目醒めぬ悲愴の姫

絢麗夢華。

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第一項

第1項:ある見舞客

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私は誠実に生きてきた筈だ。
何故、彼女がこういう目に逢い、私が此処でこうも彼女を見舞い続けなければならないのだろうか。
いや、勿論私も彼女も彼女を憎からず思っている。
根は真面目で、丁寧な対応が出来る、優秀な人間である。
もし、彼女が病に倒れ、床に伏す様ならば、私は喜んで彼女を毎日見舞うだろう。
もし、彼女が目を覚まさなかったとしても。
そう思わないと言う事は、私の目の前にあるこの状況はそう思えない状況であると言う訳である。
彼女は病に倒れた訳では無い。
私はそう踏んでいるのだ。
前日まで普通に会話した私には、彼女の異変なんて感じられなかった。
私には医学の知識なんて無いし、突発性の病もあるだろうけど、それでも私は確信する。
おかしいのだ。
病名が明かされぬまま、目を覚まさない等。
病名が不明な訳でもない。
誰かは知っていて、誰かがそれを隠蔽している。
でなければこの状況に説明がつかない。
そして彼女は恐らく、病気でもなんでもない。
誰かによって眠らされているのだ。
何かを知ってしまった。
と言った様な理由で目覚めない様にさせられている。
死なれては困るから殺されて居ない。
だから此処に見舞いに来る人間から、見舞いに相応しい目を向けられないのだ。
誰かからは目を背けられ、誰かからは見下されるような目を向けられ、誰かからは心配な目をされる。しかしその対象は恐らく彼女ではない。
彼女が目を覚ますことを、心配しているのだろう。
非常に空気の悪い空間だった。
私はそんな空間に今日も足繁く通っているのだが、今日もやはり彼女は目覚める素振りも無い。
彼女について、私はある程度は知っている。
しかし、彼女について知らない事が私にもあるのだろう。
その部分が、彼女の今に繋がっているのであるとしたら、私はそれを知りたい。
私は彼女にもう一度目覚めて欲しい。
もう一度、彼女と話したい。
1度では足りない。
これまでのように、これまで以上に彼女と会話をしたい。
今日ここで私は決意する。
私は、彼女を目覚めさせる為に、彼女について調べる、と。
こうしては居られない。
私は1歩先へと踏み出す。
病室の外の何処へ向かうのか、私自身がわかっていないのに。
それでも、何か手がかりを掴みたくて。
私の他に来る見舞いを当たれば、何かわかるだろうか。
そんな事を思いながら、一歩づつ、歩みを進める。
取り敢えず、入口で他の見舞いについて聞いてみてもいいかも知れない。
駆け足で、走り出す。
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