムジンを降りた三人に近づいてきたのは…
おそらくといわなくとも秋花の父だ。

「パパ!今日ね、友達連れてきたの!」
「そうか友達を!いやぁ娘が世話になっとるよ。」
セリフから高貴な感じは見られない。
しかし、リムジンを降りた広間の真ん中の大きな噴水といい、
綺麗なガーデニングといい…
遠くに見える秋花家の豪邸入り口の廊下にたまる従者達の数といい…
やはりセレブにはかわりない。
(やばいところに来た…!)
二人は同じ事を思った。

「聞いてパパ!パン屋のオーブンが壊れたの!」
「パン屋…?」
秋花にいきなり用件を言われてよくわからない父親。

「あー、僕のパン屋でー 」
「そうかそうかそれは困ったな!すぐに新しいものを用意させよう!」
秋花の言いたい事を理解した父親はすぐに家の中へ入っていった。

「というかご主人様、オーブン壊れたんですか…!?」
「気付かなかった自分が不甲斐ない。」
オーブンが壊れた事を初めて聞いた流卵は焦った。

「それを買うって秋花様!申し訳ないですよ!お父様にも…!」
オーブンが無くなったという事もあるが、なにしろオーブンは高額。
それをただ買ってくれるなんて一般人二人は気が重い。

「いいじゃない、ほら…あたし昔っから友達いないし…だから!パパも嬉しいみたい!」
「だからあんなに張り切ってんのか…」
昔からいなかった秋花の友達。
ようやくできた娘の友達が困っているなら助けたくなる親心。
確かにその気持ちはなんとなく理解できる二人だが…
「それでしたらオーブンより安い物の条件で依頼しますから…!」
オーブンを買うという事に申し訳ない気持ちの二人は秋花を止めようとする。
「いいの。私だって貯金が余ってて使い道に困ってた所なのよ。」
「セレブ怖ぇ…」
お金の使い道に困るのはまだあるが、
余りすぎて困るのはセレブとかにしかできない。

「私はオーブンをパパと一緒に探すから、二人は屋敷で自由に過ごしてて。」
「お、おう。」
智登達は気持ちが落ち着かぬまま秋花家に入ることにした…


「ちなみに秋花、貯金いくら?」
「もうそろそろ8000兆円はいくかしらね。」
「」
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