ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
25 / 459

25 準備はできた

しおりを挟む
 次の日からくるべき日のために行動する。

 穴掘りは完全にラダリオンに任せ、オレは廃村に近づくゴブリンを駆除する。

 ゴブリンどもは誰に指揮されているわけじゃないし、協力し合っているわけでもない。なのに、ゴブリンの本能がそうさせるのか、廃村のほうへと集まってくるのだ。

 このままでは不味いと、廃村から三キロ先に処理肉を大量にばら蒔くことにした。

 それがよかったのか、処理肉をばら蒔いた方向にズレてはくれたが、また廃村のほうへと集まってきてしまった。

「廃村に引きつけるものでもあるのか?」

 そう思って調べてはみたが、これと言ったものはない。ラダリオンが張り切って穴を掘っているだけである。

 わからんと諦めて三キロ先に処理肉をばら蒔きながらゴブリンを駆除をする。

 六日が経ち、穴の深さもラダリオンが隠れるくらいになり、その土で三メートルくらいの山ができた。

「こんな岩、よく上げたもんだ」

 確実に数トンはある岩を上げている。どんだけの筋肉持ってるんだか。殴られたら確実に死ぬな、オレ。

 セフティーホームでは怒らせないよう心に誓い、あと二メートルくらい掘ったら村を囲むよう掘りを作ってくれるようお願いした。

「わかった!」

 すべてを任せているのに、ラダリオンはとても嬉しそうに引き受ける。焼き肉がそんなに待ち通しいのかと思ってたが、どうもそんな感じではない。じゃあ、なんなんだと言われたら困るけどよ。

 だから、素直に訊いてみた。どうにも気になってな。

「役に立てるのが嬉しい。あたし、村では役立たずの無駄飯食らいだったから」

 いや、まだ子供なんだから役に立たなくとも無駄飯食らいでもいいのではないか? 子供はすくすく育つのが仕事であり、親の役目なんだからよ。

「タカトはあたしを邪魔に思わないし、いっぱい食べさせてくれるし、仕事も与えてくれる。なにより、ありがとうって言ってくれる」

 これまでラダリオンのことなど考えたことなかったが、仲間のところでは結構不遇な扱いを受けていたようだ。当たり前なことに喜んでいるんだからな。

「オレのほうがラダリオンに助けられてるけどな」

 この作戦はラダリオンありきのもの。それに、誰かいるってのはやはり嬉しいもの。挫けずやってられるのは仲間がいてくれるからだ。
 
 まあ、恥ずかしいのでそんなことは言えないが、これからもっとありがとうとは言っていこう。これからまだまだ助けてもらうのだからな。

 さらに三日、処理肉をばら蒔きつつゴブリンを駆除すると、穴を囲む山がいい感じに盛られ、その上に五メートルの櫓ができた。

「お前、天才だな」

 ちまちましたことは嫌いと言ってたが、手先は器用で、頑丈な櫓を作ってしまうとか、クラフト才能開花、だな。

「自分でもびっくりした」

 まんざらでもない顔をするラダリオン。会心のできのようだ。

「あとの細かいことはオレがやるから、ラダリオンは離れたところでゴブリンを引きつけてくれ」

「わかった」

 素直に頷くラダリオン。これも夜にミーティングしている成果だろうよ。

 まず廃村を囲む掘りに灯油が入ったポリタンクを等間隔に並べていき、ラダリオンが割ってくれた薪を放り込んでいく。

 これだけで二日もかかり、クタクタである。だが、休んでいる暇はなく、コンパネで囲み、針金で固定。さらに有刺鉄線を巻つけた。

 次に単管パイプを買って櫓の周りに組んでいき、また有刺鉄線を巻いていく。

「百万円を超えたか」

 灯油だけで五十万円以上かかり、有刺鉄線、単管パイプ、それを繋ぐクランプで三十万円。まだまだ買うものがあるから二百万円は越えるだろうな~。

「いや、銃や弾も買うから三百万はいくな、これ」

 準備が終わったとき、貯金が百万円も残っていれば御の字だろうよ。

「まったく、稼いでは減らしの繰り返しだな」

 プラスになっているから挫けずにいられるが、これでゴブリンがきませんでした、ってなったら立ち直れないな。
 
 まあ、とりあえず迎え撃つ用意は整った。

 セフティーホームに帰り、ラダリオンに今の状況を聞いた。

「どんどん集まってる。あと、木の槍を持った者が何匹かいた。たぶん、王が立ったと思う。王が立ったときは武器を持つってかあさんが言ってた」

 ゴブリン、知能もチンパンジー並みなのか?

「まあ、木の槍くらいなら──いや、投げられたら危険か」

 一応、コンパネを打ちつけておくか。木の槍や石くらいなら防いでくれるだろう。

 補強したり武器を買ったりと三日過ぎた頃、とんでもない数の気配を感じ取ってしまった。

「……数百ってレベルじゃねーぞ、これ……」

 察知範囲からかなり出ているのに、圧されるような気配がこちらへと押し寄せてきてるのがわかった。

「王が立つとこんなになんのかよ。一人でどうこうできるレベルじゃねーだろう」

 少なくとも千匹はいる。数の暴力とはこのことを言うんだな。

「ハァ~。こりゃ、全財産使う羽目になりそうだぜ」

 まっ、それで生き残れるならマシか。また地道に駆除をしていけばいいんだしよ。

「フフ。ポジティブになれてんな、オレ」

 自棄になってるのかもしれないが、それでも構わない。こうして落ち着いていられるんだからよ。

 セフティーホームに戻ると、ラダリオンも戻っていた。

「タカト。凄い数の臭いがこちらに向かってきてる」

「ああ。とうとうきたな」

 不安そうなラダリオンに笑顔を見せてやる。

「大丈夫。考えられる用意はした。万が一のときの考えたもある。オレが逃げて帰ってくるまで練習していろ。食事は冷蔵庫にあるもので我慢してくれな」

 頭を撫でて言い聞かせた。

「死なない?」

「死なないよ」

 最悪、セフティーホームに逃げればいいのだから死にはしないさ。

「弾込めは頼むな」

 櫓は四畳くらいしかないので、すべての武器弾薬は置けない。ちょくちょく取りに戻らないとダメなのだ。

「うん、わかった」

 よしと頷き、武器弾薬を櫓に運び出した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...