目醒めぬ悲愴の姫

絢麗夢華。

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Prolog

目次:少女

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少女は眠って居た。
大勢の見舞いが後を絶たない。
あれから、もう幾年経つのだろうか。
少女が目醒める日はもう二度と来ないと言うのか。
失意に塗れた少女の周辺の空気は非常に重たかった。
これが通常の空気であろうと言うのなら、当然である。
何年も目醒めぬ人間の周りが明るければ人間性を疑う。
しかしその少女を心配するものがどれだけ居れば、その重さに釣り合うのだろうか。
そう、周辺の人間の心配事は、自身の事でしか無い。
目醒めぬ少女を心配している者がこの人数の中で数える程しかいないと言う現実が余計にこの空気を重くしていた。
少女が目醒めぬ事を心配するもの。
少女が目醒める事を心配するもの。
相反するふたつは正反対で、そっくりだった。
守るべきもの、失うべきもの。
決して相容れない2つの派閥が少女を取り囲み、善意と悪意、その両方をぶつけ続けた。
悪意が善意を超える時、善意が悪意を打ち消した時、少女の身は確定する。
生と死との狭間で少女は彷徨う。
善意さえも悪意で。悪意こそが善意で。
誰にとって 、なんのためにでどうとでも言える主張に。
不確かな少女の未来は託される。
目醒めた時に誰が困り、誰が慌てふためくのか。
目醒めぬ散って、誰が高笑いをするのか。
回復を喜ぶ悪意に。
衰弱を薦める善意に。
苛まれた少女の未来を決めるのは一体誰なのだろうか。
大勢の人間が、たった一人の少女を巡り、底の見えない深さまで沈み、高みから見下ろす。
悲壮な喜劇が、滑稽な惨劇が、その序章の幕を開けようと 、手を伸ばし始める。
捲られし一項目には、どんな悪意が、くだらぬ正義が、爛れた自己主張が、少女を苦しめる原因が、記されるのだろうか。
破られし二項目には、一体どの様な歴史が、語られなかった真相が、それを覆す事件が、記されていたのだろうか。
切り刻まれし三項目には、どういった内容が、知られざる側面が、まだ誰も知らぬ新たな発見が、記される事となるのだろうか。
誰も知らない四項目、まだ何も描かれぬ空白の頁、誰がどのスポットから光を当てるのか、一切合切記される。
塗り潰されし五項目、誰の悪意で、どの様な歴史が、どういった内容が、潰された?
全てを纏めし六項目、未だ来ぬ時追いかけて、一体どんな悪意を見るのだろうか?
疑問符が続く終盤に、少女の身には何が起こるのだろう。
進めば地獄、戻れば地獄。
捕らえられし病室で、少女を取り巻く物語が今、その速度を加速させる。
それでは一項、遡ろうか。
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