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107 行商人ダイン
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雨は五日目に突入した。
土砂降りは最初の二日で、あとは傘を差せば移動するのも苦ではなく、ゴルグのところに芋と麦の焼酎を持っていくこともできた。
今日も午前中の訓練を済ませると、カインゼルさんはリハルの町へと出かけていった。
女か!? とは思いはしたが、プライベートに口出すことでもないので、ガソリンを入れて見送った。
小屋で棚を設置していると、見知らぬ箱馬車がやってきた。
「この雨の中やってくるとか何事だ?」
いや、ここに住んでる者としてはこの雨は毎年のこと。オレのように雨天中止とはならないか。
とは言え、法があってないような異世界。油断したらジ・エンド。まだ死にたくないのだから警戒しろ、だ。
腰ベルトにマチェットを装備し、グロック19をホルスターから抜いて弾が装填されてるか確かめてまた戻した。
「どちら様で?」
傘を差して馬車に近づく。いざとなったら傘を盾にしてセフティーホームに戻り、油断したところで外に出て制圧する、ってことを脳内でイメージしながらな。
箱馬車に乗っているのは若いにーちゃん。冒険者って体つきではなく、剣は御者台のフックにかけている。商人か?
「行商を生業としているダインです。ゴブリン殺しのタカトさんですか?」
御者台から降りると、そんなことを口にした。
え? そのダサいあだ名で広まってるの? 異議申し立ては冒険者ギルドに出せばいいのか?
「ええ、ゴブリン駆除を生業としているタカトです」
無駄だとは思うが訂正はしておく。オレにも矜持はあるので。
「それで、オレになにかご用で?」
「はい。ギルドマスターの依頼で、タカトさんよりミルクティーなるものを買いに参りました。もうあれがないと仕事が進まないとおっしゃって、高い依頼料を払ってくださいました」
あの人はどんだけ中毒になってんだよ? 別に変なもの入ってないぞ。それとも異世界人には作用するもんでも入ってんのか?
「ハァー。わかりました。あちらの家に馬車を移動させてください」
ミルクティーを知り、ギルドマスターのことを知っているなら敵ではなかろう。
箱馬車をうちのほうに移動してもらい、巨人用のドアの横に増設してもらった人間用のドアから中へと入った。
「どのくらい必要ですか?」
「このくらいのを一日二本飲むから十五日分頼むとおっしゃってました」
いや、一・五リットルを二本って飲みすぎだろう。あの人、糖尿確実だな。
「わかりました。そこで少し待っててください」
梯子を使ってオレの部屋となっているところに上がり、セフティーホームへと戻った。
玄関ではミリエルが弾を箱から出してケースに入れ替えていた。
「ラダリオンは?」
「村にお使いにいきました」
「お使い?」
なんかお使いすることあったっけ?
「ポータブルバッテリーを持っていきました」
あー。ポータブルバッテリーな。この雨ではソーラー充電は溜まらないか。ゴルグ、電動工具を使うようになったからな~。
「じゃあ、ミリエルでいいや。すまないが、ミルクティーを運ぶのを手伝ってくれ。ギルドマスターの使いが買いにきたんだよ」
電動車椅子のカゴがついてるので、五百のペットボトルなら二十本近くは入れられるし、足置きのところに箱も置けたりするのだ。
「あ、問題ないと思うが、一応、グロックを装備していけ」
車椅子なので腰ベルトはできないので、ショルダーホルスターを装備させた。
「なにかあれば躊躇うな」
オレも命を狙われたら躊躇なく撃てるくらいにはやさぐれたよ。
「わかりました!」
やっぱりこの娘は強い。オレも見習わないとな。
玄関にある五百ミリのミルクティーを詰めてもらい、まずはダインさんのところに持ってってもらった。
中央ルームに置いてあるタブレットで五百ミリのを箱で買った。
箱を抱えて外に出る。うん。下からセフティーホームに入ればよかったと後悔しながら梯子を降りた。
「今はこれしかないのでそう伝えてください」
あちらで制御できないならこちらで制御してやろう。コラウス辺境伯領では必要な人だしな。
「おいくらでしょうか?」
「銅貨五十枚です」
前、いくらで売ってたか忘れたが、まあ、一本銅貨一枚で売っておくとしよう。
ダインさんから大銅貨五枚を受け取った。あれ? 銅貨十枚で大銅貨一枚だったっけ? まあ、なんでもいっか。今回買ったのは消費期限ギリギリの見切り品で、一箱千円のものだし。
「あの、あそこにあるのは酒ですか?」
大銅貨をポケットに仕舞ったらダインさんが巨人用の棚にある酒を指差した。
「ええ。そうですよ」
どれもこれも安い酒だけどな。
「あの、あれを売っていただくことはできませんか?」
「欲しいと言うならやぶさかではありませんが、ギルドマスターからオレのことは聞いてますか?」
「はい。タカトさんが持つものには消滅の魔法がかけられていると」
ミルクティーの買い出しを頼むくらいなんだから信頼されてるとは思ってたが、想像以上に信頼された人のようだ。
「ええ。オレが持つものはオレから離れたら十五日に消滅します。それを承知で売ってくれと?」
「はい。構いません」
「あと、商人でもないオレが酒を売っても問題ないので? 酒は税にもなるところがありますからね」
「コラウス辺境伯領は葡萄と麦の産地でもあるので、昔から自家製の酒を作る者は多いです。個人売買も盛んに行われていますので問題はありません。まあ、さすがに市場を揺るがすほどの量になれば口出しされるでしょうがね」
「少数なら問題ないと?」
「はい。それに、わたしが持つ販路はそう大きくありません。贔屓にしてもらってる数人に売るくらいです」
どこまで本当かはオレには判断できんが、ギルドマスターが選んだ人ならそう悪い人ではないだろうし、商人と繋がりがあるのも今後のことを考えたらいいのかもしれんな。
「わかりました。いくつか売りましょう」
ダインさんもすぐに信用されるとは思ってないだろうから、ちょっとずつ交流していけばいいだろう。
どれが好まれるかわからんので、ウイスキー、芋焼酎、日本酒、ワインを二本ずつ売ってやった。
土砂降りは最初の二日で、あとは傘を差せば移動するのも苦ではなく、ゴルグのところに芋と麦の焼酎を持っていくこともできた。
今日も午前中の訓練を済ませると、カインゼルさんはリハルの町へと出かけていった。
女か!? とは思いはしたが、プライベートに口出すことでもないので、ガソリンを入れて見送った。
小屋で棚を設置していると、見知らぬ箱馬車がやってきた。
「この雨の中やってくるとか何事だ?」
いや、ここに住んでる者としてはこの雨は毎年のこと。オレのように雨天中止とはならないか。
とは言え、法があってないような異世界。油断したらジ・エンド。まだ死にたくないのだから警戒しろ、だ。
腰ベルトにマチェットを装備し、グロック19をホルスターから抜いて弾が装填されてるか確かめてまた戻した。
「どちら様で?」
傘を差して馬車に近づく。いざとなったら傘を盾にしてセフティーホームに戻り、油断したところで外に出て制圧する、ってことを脳内でイメージしながらな。
箱馬車に乗っているのは若いにーちゃん。冒険者って体つきではなく、剣は御者台のフックにかけている。商人か?
「行商を生業としているダインです。ゴブリン殺しのタカトさんですか?」
御者台から降りると、そんなことを口にした。
え? そのダサいあだ名で広まってるの? 異議申し立ては冒険者ギルドに出せばいいのか?
「ええ、ゴブリン駆除を生業としているタカトです」
無駄だとは思うが訂正はしておく。オレにも矜持はあるので。
「それで、オレになにかご用で?」
「はい。ギルドマスターの依頼で、タカトさんよりミルクティーなるものを買いに参りました。もうあれがないと仕事が進まないとおっしゃって、高い依頼料を払ってくださいました」
あの人はどんだけ中毒になってんだよ? 別に変なもの入ってないぞ。それとも異世界人には作用するもんでも入ってんのか?
「ハァー。わかりました。あちらの家に馬車を移動させてください」
ミルクティーを知り、ギルドマスターのことを知っているなら敵ではなかろう。
箱馬車をうちのほうに移動してもらい、巨人用のドアの横に増設してもらった人間用のドアから中へと入った。
「どのくらい必要ですか?」
「このくらいのを一日二本飲むから十五日分頼むとおっしゃってました」
いや、一・五リットルを二本って飲みすぎだろう。あの人、糖尿確実だな。
「わかりました。そこで少し待っててください」
梯子を使ってオレの部屋となっているところに上がり、セフティーホームへと戻った。
玄関ではミリエルが弾を箱から出してケースに入れ替えていた。
「ラダリオンは?」
「村にお使いにいきました」
「お使い?」
なんかお使いすることあったっけ?
「ポータブルバッテリーを持っていきました」
あー。ポータブルバッテリーな。この雨ではソーラー充電は溜まらないか。ゴルグ、電動工具を使うようになったからな~。
「じゃあ、ミリエルでいいや。すまないが、ミルクティーを運ぶのを手伝ってくれ。ギルドマスターの使いが買いにきたんだよ」
電動車椅子のカゴがついてるので、五百のペットボトルなら二十本近くは入れられるし、足置きのところに箱も置けたりするのだ。
「あ、問題ないと思うが、一応、グロックを装備していけ」
車椅子なので腰ベルトはできないので、ショルダーホルスターを装備させた。
「なにかあれば躊躇うな」
オレも命を狙われたら躊躇なく撃てるくらいにはやさぐれたよ。
「わかりました!」
やっぱりこの娘は強い。オレも見習わないとな。
玄関にある五百ミリのミルクティーを詰めてもらい、まずはダインさんのところに持ってってもらった。
中央ルームに置いてあるタブレットで五百ミリのを箱で買った。
箱を抱えて外に出る。うん。下からセフティーホームに入ればよかったと後悔しながら梯子を降りた。
「今はこれしかないのでそう伝えてください」
あちらで制御できないならこちらで制御してやろう。コラウス辺境伯領では必要な人だしな。
「おいくらでしょうか?」
「銅貨五十枚です」
前、いくらで売ってたか忘れたが、まあ、一本銅貨一枚で売っておくとしよう。
ダインさんから大銅貨五枚を受け取った。あれ? 銅貨十枚で大銅貨一枚だったっけ? まあ、なんでもいっか。今回買ったのは消費期限ギリギリの見切り品で、一箱千円のものだし。
「あの、あそこにあるのは酒ですか?」
大銅貨をポケットに仕舞ったらダインさんが巨人用の棚にある酒を指差した。
「ええ。そうですよ」
どれもこれも安い酒だけどな。
「あの、あれを売っていただくことはできませんか?」
「欲しいと言うならやぶさかではありませんが、ギルドマスターからオレのことは聞いてますか?」
「はい。タカトさんが持つものには消滅の魔法がかけられていると」
ミルクティーの買い出しを頼むくらいなんだから信頼されてるとは思ってたが、想像以上に信頼された人のようだ。
「ええ。オレが持つものはオレから離れたら十五日に消滅します。それを承知で売ってくれと?」
「はい。構いません」
「あと、商人でもないオレが酒を売っても問題ないので? 酒は税にもなるところがありますからね」
「コラウス辺境伯領は葡萄と麦の産地でもあるので、昔から自家製の酒を作る者は多いです。個人売買も盛んに行われていますので問題はありません。まあ、さすがに市場を揺るがすほどの量になれば口出しされるでしょうがね」
「少数なら問題ないと?」
「はい。それに、わたしが持つ販路はそう大きくありません。贔屓にしてもらってる数人に売るくらいです」
どこまで本当かはオレには判断できんが、ギルドマスターが選んだ人ならそう悪い人ではないだろうし、商人と繋がりがあるのも今後のことを考えたらいいのかもしれんな。
「わかりました。いくつか売りましょう」
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