変愛

絢麗夢華。

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1.0/露璃恨・過去

露璃恨・過去:8

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翌日からの数日、一週間が終わるまで、彼女は罵詈雑言を浴びせられ続けた。当然の報い、自業自得と言うには、それはあまりに惨かった。
翌週から、彼女は学校へ来なくなった。
それでも自業自得と思える程、俺は非情にはなれなかった。
そして、周りは最悪な人間がいなくなったと言う風な様で、邪魔者が排除されて喜ばしい雰囲気に包まれた。
それまで俺に虫を見るように目で見てきた担任が急に話しかけて来る様になった。恐ろしい程に柔和な笑顔を浮かべて。
気持ちが悪くて仕方が無かった。
彼女は確かに許されない頃をした。でもそれを糾弾し、問い詰めていいのは俺だけの筈だ。
このクラスの人間が寄って集って彼女を締め出すのはなにか間違っている。
クラスの平定の為なら虐めを容認する教師、標的を見つけると徹底的に潰しにかかる生徒。
違和感を感じていたのが顕になり、当事者からちょっと特殊な立ち位置へと変わった今、大きな過ちの予感を持って 身に染みる。
これでいいのかと、疑問が生じる。
これから語る事件が全てを物語っているので、ここでとかく言っても仕方が無いけれども、それでもこの時の違和感が間違ってはいなかった事は確かだ。
俺は、どうするべきだったのだろうか。

俺が知る限り、という事は1回も、それ以降彼女が学校に来ることは永遠に二度となかった。
そしてそれから彼女が登校をするということは絶対にない。
この学校だけでなく、他の学校でも。
その後進学すると言うことも無い。
卒業もないし、就職もない。
遅刻も早退もない。
出会いも結婚や出産も、彼女には訪れない。
それが俺のやった事の結果だった。
俺が我慢して、あれからも一心に罵詈雑言を受けていれば、そんな事にはならなかった。
自己犠牲でイタい奴になっておけば、そんな出来事は起こらなかった。
これは彼女が発端で始まった話だけれど、俺の責任だ。
周りを止めず、知ろうともしなかった。
俺が因果報応と少しいい気分になって、それ以上に周りを気持ち悪いって思っていたなんてそんな第三者視点で語っていい話では無かった。
語るほどの話では無い。
語っているだけでは駄目な話で、俺はもっと当事者でいるべきだったのだ。なんて言うとお前はどうするべきだったのかと言う話になるのだけれど、俺はあの時、最初にもっと大きな声を出していればよかったとか、ぶつかってきた時に俺が自分の方に水をかければ良かったとか、そういうことしか考えられないのだけれど、それでも自責の念が強まる一方だった。
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