ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
140 / 459

140 臆病者の戦い方

しおりを挟む
 橋のところにきて思い出した。夜は閉まるんだった!

「すみません、ギルドマスター。これ通れないんですか?」

 仮眠しろと言って申し訳ないが、ここを渡らないとミスリムの町にもいけんよ。

「ゴルグ。柵をどかしてくれ。冒険者ギルドのマスターとして許可する」

 と、ギルドマスターがそんなことを言った。

「ギルドマスターの特権だ」

 ビバ権力。ついてきてもらってよかった~!

 ゴルグにより柵が退かされ、橋を渡ることができ、橋を管理する者にギルドマスターが説明してくれた。権力万歳!

 ミスリムの町を迂回して大通りを進んでいると、ゴルグが前に出た。

「タカト、こっちだ!」

 左の道に曲がり、しばらくいくと停止した。

「巨人が通れる山道になるが、そう道はよくない。ゆっくりいくぞ」

「わかった」

 北米対応だから表示がマイルだが、車を運転してたらどのくらいの時速はわかるもの。十キロくらいで山道を進んだ。

 一時間くらいしてゴブリンの大量の気配が感じ取れた。

「ゴルグ、止まれ! 近づいた!」

 パイオニアを停め、ヘッドライトをつけてからエンジンを切った。

「ここを前線基地とします。ゴルグ、周囲を見張ってくれ。ギルドマスターは休んでてください。夜中に交代してください」

「わかった。ゴブリン狩りはタカトが専門だからな、従おう」

 別に専門ではないが、主力はゴルグとギルドマスターだ。雑用で煩わせたくないだけだ。

 マチェットで周辺の草木を薙ぎ払って空間を作り、周辺にローブを張り巡らせてLEDランタンをかけて明るくした。

「タカト。周囲に獣はいない。と言うか、獣も虫もいなくなってる感じだ」

「ゴブリンが大量に集まってるせいだろう。下手すると二千以上はいるかもしれないからな」

「そんなにか? 応援を呼んだほうがいいんじゃないか?」

「それは領主代理の判断だし、応援がくるまでにゴルグとギルドマスターには稼いでもらう。これは危機ではあるが好機だ。嫁と子供に楽をさせたいのならしっかり稼げ。こちらは優勢だ」

 なんて言ってくれるリーダーの下で戦いたいもんである。オレにははったりをかますくらいしかできないよ。

「ふっ。そうだな。しっかり稼ぐとしよう」

 巨人がやる気になってくれると頼もしい限りである。しっかり殺ってくれ。

 少し見張りを頼んでホームに戻った。

「ミリエル。ラダリオンはきたか?」

「はい。今さっき夕食を取りにきました。戦闘はまだ起こってないようです」

「きっと夜中に襲ってくるんだろう。オレたちはカインゼルさんたちの気配がわかる距離まできた。ゴブリンが襲撃に出て興奮して背後への警戒が薄まったら襲いかかるよ」

「わかりました。気をつけてくださいね」

「ああ。ミリエルも無理なときは眠っていいからな。夜の間は大丈夫だろう。勝負は明るくなってからだ。それまで体を休ませておけ」

「はい」

 ミリエルに笑顔を見せて外に出た。

 時刻はもう少しで二十三時。前回と前々回と同じなら三時から四時くらいに襲ってくるだろう。まったく明るいときに襲ってきやがれだ。

「タカト。ゴブリンの動きはどうだ?」

 二時くらいにギルドマスターが起きてきた。もっとゆっくりしてたらいいのに。

「まだ動きはありません。襲撃前の休息をしてるんでしょう」

「そうか。お前は、戦況が見えるのか?」

 広げたスケッチブックにゴブリンの配置を描いてるのを見て尋ねてきた。

「戦況と言うかゴブリンの気配を感じて、想像で描いてるだけです」

 カインゼルさんは山の頂上に陣取っていると言っていた。円を描き、山にいるゴブリンの配置を丸で示す。これが第一波だろうな。

 第二波、ではなく第二陣、第三陣、第四陣が三方を囲んでいる。南側にいないのは崖があるかで配置できないのだろう。

「王の隊は第三陣の背後にいますね。一際大きい気配がここにいます。オレはここです」

 ここから一番近いのは第二陣。他より少ないが、それでも最低三百匹はいそうな気配だ。

「まるで戦争を知っている戦陣だな」

「前に戦った王も厄介な襲い方をしてくれましたよ」

 王は常に背後にいて部下に襲わせていた。まるで将棋を打つように攻めてきたっけ。まあ、力押しの将棋だけどな。

「王を倒したとは報告があったが本当だったのだな」

「王を倒したのはラダリオンですよ。オレは追い込んだだけです」

「普通、王を追い込むことも至難だ。王が立てば配下は千とも二千とも言われるのだ。カインゼルを引き込む前、二人でそれを成し遂げたのだろう? なら、それは快挙。金印でも不可能なことだ」

 と力説されても自信を持てることはなにもない。元の世界の道具を利用し、銃を使い、ホームに助けられ、最後はラダリオンに託したのだ。そこに英雄的行動はなにもない。臆病者の戦いをしたまでなんだからな。

 我ながら自己肯定感がないとは思う。だが、肯定したからと言って身体能力が高まるわけでもなければ秘めたる力が覚醒するわけでもない。あるものを利用し、安全第一に、命大事に生き抜くしかないのだ。

「フフ。お前はどこまでも冷静だな」

「ゴルグとギルドマスターがいますからね。一人だったら怖くて震えているか、酒に溺れてるところですよ」

 いや、その前に逃げてるか。別に命を賭ける理由はないんだからな。

「オレも少し寝ます。なにかあれば起こしてください。ゴルグも少し休めな」

 そう告げてパイオニアに乗り、座席に横になった。フラット座席でよかった……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...