ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
57 / 459

57 心に火を

しおりを挟む
 気を取り直してマグルに千円くらいの折り畳みナイフを渡した。

「安物だから乱暴に使っても構わないし、折れても気にしなくていいぞ。と言うか、マグルは刃物を使ったことはあるのか?」

 巨人のナイフは高いとゴルグが言ってたが。

「石刃なら」

 石刃? 黒曜石のナイフな感じか? まあ、使ったことがないに等しいってことで理解しておこう。

「これだよ」

 と、ロミーがスカートのポケットから平べったい石を取り出して見せてくれた。

「こんなのでなにが切れるんだ?」

 まあ、巨人が使えは大抵のものは凶悪な武器になれるけどよ。

「ちょっとしたものを切ったり野菜の皮を削ったりするね」

 巨人の手で野菜の皮を削るって可能なのか? 人間で言えばピーナッツの皮を剥くようなもんだろう。

「思うんだが、巨人が料理するって大変じゃないか?」

 巨人サイズの野菜があるとは思えない。ってことは人間サイズの野菜を調理するしかないはずだ。腹を満たすための量となると凄まじい作業になる。想像しただけで頭が痛くなるぞ。

「そこは人間の手を借りるね。あたしら巨人がいることでこの辺に現れる魔物はゴブリンくらい。凶悪な魔物が寄ってこないから農作物をたくさん作れる。あたしらが飢えないくらいにね」

 なるほど。共存ってわけか。ここは巨人と人間がいい関係を築けられてるんだな。

「下処理は人間たちがやってくれて、あたしたちは力仕事や農作業で返しているよ」

「だから石刃で充分なんだな」

「まーね。けど、あたしらもナイフとかあれば他にもできることはあるんだけどね」

 巨人が持てるものとなるととんでも値段になる。とても主婦が買えるもんじゃないか。

「まあ、ゴルグがゴブリンを駆除したら持てるようになるよ」

「そうだね。旦那にはがんばってもらわないと」

 嫁の尻に敷かれる旦那。それもよき夫婦の関係である。独身者にはよー知らんけど。

「マグル。とりあえず枝でも削ってみろ」

「わかった」

 六歳ならそのくらいできんだろう。と思ったら予想以上に上手く使いこなすマグルくん。天才か?

「さすがゴルグの息子ってところか」

「父親のやるところ見てるから覚えたんだろうね」

 これならスリングの土台が作れそうだ。

 Y型の枝を見つけてきて作り方を教えると、スイスイと削っていき、これまたあっさりと仕上げてしまった。

「そう難しくないとは言え、六歳とは思えん器用さだな。職人になったほうが大成するんじゃないか?」

「我が息子ながら器用だよ」

「おれ、冒険者に成りたいんだけど」

 そうだった。成りたいものに成るがマグルの幸せだったな。
 
 この世界にまだゴムはないのでそれはタブレットで買い、インシュロックで固定してスリングショットが完成した。

「これはスリングショット。この伸びるゴムってのを使って小石を飛ばす武器だ。巨人が使うならゴブリンくらい殺せるだろう」

 下手したらミンチになるかもしれんな。

 まずオレがデモンストレーションしてみせる。

 的は五百ミリリットルのペットボトル。距離は十メートルくらい。玉は小石。狙いを定めて離した。

 見えない速さで小石が飛んでいき、ペットボトルに穴を開けた。

 よし! 二十年振りにやったが、腕はそう衰えてないな。これなら二十メートル離れても当てられそうだ。

「タカトスゲー!」

 どうやらマグルの男心に火がついたようだ。

「小石じゃなく泥を丸くして火で焼くのもいいし、こう言う鉄の玉でもいい。獲物によって換えるのがスリングショットだ」

 まあ、スリングショットの玉など安いから買ってもいいんだが、まずは現地調達できる知恵を教えよう。

「お、やってるようだな。マグルはどうだ?」

 十時の休憩にゴルグたちが戻ってきた。

「ああ。お前の息子は才能あるよ。ナイフ使いも上手いし、スリングショットもなかなかだ」

「スリングショット?」

 マグルのを見せてやり、デモンストレーションしてやる。

「おぉ、凄いな! おもしれー!」

 と、大きな子供たちの心にも火を燃やしてしまい、休憩そっちのけでスリングショットに興じてしまった。

「まったく、いつまでもガキなんだから」

 そう言ってやるなロミーさんよ。男が男である証なんだからさ。

「土台はすぐに作れるが、この伸びるヤツはなんなんだ? なんかの獣の腸か?」

「南国に生える木の樹液に硫黄を混ぜて作ったものだ。オレが用意した」

 ってくらいの知識しかありません。ゴメンなさい、

「てことは、おれも買えるものか?」

「ああ。ゴブリン一匹殺せばニ十は買えると思うぞ」

 ゴムだけなら相当な量(長さか?)が買えるだろうよ。

「いくつか残ってるから仕事終わりにやるよ」

 だから休憩してしっかりと穴を掘れ。すべてはゴブリンを駆除してからだ。

 ロミーも手伝ってくれ、野郎どものケツを蹴り飛ばしてやった。

「マグル。昼までひたすら練習だ」

「うん、わかった!」

 オレも初心者に負けてはいられんとスリングショットを練習。昔の勘を取り戻していった。

「そろそろ昼だよ」

 おっと。もう昼か。童心に返って集中しすぎたわ。

「よし。マグル。昼を食ったら小石集めと的作りだ。オレはゴルグたちの様子を見にいくから」

「うん、わかった!」

 やる気満々でよろしい。

 そこでマグルたちと別れ、家に入ってセフティーホームへと戻った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...