転生×召喚

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スキル童貞食い!!

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-オオカガ アキト++(lv.50)

職業:聖女(??)

HP:4985/5000
MP:9999/9999++(*番付与++)

属性:光∞(使用魔力量なし)・土
属性(番付与):火+(*new)・氷+(*new)・

特殊魔法:転移

スキル:緑の手・光の救い手・童貞食い(*new)

攻略済み

+(デュハン)
+(アルベルト)


取得スキルlv.:

農業:lv.31
製薬:lv.22
料理:lv.56
錬金:lv.10
創造:lv.5
治癒︰lv.30
魅力:lv.70



++++++++++++



 さて。
 さて。
 どうしようかな。
 気になるのは、童貞食いってのと、攻略ってなんだ。
 やっぱりこの世界もゲームの世界なんだろうか。
 僕の名前の横はクリックするとデュハンとアルベルト殿下の名前が表示される。
 童貞って、なんのことだろう。
 僕がいたしたことがあるのは、昨日のアレしかないんだけど、もしかしたらどちらかが童貞だったということか。
 尋ねてみたいけど、これは言葉の暴力になりうる事案だ。
 魔力の補給の筈なのに、身体を重ねたってことでそういう結果になっているのだとしたら二人には申し訳ないことをしてしまった。あとでちゃんと謝っておこう。今は二人しかいないから気まずくて無理。

「魔力量は9999でさっき軽く転移したのに9999だから余裕あるみたい。昨日、二人が呉れた魔力がすごいことになってるみたいだね、これは」
「……そうか…」

 デュハンの頬が赤く染まっているが、今は追及しない。妙な雰囲気になると困る。

「転移する?」
「そうだな、魔力が問題ないようだったら…そろそろアルベルト殿下とキールあたりが魔力の手繰り寄せをしていそうだ」
「なにそれ」
「アルベルト殿下とアキトの魔力は昨日密なものになった。だから、殿下はアキトの魔力を手繰りどこに居るか探り出せるだけの“縁”ができたわけだ」
「デュハンも?」
「俺も出来るだろうが、俺はそこまで魔法に長けていない」

 そんなストーカー的な魔法を使わないでほしいのでホッとしたが、アルベルト殿下は使えると念を押してきた。これ以上待たせると怖いからお城に向かうおうか。

「多分もう魔力切れを起こすことはないと思うんだよ。ステータスも見れるし」
「それはいいことだ。アキトが人知れず倒れているなんて許せない」
「………」

 いい男だよね。
 恋愛ゲームの生徒会長なんてあんなだよ?
 主人公なんて、逆ハー狙いの攻略狂だし。
 そこで、生徒会のメンバーと吉田君のステータスが気になった。

「ねぇ、僕のステータスの職業に聖女って書いてあるんだけど、吉田君とかどうなの?」
「…っ!!」

 デュハンの口がパクリと開いた。呆然としててもイケメンは特別なフィルターが掛かっているんだろう。全然顔面が崩れない。寧ろ、親しみやすさすら出てくる。

「その、アキトが言う少年は自分のステータスを告げることがなく、痺れを切らしたナニが秘密裏に探ったところ、偽者(転生者)と表示されたようだ」
「偽者?」

 何の偽者だろう。
 転生者であることは知ってる。僕も一応転生しているし。あ、でも僕はなんだろうこのハテナマーク。
 僕もそこは転生者ってなるはずじゃないのかな。

「とにかく、アルベルト殿下に早く知らせなくては! アキト、転移を頼めるか? 場所は、アキトが今朝起きた部屋で」
「吉田君達と会わないようにしてよ」
「承知した」

 山のてっぺんから、王都の城まで。距離的にはすごい転移らしいけど、魔力量も表記が大雑把でよく判らない。
 パパっと景色が変わり、僕が寝ていた部屋に戻った。
 転移してすぐに扉が開いて、アルベルト殿下がやってきた。これが“ストーカー”のような手繰り寄せってやつか。早すぎて驚きよりドン引きの方が強い。

「待ちわびたぞ! ずるいではないか、二人とも!! 私もアキトと一緒に行きたかった! 朝食を共にしたのだろう?!」

 半泣きのアルベルト王子が僕に抱きつき頬ずりを仕掛けてきた。おかしいな。この人のイメージは鬼畜だった筈。しかも、デュハンが云うにはニコニコしててなにを考えているか判らない御方だった。

「勿論、アルベルト殿下がそう仰ると思い、アキトに殿下の分を用意してもらいました」
「よし! でかした、デュハン!」

 俊敏な動きで僕からデュハン、そしてデュハンの持っていた袋を掻っ攫っていったアルベルト殿下はブレークタイムだと告げ、部屋にあったテーブルセットに腰掛け、僕が用意したサンドイッチを食べ始めた。
 金髪赤眼の美青年が嬉々としてサンドイッチをほおばる。男らしく、ガブっとだ。上品な見た目なのに、こういうのがギャップ萌えっていうのかな。

「アルベルト殿下って何歳なの?」
「先だって18になられた」
「僕より一つ上…。ちなみにデュハンは?」
「俺は20になる」
「この世界の人って身長が高いから僕の世界から見たらすごく年上に見えるんだよ」
「確かに、あのヨシダという少年はとても幼く見えたな。知能的にも」
「あれは幼く見えるというだけで、中身は場末の娼婦のような態度であった」

 アルベルト殿下の吉田君観察がとっても辛らつだ。これくらいの意思がないと彼のヒロインチャームを避けられないってことか。
 デュハンがアルベルト殿下のお食事中に、僕のステータス云々の話、村の話を一通り話し終えた。とても簡潔で判りやすい報告だった。

「ふん…アキトが聖女だと確信が持てたということか。これは僥倖。しかし、アキトは城で過ごす事が嫌なのだろう」
「正直イヤですね」
「魔力量も問題がないようだし、ユパル村から転移で此方に通ってもらうことは可能か?」
「毎日はイヤですね」
「その辺はアキトの意見も聞こう」
「して、詳しいステータスの具合はどうなっている?」
「教えるのがイヤですね」
「言い忘れていたが、魔法版を使うと製作者であるナニに情報が伝達する仕組みになっているが、デュハンは説明をしたか?」
「すっかり忘れておりました」

 本当のうっかりか、手を組まれていたのか、どっちだ?
 ジトリと二人を睨みつけていると、再度激しく扉が開いた。

「このクソ主従! アキト様に手を出したそうではないか!」
「うるさいのが来おった」
「どうにかしてくださいよ、アルベルト殿下。パン食べたでしょ」

 扉が開いて、昨日見た白い髪の神官服を着た人が現れた。

「こらこら、ナニ。アキトが驚いているだろう」
「なんだと?!」

 どうしたもんかと二人から離れて部屋の隅で様子を眺めていたらアルベルト殿下が余計なことを言うから透ける様な赤い瞳とバチリ目が合った。
 この人は、僕のステータスが判るように助力してくれた人だから逃げなくても良さそうなんだけど、いかんせん眼力が強すぎる。
 睨まれている…! と怯んだ所で、ナニの表情がパッと変わった。花が綻ぶような眩しい笑顔を向けられて逃げクセのついてしまった僕は思わずデュハンの背中に隠れた。

「それか! キールが言っていたアキトの転移というのは! ずるいではないか! お前ばかりが何故頼られるのだ!」
「…身体の面積だと思うんですが」
「と言いつつ、嬉しそうではないか!」

 僕を放ってどんどんヒートアップする二人に目線をやっていたが、強い視線を感じて恐る恐るナニを伺った。

「アキト様…わたくしは貴方を仇なすことなど一切御座いません。後生で御座います、逃げないでください」

 泣きそうなその表情を目の当たりにして逃げてしまったことに罪悪感を感じた。隠れていたデュハンの背中から動いて、ナニの悲しそうな相貌に釣られる様に目の前に立った。
 この人も相当大きい。
 グッと顔を上げて、「逃げてごめんなさい」と謝ればナニは崩れた。一瞬で僕の下に落ちて、床と仲良しになっている。

「アキト様に声をかけられ、逃げることなく目の前に…! 昨日は絶望の淵に居たというのに…!!」

 ブルブル震えてブツブツなにやらくぐもった声で呟くナニは怖い。これはヤンデレ属性やってやつか。初めて見た。

「よせ、ナニ。アキトが怖がっているじゃないか」
「黙れヘタレ金髪」
「なんだと白ホワ」

 どこからかゴングが鳴った音が聞こえた。
 身体をドンドンとぶつけるそれはまさしく不良の挨拶…!

「すまないな。あの二人は旧友でな…口が悪い」
「楽しそうでなによりだよ」

 僕何しにきたんだっけ。あ、そうか転移でどれくらいの魔力が消費されるかだっけ。
 試しにステータス画面をみたけど、MPはかわらずの9999。僕がステータス画面をみていることに気付いたのか、ナニがハッとして頭を下げてきた。

「此方の世界ではほぼ四桁から上を行くものがおりません。ですので、アキト様にお渡しした魔法版もそのようになっておりまして、不便をおかけして申し訳ありません」
「そうですか。その、ナニさんは僕のステータスを細かく承知しているんですよね? 僕のステータスがなにかおかしいというか、聖女って書いてあるのにとんでもないことが…あったり…するんですが…」
「ああっアキト様っ! ナニとお呼びください!」
「私のこともアルでいいぞ、アキト」
「節操なしは黙っていろ!」
「なんだと! 私の童貞から爺貞まで全てアキトに捧げるつもりだ」
「ぶふぉ!」

 まさかの童貞はアルベルト殿下だった。
 その見た目で童貞ってすごい。
 それを僕に捧げちゃったっていうのが問題だけど。でもあれは人工呼吸と一緒でノーカンだと思うんだよね! 今それを言う勇気はないけれど。
 とんでもないカミングアウトに開いた口が塞がらない僕の傍にすすっとやってきたデュハンが「俺も昨日まで童貞だった」なんて言うからもうどうしたらいいのか判らなくなって、思わず低い声で「お、おぉ…」みたいな妙な音が出た。

「つまりは、わたくしの童貞もアキト様に捧げることが出来る…と」
「いぃぃやぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 ナニの頬が薄っすらと染まった。
 これはもしや、スキルの童貞食い…!



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