ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
136 / 459

136 正しい評価を

しおりを挟む
 目の前に立った女性は、ミシャード・ロウ・ミシェッドと名乗った。

 領主の妹であり、ギルドマスターの妻であるその女性は覇気に満ちており、若々しさがあった。とても四十半ばとは思えない。鎧を纏い、剣を持って戦場を駆けてるのがよく似合いそうだった。

「あなたがゴブリン殺しのタカトか。思ったより若いのだな」

 そりゃあなたから見たら大抵の者は若いよ。と言ったら確実に殺される未来が見えたので黙っておきます。

「わたしの国の者は男女で若く見られますので。こう見えても三十は過ぎております」

「三十を過ぎているのか。二十歳くらいかと思ったよ」

 西洋系の人から見たら東洋系の顔立ちは若く見えると言うが、まさか十歳も若く見られるとは思わなかったよ。

「ミシャ。これはタカトからの土産だ。酒だそうだ」

「ほぉう。それは嬉しい土産だ。感謝するぞ」

 領主代理とは思えないほどフレンドリーな人だ。生粋の貴族のご婦人、ではないな。やはり戦いに身を置いた人っぽい。

 鞄を受け取った領主代理は、中からウイスキー、ブランデー、梅酒、ワインを取り出した。

「これが酒か? こんな透明な瓶、王都でもなかなか見ないぞ」

 ワインの瓶を作れる技術はあるのだから透明の瓶もあると思ったが、そこまで技術がなかったようだ。まあ、だからなんだって話だがな。

「酒精が高く、好みがあるので少しずつ試飲してください。氷はありますか?」

「用意させよう」

 用意できるんだ。魔法使いに氷を作らせるのかな?

 席を勧められて座ると、侍女だかメイドだかが現れ、テーブルに料理を並べ始めた。もう夕飯か? まだ十八時前だぞ?

「いつもはもっと遅くだが、タカトを呼んだので早くしたのだ。ミシャ。一杯だからな。ちゃんと食事をしろ」

 先ほどから酒を並べてどれにしようかとニンマリする領主代理。子供か。

「わかっている。だが、これは美味いとわたしの勘が言っているのだ」

「でしたらワインを先に飲んでは? 仲間も美味いと言っておりました」

「そうか。では、ワインからいただこう」

 侍女だかメイドだかにグラス(白濁してるが高級そう)を用意し、自ら封を切った。てか、よく回してキャップを外せたな。

「濃厚だな」

 領主代理ともなれば高級なワインを飲んでるだろうに、千円のワインのほうが濃いんだ。

「うん。美味い」

 気に入ってもらえてなによりだ。

 ギルドマスターから料理を勧められたのでいただきます。うん、味が薄い。不味くはないが、パンチがない。肉も柔らかいのに塩だけって、焼き肉のタレをぶっかけてかぶりつきたいよ。

 それでも出されたものはいただき、アルコール度数が低いワインで流し込んだ。

 食事中はしゃべらないのがマナーなのか、終始静かなままの食事で、食後のデザートはなく、なんか牛乳? っぽいものを温めて蜂蜜を入れたものが出された。ぐっすり眠れそうな味だ……。

「サイ。もう飲んでよかろう?」

「ああ。いいぞ。タカト。なにか甘いものは出せないか? シメ的なものが」

 ここにもシメとかあるんだ。どんな文化だよ。

 アポートポーチは丸めてつけてあるので、ほどいてプリンとハーゲ○ダッツを出してやった。オレは飲みかけのウイスキーと炭酸を取り寄せた。グラスは侍女だかメイドだかに出してもらった。

「これは氷菓子か?」

「アイスとプリンと言う菓子です。甘くて美味しいですよ」

 蓋を外してスプーンで掬い、目をかっぴらいたと思ったら一心不乱に食べ始め、続いてプリンに手を伸ばした。ゆっくり食べなさいよ。

 氷が運ばれてきたのでグラスに入れ、ウイスキーと炭酸を入れてハイボールにした。オレはレモンもライムも入れない派だ。

「これは、氷がいいな」

 ウイスキーの飲み方を考えている領主代理。オレ、なにしに呼ばれたんだろうな? まあ、顔合わせ、と思っておけばいっか。 

「タカト。せっかく来てもらったのにすまんな。ミシャはああなると周りが見えなくなるのだ」

「いえ。どんな方かはわかったので構いませんよ」

 酒好きな優秀な人だってね。

「ふふ。酒に弱いのは難点だが、ミシャは領主代理としては優秀だ。まあ、タカトからしたらゴブリンを片付けられないヤツだと思っているだろうが、領主がいなくてもやれているのはミシャがいてくれるからだ。他では立ちいかなくなっていただろうよ」

「優秀な人頼み、ですか。ギルドマスターと同じく仕事を一人占めしてそうですね」

「お前は遠慮なく言うな」

「失礼を言ってたら申し訳ありません。これまで身分ある方と接点がなかったので、どこまでが失礼かわからないもので」

「そうなのか? かなり学と礼儀を弁えていたから貴族なのかと思っていたよ」

「オレは一般庶民ですよ。学もありませんしね」

 高卒では学があるとは言えんだろう。成績も中の上、ってくらいだ。そう思われてるのは社会人経験があったからだろうよ。

「まあ、女神の使徒ならそのくらいできて当然か」

「単なるゴブリン駆除員ですよ。過大評価しないでください」

 ほんと、持ち上げるのは止めて。オレは凡人なんだからさ。

「ふふ。お前は本当に慎重な男だな。もっと堂々とせんと舐められるぞ」

「舐められて困る矜持なんて持ち合わせてないから構いませんよ。まあ、危害を加えてくるなら別ですがね」

 そのためにカインゼルさんから訓練を受けてるし、護身用武器は身につけている。ホームに逃げるくらいの時間は稼げるさ。

「お前の怖いところはそこだな」

 怖い? ただ臆病なだけだと思うんだがな。まったく、オレは勘違い系主人公ではないんだから評価は正確にしてもらいもんだよ……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...