ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
106 / 459

106 肉を食え

しおりを挟む
「タカトさん、どうしたんですか!?」

 玄関で弾込めしていたミリエルがボロボロになったオレに気づき、体を引きずって近寄ってきた。やはり滑りやすいほうが移動しやすいみたいだな。

「カインゼルさんに鍛えてもらっただけだよ。オレは弱いからな」

 オレがヒーヒー言ってるのにカインゼルさんは息も切らさない。最後まで平常だった。

 あそこまではなれなくともゴブリン十匹を余裕で倒せる体力と技術を身につけたいものだ。もちろん、十一匹以上は全力ダッシュで逃げるけどな! 

「シャワーを浴びてくる。出たら昼飯としよう」

 三時間くらいの訓練だが、全力で動いて汗びっしょり。女子たちに臭いと罵られる前にユニットバスに向かった。

 痛む体をしっかり洗って出ると、ミリエルが構えていた。な、なに?

「そこに座ってください」

 なにか凄い圧に負けてミリエルの前に正座する。君、怖いよ……。

 オレの両手を握ると、ホワ~ンと体が熱くなって痛みが消えていった。前より威力が上がってるな……。

「回復魔法を使って大丈夫なのか?」

 疲れた様子はないが効果が上がったってことは消費した魔力(かどうかはわからんけど)を消費したってこと。まだ体が回復してないだろうに。

「……大丈夫です。たくさん食べられて、ゆっくり眠れましたから」

 にっこり笑うミリエル。まあ、あんな生活してたら出る力も出るわけもないわな。人生から退職しなかっただけミリエルは強いヤツだよ。

「ありがとな。痛みが消えたよ。また頼むな」

 回復薬の節約にもなるし、ミリエルの力が増せば怪我で死ぬ確率も減る。たくさん食べてすくすく育ってくださいませ。

「はい! 任せてください!」

 頼りにされて嬉しいんだろうな。利用してるだけなのに心が痛む笑顔である。

 昼飯を買い、三人で食卓を囲んでいただいた。

 食べ終われば食休み。いや、ちょっと昼寝しよう。ミリエルに回復してもらっても体力が元に戻ったわけじゃない。それどころか体のエネルギーを使ったようで昼飯もお代わりしたくらい。ミリエルの回復魔法はもしかして治癒魔法なのかもしれんな……。

 なんて考えてたら眠ってしまい、起きたら午後の四時になっていた。がっつり眠っちゃったよ。

 中央ルームには二人の姿はなく、玄関にいったらそこにもいなかった。外に出たのか?

 窓から外を覗くと、奥様連中がお茶をしていた。あの雨の中よくきたものだ。

 女子会(?)に入る勇気はないので外に出ることはしない。ゆっくり楽しんでください。

「あ、電動車椅子のバッテリーが充電されたか」

 充電器からバッテリーを外して車椅子にセット。電源を入れて車椅子を操作してみる。

「凄いな、これ」

 ウィルの性能に驚いてしまった。今の電動車椅子ってこうなの!? 足があるオレでもこれで移動したくなるわ。

 玄関を前に横に動き回り、ウィルの使い方は理解した。

「ミリエル、利き手どっちだったっけ?」

 ウィルのコントローラーは右についている。けど、この電動車椅子はどちらにも付け換えられて、椅子や肘掛けの高さも換えられた。

 なので工具を買い、椅子を一番下まで下げた。これなら台が二つあれば自力で座れるだろう。

 五時になったら二人が戻ってきた。あの女子会に堪えられるとは同じ女だけはあるな。羨ましいとかは思わないけどな。

「いいところに帰ってきた。ミリエル。お前の足になる電動車椅子だ。扱い方を教えるから座ってみてくれ」

「椅子、ですか?」

「ああ。ミスリムの町から帰ってくるときに乗ったものを室内で使えるようにしたものだ。これなら玄関での移動や外に出てうちの周りくらいなら移動できるだろう」

 巨人が踏み締めているからか地面は硬く、草も大して伸びていない。ウィルの性能なら大丈夫なはずだ。

 二段の踏み台をウィルの横に置き、自力で座ってもらった。

 長いことその体で生きてきたようで、座るのにそう苦ではなさそうだ。ステップのところに一段置けば踏み台がなくてもいけそうだ。

「ミリエルの利き手、どっちだ?」

「右です」

 じゃあ、コントローラーを動かさなくてもいいな。

 電源ボタンから教え、スティックでの移動。棚の間を走ってもらった。

 最初は戸惑いでぶつけてばかりだが、一時間もやると慣れてきたようで棚にぶつからなくなった。

「しばらく練習してろ。ラダリオン、しばらくついててやってくれ。オレは夕飯の用意するからよ」

「わかった」

 踏み台に座り、お菓子を出してミリエルを見守った。うん。そう言うことじゃないんだな~ラダリオンさん。危険なときは止めるなり助けるなりしてってことなんだよ。

 ラダリオン、ちゃんと教育しないとダメかな~? と思いながら中央ルームに戻り、夕飯の用意をした。

 今日の夕飯はサイ○リアにして、ミリエルの好物や苦手なものを探すことにした。てか、サ○ゼリアは安いよな。一万円で飛んでもない量になったよ。まあ、ラダリオンにかかれば一人前だろうがな。

「おーい。準備できたぞ~」

 二人を呼ぶと、ラダリオンがミリエルを小脇に抱えてやってきた。お前、ミリエルの扱い雑だな。

 座椅子に座らせ、ウェットティッシュで手を拭き、ハンバーグから食べ始めた。

「ミリエル。ラダリオンに遠慮しないで好きなもの食べていいぞ。足りなければ足りるまで買うからな」

「す、凄く、食費がかかるのでは?」

「そうだな。だが、考えなしにラダリオンを仲間に誘ったオレの責任だからな、いくらかかろうがラダリオンにひもじい思いはさせないさ」

 それが責任を果たすってこと。自分の冒した罪の重さだ。甘んじて受け入れて、ゴブリン駆除に勤しめ、だ。

「まあ、食った分は働いてもらうさ。仲間なんだからな」

「うん。いっぱい食べれるよういっぱいゴブリンを駆除する」

 その辺はラダリオンも理解している。この生活ができてるのはゴブリン駆除をしてるからだってな。

「ミリエルにも働いてもらうんだからしっかり食べろ。その回復魔法を頼りにしてるんだからな」

 ミリエルの前にリブステーキを移動させる。若いのだから肉を食え。肉は明日を生きるエネルギーだ。

「明日を生きるためにいっぱい食べるぞ」

 オレもリブステーキを追加して腹一杯食べた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...