193 / 459
193 とらぬ狸の皮算用
しおりを挟む
気温が完全に秋のものとなり、麦の刈り入れが始まった。
「結構人がいるもんなんだな」
麦の刈り入れにたくさんの人が現れ、とてもゴブリン駆除をしている状況ではなくなってしまった。
「村総出でやるからな。町や冒険者も駆り出されるよ」
この時代じゃ刈り入れは総力戦となるのか。機械がないと大変だな。
「さて。どうするかね?」
人がたくさん現れたことでゴブリンどもも逃げてしまった。オレらも山に向かったほうがいいかな?
「なら、ミランド峠にいかないか? たくさんいたんだろう?」
と、ミシニーが提言。ミランド峠か。今は川を渡ってミスリムの町の手前だから一時間くらいでいけるな。
「ミリエル。運転交代だ。これにミランド峠にいくことを書いてくれ」
一応、定期的に自分らの状況を教えるためにオレとラダリオンが休憩時に戻り、カインゼルさんはホームからオヤツを取り寄せて知らせる、ってことにしたのだ。
カインゼルさんの状況はわからないが、休憩時に取り寄せなかったらなにかあったと判断して助けにいくことにしてある。毎日ミーティングをして互いの位置を教え合っているから一時間くらいでいけるはずだ。
「タカトさん、わたしも銃を使っていいですか? 人がいないならライフルを使ってもいいですよね?」
「いきなりライフルは危ないからAPC9からな。慣れたらライフルだ」
まだ脚の筋肉もついてないし、銃はグロックだけしか撃ってない。少しずつ慣れていくほうがいい。オレだってMP9から使っていったし。
「……わかりました……」
「そうがっかりするな。と言うか、ミリエルって攻撃魔法は使えないのか?」
凄い回復魔法を使えるんだから攻撃魔法も使えるんじゃないの? 超回復で肉体破壊とか?
「……眠りの魔法なら使えます……」
「眠り? どのくらいの威力だ?」
「半径五メートル内ならすぐに眠らせられます」
いやそれ、もう攻撃だよ。って、両脚をなくしても生き残れた理由はそれか? 確実に凶悪仕様だろう、それ?
「よし。ゴブリンで検証してみよう。その眠りがゴブリンに効けば有効に使えるぞ」
「有効、ですか?」
「ああ。ゴブリンを生け捕りにできれば訓練に使えるし、的にもなる。なにより、売ることができる」
「売る?」
疑問符の花を頭に咲かせる二人。まあ、理解できないのも無理もないわな。
「権力者を請負員にしたときゴブリンを売るんだよ。権力者はそう簡単にゴブリン駆除には出かけられない。そのとき銅貨十枚くらいで売るのさ」
「ゴブリン一匹に銅貨十枚? 出すものなのか?」
懐疑的なミシニー。
「自分で言ったろう。不味い料理には戻れないって。一度頭に刻まれた味は忘れられない。また求めてしまうものだ。高い金を払ってもな」
本当ならこの世界の料理を食い、この世界にある武器を使うことが正しいのだろうが、ゴブリンを駆除できたら元の世界の料理を食えるのだ。わざわざ捨てるバカがどこにいる? 少なくともオレには捨てられないぞ。
「領主代理を請負員にしてゴブリンを売りつける」
ギルドマスターが請負員になってるじゃん。っておっしゃる方もいるだろう。だが、立場的にゴブリン駆除ばかりやってられないはずだ。そんな立場で甘いもの好きと酒好きを満たしてやれるか? 菓子と酒だけで満足してられるか? 無理だと断言できる。必ず他のものにも手を出すさ。
「まあ、オレたちも捕獲ばかりしてられない。となると、ゴブリンを捕獲するために冒険者に依頼するだろう。その流れができたらゴブリンは減るはずだ」
思惑は他にもある。が、少なくともコラウスからゴブリンは減る。オレらが領外に出ても領主代理から文句を言われることもないはずだ。
「……タカトは変なこと考えるんだな……」
「将来に備えて布石を打ってるだけだ。コラウスはいろいろ問題を抱えているからな。最低でも領主代理はこちらの味方にしておく必要があるんだよ」
あの人なら請負員カードで買ったものを政治利用するはずだ。まあ、どう使うかまではオレには想像できんが、やるとだけは断言できる。あの人は手段を有効に利用するタイプっぽいからな。
「怖いな、タカトは。わたしは、ギルドマスターと張り合おうとか思いもしないぞ」
「張り合おうとは思わないよ。味方に引き込もうとしてるだけだ」
あんな敵にしちゃダメな夫婦と張り合うとか、それこそ思いもしないよ。
「ハァ~。やっぱりお前はとんでもないよ」
「オレは極々普通の凡人だよ」
「極々普通の凡人はそんなこと考えるか。そう言うのは頭のいいヤツが考えることで、度胸があるヤツがやることだ」
「臆病者が必死に考えて、死の恐怖に怯えている弱者がやってることだよ」
頭がよくて度胸があるならもっと違う戦い方してるよ。できないから姑息な手を使わずを得ないのだ。
「まあ、それもミリエルの眠りの魔法がどれほどのものか次第だな」
とらぬ狸の皮算用。まずはゴブリンを眠らせることができてからだ。
ホームに連絡用紙に置きに戻り、ミリエルと運転を代わってミランド峠に向かった。眠りの魔法が上手くいきますようにと願いながら。
「結構人がいるもんなんだな」
麦の刈り入れにたくさんの人が現れ、とてもゴブリン駆除をしている状況ではなくなってしまった。
「村総出でやるからな。町や冒険者も駆り出されるよ」
この時代じゃ刈り入れは総力戦となるのか。機械がないと大変だな。
「さて。どうするかね?」
人がたくさん現れたことでゴブリンどもも逃げてしまった。オレらも山に向かったほうがいいかな?
「なら、ミランド峠にいかないか? たくさんいたんだろう?」
と、ミシニーが提言。ミランド峠か。今は川を渡ってミスリムの町の手前だから一時間くらいでいけるな。
「ミリエル。運転交代だ。これにミランド峠にいくことを書いてくれ」
一応、定期的に自分らの状況を教えるためにオレとラダリオンが休憩時に戻り、カインゼルさんはホームからオヤツを取り寄せて知らせる、ってことにしたのだ。
カインゼルさんの状況はわからないが、休憩時に取り寄せなかったらなにかあったと判断して助けにいくことにしてある。毎日ミーティングをして互いの位置を教え合っているから一時間くらいでいけるはずだ。
「タカトさん、わたしも銃を使っていいですか? 人がいないならライフルを使ってもいいですよね?」
「いきなりライフルは危ないからAPC9からな。慣れたらライフルだ」
まだ脚の筋肉もついてないし、銃はグロックだけしか撃ってない。少しずつ慣れていくほうがいい。オレだってMP9から使っていったし。
「……わかりました……」
「そうがっかりするな。と言うか、ミリエルって攻撃魔法は使えないのか?」
凄い回復魔法を使えるんだから攻撃魔法も使えるんじゃないの? 超回復で肉体破壊とか?
「……眠りの魔法なら使えます……」
「眠り? どのくらいの威力だ?」
「半径五メートル内ならすぐに眠らせられます」
いやそれ、もう攻撃だよ。って、両脚をなくしても生き残れた理由はそれか? 確実に凶悪仕様だろう、それ?
「よし。ゴブリンで検証してみよう。その眠りがゴブリンに効けば有効に使えるぞ」
「有効、ですか?」
「ああ。ゴブリンを生け捕りにできれば訓練に使えるし、的にもなる。なにより、売ることができる」
「売る?」
疑問符の花を頭に咲かせる二人。まあ、理解できないのも無理もないわな。
「権力者を請負員にしたときゴブリンを売るんだよ。権力者はそう簡単にゴブリン駆除には出かけられない。そのとき銅貨十枚くらいで売るのさ」
「ゴブリン一匹に銅貨十枚? 出すものなのか?」
懐疑的なミシニー。
「自分で言ったろう。不味い料理には戻れないって。一度頭に刻まれた味は忘れられない。また求めてしまうものだ。高い金を払ってもな」
本当ならこの世界の料理を食い、この世界にある武器を使うことが正しいのだろうが、ゴブリンを駆除できたら元の世界の料理を食えるのだ。わざわざ捨てるバカがどこにいる? 少なくともオレには捨てられないぞ。
「領主代理を請負員にしてゴブリンを売りつける」
ギルドマスターが請負員になってるじゃん。っておっしゃる方もいるだろう。だが、立場的にゴブリン駆除ばかりやってられないはずだ。そんな立場で甘いもの好きと酒好きを満たしてやれるか? 菓子と酒だけで満足してられるか? 無理だと断言できる。必ず他のものにも手を出すさ。
「まあ、オレたちも捕獲ばかりしてられない。となると、ゴブリンを捕獲するために冒険者に依頼するだろう。その流れができたらゴブリンは減るはずだ」
思惑は他にもある。が、少なくともコラウスからゴブリンは減る。オレらが領外に出ても領主代理から文句を言われることもないはずだ。
「……タカトは変なこと考えるんだな……」
「将来に備えて布石を打ってるだけだ。コラウスはいろいろ問題を抱えているからな。最低でも領主代理はこちらの味方にしておく必要があるんだよ」
あの人なら請負員カードで買ったものを政治利用するはずだ。まあ、どう使うかまではオレには想像できんが、やるとだけは断言できる。あの人は手段を有効に利用するタイプっぽいからな。
「怖いな、タカトは。わたしは、ギルドマスターと張り合おうとか思いもしないぞ」
「張り合おうとは思わないよ。味方に引き込もうとしてるだけだ」
あんな敵にしちゃダメな夫婦と張り合うとか、それこそ思いもしないよ。
「ハァ~。やっぱりお前はとんでもないよ」
「オレは極々普通の凡人だよ」
「極々普通の凡人はそんなこと考えるか。そう言うのは頭のいいヤツが考えることで、度胸があるヤツがやることだ」
「臆病者が必死に考えて、死の恐怖に怯えている弱者がやってることだよ」
頭がよくて度胸があるならもっと違う戦い方してるよ。できないから姑息な手を使わずを得ないのだ。
「まあ、それもミリエルの眠りの魔法がどれほどのものか次第だな」
とらぬ狸の皮算用。まずはゴブリンを眠らせることができてからだ。
ホームに連絡用紙に置きに戻り、ミリエルと運転を代わってミランド峠に向かった。眠りの魔法が上手くいきますようにと願いながら。
0
あなたにおすすめの小説
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~
RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。
試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。
「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」
枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる