ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
43 / 459

43 遭遇

しおりを挟む
 すき焼き、とても美味しゅうごさいました。またやりたいけど、またあんな状況には陥りたくないです。

 安全第一。少ないながらも安定した収入。残業月に五時間。休日出勤たまにあり。二度のボーナスありとか、オレはなんて幸せな工場で働いていたんだろうな。あの日に戻りたいよ……。

 なんて過ぎ去りし幸せを懐かしんでも仕方がない。今を生きることに目を向けましょうだ。ハァー。

 体の痛みが抜けるまでに六日。若い頃の筋肉痛など一日二日で完治したのに三十過ぎたら六日もかかるとか、年齢とは斯くも残酷なもだとは知らなかったよ。

「ラダリオン。とりあえず南に進んでくれ。印は定期的にな」

「わかった」

 先に装備を整えたラダリオンが外に出て、ガスマスクをしてからオレも外に出た。

「やっぱりまだ臭いな」

 ゴブリンの死臭が凄いこと。六日くらいじゃ土には還らんか。

 死臭が装備につくのは嫌なので、安いつなぎにP90用のベルトを回し、左側にマガジン三本のポーチ。右側にマチェットを取りつけ、ショルダーホルスターにはグロック19にマガジン二本。軽装備でこの一帯から抜けるとする。

 昨日、ラダリオンに見回ってもらったのでオーグや他の魔物がいないことは確認済み。腐敗が進むと狼も食べないそうだ。

 通りやすい場所を選んで麓に下り、方位磁石を使って南へと向かった。

 ゴブリンの気配はまばらにあるが、六日前のようなヤバい気配はない。通常モードに戻ったって感じだな。

 ラダリオンを追って南には向かうが、オレにはゴブリンの気配が命綱。ゴブリンが通常モードなら他に危険な存在はいないってことだ。

 警戒しながら進むくらいなら多少遠回りになってもゴブリンの気配を辿っていくほうが安全だし速く進めるってもんだ。

 ラダリオンもゴブリンを駆除しながら進んでいるようで、あまり遠くない距離でショットガン──ベネリM4の銃声が轟いている。

 なんだかKSGより半自動のショットガンがよかったようで、ずっとベネリM4を使って、もうラダリオン用になってしまったのだ。

 一応、七発入るのを新しく買ったが、身体的には六発入るサイズのヤツが一番使いやすいようだ。

 オレも負けてはいられないと、銃声に逃げ出したゴブリンの出歩き隊を追いかけ、その背中へ弾丸を食らわせてやった。

 サプレッサーをつけて五十メートルくらい離れているのでゴブリンたちは仲間が撃たれたことに気がついてない。一匹一匹狙いながら駆除していった。

「やっぱり出歩き隊を駆除するのが一番効率的だぜ」

 六匹を駆除して弾は八発。一発五十円だから四百円の出費。労力や食費を引いても二万円以上の儲けだ。なんともボロい商売である。安定してたら、だけど。

 昼になり、セフティーホームに戻り昼食。状況を報告し合い、またゴブリンを駆除しながらゆっくりと南を目指した。

「ミシニーとの距離はまだまだあるな~」

 二日の距離のはずなのに少しも縮まった気がしない。四分の一も進んでない感じだ。
 
「ん? なんか警戒してる気配だな。なんかいるのか?」
 
 いくつかいる出歩き隊の気配が警戒色を示している。

 ラダリオンが近くにいて轟音を立てているのに警戒するなにかがいるのか?  もうそう言うの止めて欲しいんだけど。

 ゴブリンの気配を追いつつ周囲を警戒。P90を構えながらゆっくり進むと、道に出た。

 草があまり生えておらず、轍があることからよく往来されているのがわかった。

「ミシニーの気配からしてあちらか?」

 ラダリオンは道を渡ったようで、南のほうから銃声がしていた。

「知らないヤツが銃声を聞いたら驚くだろうな」

 巨大化したことで銃声も大きくなっている。初めて聞いたら大洪水を起こしても仕方がないだろうよ。
 
「町の近くではサプレッサーつきでやらないと文句があがりそうだな」

 ラダリオンも銃の腕が上がってきたし、サプレッサーつきのMP5なら扱えるだろう。弾も安い9mmを使えば三十発撃ち尽くしても四百円くらい。ゴブリン一匹駆除したら微々たる出費だ。

 道を少し歩くと、ラダリオンがつけたスプレーの印がつけられてるのを発見。そこからラダリオンのあとを追った。

「ん? 生き残りか?」

 ゴブリンの弱々しい気配を感じて向かうと、片足が千切れたゴブリンが地を這っていた。

「肉つきからしてちゃんと食べられてるゴブリンか」

 これまでの経験からしっかり食べられていたらゴブリンは生命力が結構高かったりする。致命傷なる箇所に当たらないと死なないんだよな。まあ、出血多量で数時間で死ぬけどさ。

「万が一生き残られたら面倒だ。さっさと死ね」

 頭に一発撃ち込んで息の根を止めてやった。

 他にもラダリオンが撃ち漏らしたゴブリンの息の根を止めていくと、笛の音が響き渡った。

 長く二回。少し間を開けて一回。集合を求める合図だ。

 こちらも了解の合図で笛を長く一回吹いた。

 笛の導きでラダリオンの下に向かうと、巨人の男がいた。

 ジャックと豆の木に出てきそうな感じの髭モジャな男で、獣の皮で作ったベスト(?)に皮を継ぎ足したズボンを纏い、近くには石の斧が落ちていた。

「タカト。怪我人」

 うん。右脚をなにかに噛みつかれたような傷があるね。でもね、オレにはどうしようもないよ。相手、巨人だし。

 とは言え、放っておくこともできんか。町に住む巨人もいるとミシニーが言ってた。なら貸しを作っておくのもいいだろう。

 そう考え、巨人へと近づいた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...