焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

文字の大きさ
45 / 46
6章 夏休みの休息お出掛け!~後半~

41話 祭りと咲花

しおりを挟む

「お待たせー!」
神社の入り口付近で待っていると、秋花の声がした。

「おっ、来たか。」
秋花が来た。
いつもと違い、華やかな和風姿。
着ていたのは花柄の浴衣だった。

「あれ?他の二人は?」
来たのは秋花以外にいなさそうだ。
「あぁ…実はね、」
どうやらわけありのようだ。
でも理由簡単だった。
仕事明けで疲れ気味の模子を流卵が手を取ってゆっくりこちらへ来ており、
流卵に、先に行ってていいですよ。と言われたので先に来たという事だけだ。

「不安でしかない…」
それを聞いた智登は二人が心配になった。
二人は見た目子供である。
一気に幼子二人ゲットだぜー!という幼児好きに絡まれたりしないか…という事だ。
まぁ…流卵という化け物スポーツ廚がいれば問題ないだろう。
そう思っていると、流卵のつっこみを入れる声がなんとなーく聞こえてきた。

「あれ、香暮はいないの?」
秋花側だけでなく、菜羅も智登の隣にいなかった。
「すまん、見放した隙に…」
「どうしたの?」
智登は深刻そうな顔をした、表情はないけど。
菜羅の身に何かあったようだ。

「女子組に絡まれてどっかいった…」
「モテモテね。」
海同様、逆ナンパされてどっかに言ってしまったのだ。
智登曰く、あいつは頼みを断ることができないからな。だそうで、
しばらく菜羅は合流できないだろう。

「そっか…で…どう?」
二人だと分かった秋花、何故か体を回しながら聞く。
「賑わってるねー、海にいた人もいるよ。」
「そ…そう、そうね。」
智登は単純に秋花にかけられた質問を返したが、秋花はがっかりした様子だった。
「じゃー回る?」
「えぇ。」
他の3人を待ってるのも味気ないので先に二人で祭りをめぐることにした。

サッ…

「あっ……」
秋花は目の前で智登のとった行動に動揺した。
智登が後ろ向きで左手を出してきた。
「どした?繋いで、はぐれると面倒だし。」
「わっ…分かってるわ……」
いきなりの行動に現状を把握できてない秋花。
恐る恐る智登の手に自分の手を伸ばす。

パスッ…!
「にゃっ…!?」
「おそーい、ほら行くよ~」
ゆっくりと動かす秋花の手を掴んだ智登。
秋花は一瞬にして顔を赤く染めた。
…しかし、追撃はまだ終わらない。

人混みの中、手を繋いで歩く二人。
「あー…」
「…何?」
智登はふと秋花の方を見て何かに気づいた。

「いや、浴衣似合うなーって。」
「はぅっ…!?…そっ…そりゃぁ…ね…」
「君は林檎飴か。」
不意討ちの智登の一言は再び秋花の顔を真っ赤に染めた。
不思議そうに見つめる智登、今の秋花は近くにあった林檎飴と似ていた。
顔を下に向ける秋花、手で小さなガッツポーズを見せた。

「どこも混んでてあんまし楽しめないねー…」
「そうねぇ…」
しばらく二人でまわってみたが、人が行列をつくり、並ぼうにも時間がかかりそうで並べない。
ただ、真ん中らへんに行って二人で踊ってみたりしたのは楽しかったらしい。

すると…
「やったー!当たったよー!」
「良かったですね!」
遠くで二人の子供が射的ではしゃいでいる姿が見えた。
「楽しそうねー、大人はいないのかしら?」
その子供達の近くには保護者らしき姿が見えない。
秋花はそれに違和感を感じたが…
「君の目は節穴か。」
智登は逆にその言葉を言った秋花に違和感を感じた。
智登には見えた。
見慣れた短い髪、淡い茶色の服に白いエプロンとキャップ。
「あら本当…思いっきり勘違いしたわ。」
「まじめに子供にしか見えねぇ…」
その子供は高校生、流卵と模子だった。

「おーいチビ女軍団ー」
「お?」「あ?」
早速二人を呼ぶが…その時、二人から聞き慣れない低い声が出てきたのは気のせいだろうか…
合流早々、不穏な空気が流れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

処理中です...