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稽古後••
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片付けの時間になり、道場内には稽古後ののんびりとした空気が流れていた。
透馬はほうきを持ちながら、隣で黙々と雑巾がけをしている美酒に声をかける。
「なあ美酒、お前ってさ、普段はずっと図書室で勉強してるのにな」
武流も聞き耳を立てながら振り返る。
「たしかに。今日も昼休み、本読んでたろ?」
透馬がにやっと笑う。
「でも道場じゃ、まるで別人だわ。ホントにさっきの動き、反則級だったぞ!」
美酒は一瞬きょとんとしたあと、照れ臭そうにはにかむ。
「ただ、空手のときは集中できるから……。負けたくなくて」
武流が感心したように頷きながら、美酒の肩をぽんと叩く。
「勉強も空手も本気って、かっこいいよな」
透馬も同意するように笑う。
「次は手加減なしで行くからな、美酒!」
三人の会話に、さっきまでの緊張感がほぐれていく。
静かな夕暮れの道場に、仲間同士の笑い声がやさしく響いていた。
話がひと段落し、武流が真剣な表情で美酒に向き直った。
「……本題に入るけど、美酒。慶介の話、どこで聞いたんだ?」
美酒は、少しためらいながらも答えた。
「今日の昼休み。美花ちゃんが、なんだか元気なかったんだ。
それで気になって、『どうしたの?』って声かけてみたの」
透馬も聞き耳を立てる。
「そしたらね、美花ちゃん、とつぜん泣きそうな顔で――
『お兄ちゃん……慶介、停学になっちゃった』って……」
武流と透馬が顔を見合わせる。
「道場にも全然来ないし、最初は試験勉強でもしてるのかと思ってたんだけど、
そんなことがあったなんて知らなかったよ……」
美酒が言葉をつづけるほど、三人の間に沈黙が落ちた。
武流が悔しそうに唇を噛みしめた。
「……そうだったのか。美花が妹なの、つい忘れそうになるな」
透馬が真面目な顔で頷く。
「それで、慶介は今どうしてるんだろうな……」
⸻
武流と美酒の組手がひとまず終わり、互いに礼をして構えを解いた。
道場の空気はまだ熱を帯びているが、どこか静まり返ったような張り詰めた緊張が漂っていた。
ユダが腕を組み直し、にやりと笑いながら口を開く。
「……そういや、西高って最近、急激に卓球部が強くなってるよな?」
唐突な話題に、透馬が「は?」と声を漏らす。
「卓球っスか? あの陰キャ部活の?」
ユダは真剣な目で頷いた。
ユダ
「西校は最近、急激に卓球部強くなってるよな?」
慎二
「ああ。去年まで県大会一回戦落ちだったのに、今年はいきなり優勝。しかも全国大会でベスト8まで勝ち上がった。普通じゃ考えられない飛躍だ」
ユダ
「フフ……努力だけで埋められる差じゃねぇな。道場で鍛えてる俺たちでも、一年やそこらでそこまで変わるのは不可能だ」
慎二
「そうだな。稽古で体を鍛えた経験があるからこそ分かる。あいつらの動きは、“鍛錬”じゃなくて“何かを仕込まれてる”感じがする」
ユダ
「仕込まれてる……か。ククッ、面白ェじゃねぇか」
慎二
「ユダ、お前は笑ってる場合じゃない。西校の背後に何かある。普通の監督や顧問じゃ説明できねぇ」
ユダ
「なら探りに行こうぜ。鬼学の名を掲げて、あいつらを卓球台の上で丸裸にしてやる」
慎二
「……お前は本当に突っ走るな。だが、俺も気になってる。“導く者”がいるのなら、見極める価値はある」
透馬はほうきを持ちながら、隣で黙々と雑巾がけをしている美酒に声をかける。
「なあ美酒、お前ってさ、普段はずっと図書室で勉強してるのにな」
武流も聞き耳を立てながら振り返る。
「たしかに。今日も昼休み、本読んでたろ?」
透馬がにやっと笑う。
「でも道場じゃ、まるで別人だわ。ホントにさっきの動き、反則級だったぞ!」
美酒は一瞬きょとんとしたあと、照れ臭そうにはにかむ。
「ただ、空手のときは集中できるから……。負けたくなくて」
武流が感心したように頷きながら、美酒の肩をぽんと叩く。
「勉強も空手も本気って、かっこいいよな」
透馬も同意するように笑う。
「次は手加減なしで行くからな、美酒!」
三人の会話に、さっきまでの緊張感がほぐれていく。
静かな夕暮れの道場に、仲間同士の笑い声がやさしく響いていた。
話がひと段落し、武流が真剣な表情で美酒に向き直った。
「……本題に入るけど、美酒。慶介の話、どこで聞いたんだ?」
美酒は、少しためらいながらも答えた。
「今日の昼休み。美花ちゃんが、なんだか元気なかったんだ。
それで気になって、『どうしたの?』って声かけてみたの」
透馬も聞き耳を立てる。
「そしたらね、美花ちゃん、とつぜん泣きそうな顔で――
『お兄ちゃん……慶介、停学になっちゃった』って……」
武流と透馬が顔を見合わせる。
「道場にも全然来ないし、最初は試験勉強でもしてるのかと思ってたんだけど、
そんなことがあったなんて知らなかったよ……」
美酒が言葉をつづけるほど、三人の間に沈黙が落ちた。
武流が悔しそうに唇を噛みしめた。
「……そうだったのか。美花が妹なの、つい忘れそうになるな」
透馬が真面目な顔で頷く。
「それで、慶介は今どうしてるんだろうな……」
⸻
武流と美酒の組手がひとまず終わり、互いに礼をして構えを解いた。
道場の空気はまだ熱を帯びているが、どこか静まり返ったような張り詰めた緊張が漂っていた。
ユダが腕を組み直し、にやりと笑いながら口を開く。
「……そういや、西高って最近、急激に卓球部が強くなってるよな?」
唐突な話題に、透馬が「は?」と声を漏らす。
「卓球っスか? あの陰キャ部活の?」
ユダは真剣な目で頷いた。
ユダ
「西校は最近、急激に卓球部強くなってるよな?」
慎二
「ああ。去年まで県大会一回戦落ちだったのに、今年はいきなり優勝。しかも全国大会でベスト8まで勝ち上がった。普通じゃ考えられない飛躍だ」
ユダ
「フフ……努力だけで埋められる差じゃねぇな。道場で鍛えてる俺たちでも、一年やそこらでそこまで変わるのは不可能だ」
慎二
「そうだな。稽古で体を鍛えた経験があるからこそ分かる。あいつらの動きは、“鍛錬”じゃなくて“何かを仕込まれてる”感じがする」
ユダ
「仕込まれてる……か。ククッ、面白ェじゃねぇか」
慎二
「ユダ、お前は笑ってる場合じゃない。西校の背後に何かある。普通の監督や顧問じゃ説明できねぇ」
ユダ
「なら探りに行こうぜ。鬼学の名を掲げて、あいつらを卓球台の上で丸裸にしてやる」
慎二
「……お前は本当に突っ走るな。だが、俺も気になってる。“導く者”がいるのなら、見極める価値はある」
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