ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
29 / 459

29 最終ラウンド(*ラダリオン*)

しおりを挟む
 お腹が空いて目が覚めた。

 ……昨日、あんまり食べれなかったからな……。

 タカトと出会ってから毎日お腹一杯食べれるようになり、自然に目覚めるようになった。けど、昨日はタカトが心配でいつもの半分しか食べれなかった。

「そうだ。タカト!」

 マットレスから起きて玄関にいくと、タカトが手足を伸ばして眠っていた。

「……よかった……」

 思わずタカトに飛びつきそうになったけど、慌てて自分を止めた。小さくなったとは言え、あたしはマーダ族。人とは体の作りが違う。タカトが言うには巨体を支えるために筋肉のつきが人の何倍もあるそうだ。

 よくはわからないけど、タカトが持てないようなものを持てて、タカトより小さいのにあたしのほうが倍以上重い。小人とは違うことはわかった。

 だから手加減しないとタカトを潰してしまう。触るときは力を加減しないとダメなのだ。

「タカト」

 優しく揺らすが、タカトが起きる気配はなかった。

 ここでは体が痛くなるだろうからタカトを持ち上げてマットレスに運んだ。

 ……タカトは相変わらずいい匂いがするな……。

 今は汗をかいてるけど、それでも大人たちのあの鼻が曲がるような臭いとは全然違う。タカトががんばった汗。あたしは好きだ。

 なんて嗅いでる場合じゃなかった。タカトががんばったあとはあたしががんばらなくちゃいけないんだ。

 冷蔵庫からケーキとオレンジジュースを出し、買い置きしていた食パンにたっぷりジャムをつけて食べ、残っているバナナとリンゴを食べた。すべてを完食し、オレンジジュースを飲んでちょっとお腹が落ち着いた。ふー。

 親といたときはお腹一杯なんて食べれず、いつもお腹を鳴らしてばかりいた。子供だからとちょっとしかもらえなかった。

 でも、タカトといるとお腹一杯食べられる。どんなに食べても怒られない。それどころか食べ切れないほど出してくれた。まさか食べ切れなくて残す日がくるなんて夢にも思わなかった。

 けれど、それはゴブリンを殺さないとできないこと。タカトが神より与えられた使命だ。

 タカトのためにもあたしのためにもゴブリンを殺さなくちゃならない。そのためにもいっぱい食べなくちゃならない。これまではお腹を満たすためじゃなくゴブリンをたくさん殺すために食べなくちゃならないんだ。

 でも、朝は満腹にしない。もうちょっと食べたいな~ってくらいで止めておいたほうがよく動ける。

 だから朝はケーキ一つだけ。がまんはできる。だって、昼にも食べられて、夜には三つも食べられるんだから。

 少し食休みしてから準備に取りかかった。

 練習で何度か着たからすぐに着ることができ、武器と装備の確認をする。

 背中にマチェット。右手にはショットガン。弾は腰の袋にいっぱい。熊避けスプレー二つ。ガスマスクにイヤーマフ。そして、最後に消火器二つ。

 大丈夫。使い方は覚えた。練習もした。あたしはやれる。

 そう何度も呟き、自分を鼓舞する。

 窓から外を見る。

 大陽はとっくに昇っていて、近くにゴブリンの姿はない。よし! と外に出た。

「すごい臭い」

 火薬の臭いとゴブリンが焼けた臭い。タカトがガスマスクしろって言った意味がよくわかる。直接嗅いだら吐いちゃいそうだ。

 この臭いでゴブリンの位置がわからないけど、問題ない。動いているものは撃て。潰せ。薙ぎ払え、だ。

「燃えてはいないか」

 タカトが火を爆発させるから森が燃えるかもしれないって言ってたけど、火が上がってるのは見えない。廃村から煙が上がってるのが見えるだけだ。

 けど、セフティーホームに入ったところから結構離れてる。煙の中で燃えてるかもしれないから消火器は捨てないで持っていく。

「あ、ゴブリン」

 火傷したゴブリンがいたので消火器で潰しておく。

 廃村に近づくにつれ、火傷したゴブリンがたくさん出てきた。

 最初は潰してたけど、さすがに多すぎる。まずは廃村に向かうのを急ごう。

「……いっぱい死んでる……」

 煙でよくわからないけど、臭いからよくわかる。あたしじゃ数え切れないくらいのゴブリンが死んでいる。

「少し木々が燻ってるかな?」

 山火事は怖いので、消火器を使って廃村の周りに噴きかけ回った。

「あ、ゴブリンふんじゃった。汚っ!」

 子供の頃はゴブリンを足で踏み潰して遊んだものだけど、タカトと暮らすようになってから清潔にしてたらゴブリンを踏むことが気持ち悪くなってしまった。

 ……消火器は使い捨てだから問題はない……。

「そう考えると、銃っていいかも」

 うるさいのが困りものだけど、ちょこまかと動くゴブリンを殺すには最適だ。飛び血もかからないし。

 空になった消火器を遠くに投げ捨てる。

 マチェットを抜いて転がるゴブリンを掻きよけてると、他のゴブリンより大きなゴブリンを発見した。

「これがゴブリンの王かな?」

 ゴブリンの王を見たことないけど、あたしの腰くらいまである大きさなら王で間違いないだろう。

「あ、生きてる」

 マチェットで仰向けにしたらビクッて動いた。さすが王。生命力が強い。

 少し離れてショットガンを構え、引き金を引いて王を殺した。

「呆気ない」

 ゴブリンも王ともなればマーダ族の大人にも勝てる強さがある。昔のあたしならあっさり殺されたかもしれない。タカトが弱らせて、ショットガンがなければこうもあっさりと殺すことはできなかっただろう。

「ん? 生き残り?」

 木々の間からゴブリンが見え、逃げ出してしまった。

「昼までまだあるし、タカトが起きるまで殺すか」

 タカトは高いところからセフティーホームに入った。なら、出るときも同じ高さ。あたしが受け止めないといけないのだ。

「いっぱい殺してタカトを驚かせよう」

 ショットガンの弾を入れ換え、生き残りのゴブリンを探しに向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...