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262 ジュリアンヌ
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「ほぉう。たくさんあるね。モディーグの魔石かい」
「見ただけでわかるんですね」
なんか特徴でもあんの?
「この道五十年。わからないほうがどうかしとるよ」
へー。五十年もこの商売をやってんだ。もう老舗じゃん。
「コラウスからきたのかい?」
「ええ。マイセンズにいくついでに寄りました。水の魔石が欲しかったので。ありますか?」
「水の魔石かい。欲しがったヤツなんて二十年振りかね? さて。どこに仕舞ったかね?」
カウンターから消え、しばらくして小箱を持って戻ってた。その奥、どうなってんの?
「うちにある水の魔石はこれだけだね」
箱の蓋を開けると、ゴルフボールくらいの魔石が四つ、入っていた。
「水色じゃないんですね」
てっきり水色をしているかと思っていたら乳白色だった。
「水の魔石は大体この色だよ。たまに斑なものがあるが、ここまでは流れてこないね。希少であり高額だから」
「では、すべてください。あ、この魔石から引いてください」
「いくらか聞かないのかい?」
「金貨百枚とかなら止めておきますよ」
ざんねんながら手持ちの金貨は二十三枚。銀貨は六十枚くらい。それで買えないなら諦めるさ。
「水の魔石は一つ銀貨三枚だよ」
「安いんですね?」
「それでも売れないのが水の魔石さ」
そもそも水の魔法を使える者が少ないんだってさ。極めれば便利なのにな。オレは極められるほど強くないけど。
水の魔石を引いて、モディーグの魔石は金貨六枚で買い取ってくれた。
「随分と高く買ってくれるんですね」
アルズライズの話では安く買い叩かれて金貨三枚なのに。
「赤い魔石はこれからの日々に必要なものだからね。もっと欲しいくらいさ」
そう言えば、熱の魔石は暖房にも使われるとかだったな。この辺、森もないし薪が高いのかな?
「そうだ。これも買い取ってもらえます?」
上位種ゴブリンの魔石とワイニーズの魔石(緑色)をカウンターに置いた。
「……なにか外が騒がしいと思ったらワイニーズが出たのかい」
「ええ。我が身の不運さを呪うばかりです」
「よく、倒したね。よほどの魔法使いでも苦戦する相手だってのに」
「これでも銀印の冒険者でもありますからね」
リンクスとチートタイムのお陰です、と言ったところで理解されんのだからそう答えておく。
「よく兵士たちに取り上げられなかったね?」
「うちには冒険者ギルドで働いていた女傑がいたので魔石は死守できました」
シエイラの口擊に兵士たちもたじたじ。あれは誰も勝てんって。
「どちらも買いたいが、さすがに資金がない。青の魔石だけ買わせておくれ。もし、急ぎでないのならまたあとで売ってくれると助かる」
それだけのものなんだ。魔石ってオレが思う以上に必要とされているんだな。
「わかりました。またくるのでそのときに売りにきますよ」
「ああ。そうしておくれ。上乗せして買わせてもらうから」
と、金貨五枚を差し出された。青い魔石、そんなにしたっけ?
「上位種の魔石とは言え、破格の値段ですね?」
「青い魔石は教会に買い占められるからね。なかなか市場には流れないんだよ」
教会、ほんとクズだな。私利私欲の権化かよ。今度から青い魔石はここで売ってやる。
「オレは、一ノ瀬孝人。皆からはタカトと呼ばれています。ゴブリン駆除ギルドのマスターをしてますのでよろしくお願いします」
またくるのなら名乗っておいたほうがいいだろう。
「わたしは魔石屋の主、ジュリアンヌだよ」
そ、それは、また、情熱的(勝手なイメージ)なお名前ですこと。その名前が似合っていた年齢のときにお会いしたかったです。
「青い魔石は可能な限り、こちらに持ってきますからたくさん金を用意しておいてください」
「ああ。任せておきな。金を集めておくよ」
一礼して魔石屋をあとにした。
横丁を出たらカインゼルさんに金貨を六枚渡した。
「また必要なときに使ってください」
カインゼルさんには定期的に金を渡している。これには給金の意味があるが、オレがなにかあったとき、残った者たちを面倒見てもらうためでもある。
「ああ。わかった」
カインゼルさんも理解してくれているので、深くは追及してこない。ほんと、カインゼルさんが仲間になってくれたことは最大の幸運だよ。
宿に戻り、マイヤー男爵領名物のキャベツ(みたいなもの)料理……だけでは満足できない体になっているので、ミサロが作った肉じゃがから作ったカレーを食べた。
「ミサロは料理上手だな!」
肉じゃがカレーを気に入ったカインゼルさん。ミサロの腕を称賛しまくりである。
「そうですね。たった数日でオレより上手くなりましたよ」
カレーとシチューは自信があったのに、完全に追い越されてしまったぜ。
今日は酒もそこそこにして早目に就寝。六時くらいに起き出し、朝飯を食ったら八時前くらいに宿を発った。
「さすがに朝は寒いな」
もう十二月に入ったような気温で、六度しかなかった。これでも暖かいそうで、皆厚着をするだけで充分で、貼るカイロを六枚もしているのはオレだけだ。
ハァー。カイロでも寒い。やはり痩せ我慢せず電熱ヒーターのベストとグローブを買うんだったぜ。
冬の寒さに堪えながらKLXを走らせた。
「見ただけでわかるんですね」
なんか特徴でもあんの?
「この道五十年。わからないほうがどうかしとるよ」
へー。五十年もこの商売をやってんだ。もう老舗じゃん。
「コラウスからきたのかい?」
「ええ。マイセンズにいくついでに寄りました。水の魔石が欲しかったので。ありますか?」
「水の魔石かい。欲しがったヤツなんて二十年振りかね? さて。どこに仕舞ったかね?」
カウンターから消え、しばらくして小箱を持って戻ってた。その奥、どうなってんの?
「うちにある水の魔石はこれだけだね」
箱の蓋を開けると、ゴルフボールくらいの魔石が四つ、入っていた。
「水色じゃないんですね」
てっきり水色をしているかと思っていたら乳白色だった。
「水の魔石は大体この色だよ。たまに斑なものがあるが、ここまでは流れてこないね。希少であり高額だから」
「では、すべてください。あ、この魔石から引いてください」
「いくらか聞かないのかい?」
「金貨百枚とかなら止めておきますよ」
ざんねんながら手持ちの金貨は二十三枚。銀貨は六十枚くらい。それで買えないなら諦めるさ。
「水の魔石は一つ銀貨三枚だよ」
「安いんですね?」
「それでも売れないのが水の魔石さ」
そもそも水の魔法を使える者が少ないんだってさ。極めれば便利なのにな。オレは極められるほど強くないけど。
水の魔石を引いて、モディーグの魔石は金貨六枚で買い取ってくれた。
「随分と高く買ってくれるんですね」
アルズライズの話では安く買い叩かれて金貨三枚なのに。
「赤い魔石はこれからの日々に必要なものだからね。もっと欲しいくらいさ」
そう言えば、熱の魔石は暖房にも使われるとかだったな。この辺、森もないし薪が高いのかな?
「そうだ。これも買い取ってもらえます?」
上位種ゴブリンの魔石とワイニーズの魔石(緑色)をカウンターに置いた。
「……なにか外が騒がしいと思ったらワイニーズが出たのかい」
「ええ。我が身の不運さを呪うばかりです」
「よく、倒したね。よほどの魔法使いでも苦戦する相手だってのに」
「これでも銀印の冒険者でもありますからね」
リンクスとチートタイムのお陰です、と言ったところで理解されんのだからそう答えておく。
「よく兵士たちに取り上げられなかったね?」
「うちには冒険者ギルドで働いていた女傑がいたので魔石は死守できました」
シエイラの口擊に兵士たちもたじたじ。あれは誰も勝てんって。
「どちらも買いたいが、さすがに資金がない。青の魔石だけ買わせておくれ。もし、急ぎでないのならまたあとで売ってくれると助かる」
それだけのものなんだ。魔石ってオレが思う以上に必要とされているんだな。
「わかりました。またくるのでそのときに売りにきますよ」
「ああ。そうしておくれ。上乗せして買わせてもらうから」
と、金貨五枚を差し出された。青い魔石、そんなにしたっけ?
「上位種の魔石とは言え、破格の値段ですね?」
「青い魔石は教会に買い占められるからね。なかなか市場には流れないんだよ」
教会、ほんとクズだな。私利私欲の権化かよ。今度から青い魔石はここで売ってやる。
「オレは、一ノ瀬孝人。皆からはタカトと呼ばれています。ゴブリン駆除ギルドのマスターをしてますのでよろしくお願いします」
またくるのなら名乗っておいたほうがいいだろう。
「わたしは魔石屋の主、ジュリアンヌだよ」
そ、それは、また、情熱的(勝手なイメージ)なお名前ですこと。その名前が似合っていた年齢のときにお会いしたかったです。
「青い魔石は可能な限り、こちらに持ってきますからたくさん金を用意しておいてください」
「ああ。任せておきな。金を集めておくよ」
一礼して魔石屋をあとにした。
横丁を出たらカインゼルさんに金貨を六枚渡した。
「また必要なときに使ってください」
カインゼルさんには定期的に金を渡している。これには給金の意味があるが、オレがなにかあったとき、残った者たちを面倒見てもらうためでもある。
「ああ。わかった」
カインゼルさんも理解してくれているので、深くは追及してこない。ほんと、カインゼルさんが仲間になってくれたことは最大の幸運だよ。
宿に戻り、マイヤー男爵領名物のキャベツ(みたいなもの)料理……だけでは満足できない体になっているので、ミサロが作った肉じゃがから作ったカレーを食べた。
「ミサロは料理上手だな!」
肉じゃがカレーを気に入ったカインゼルさん。ミサロの腕を称賛しまくりである。
「そうですね。たった数日でオレより上手くなりましたよ」
カレーとシチューは自信があったのに、完全に追い越されてしまったぜ。
今日は酒もそこそこにして早目に就寝。六時くらいに起き出し、朝飯を食ったら八時前くらいに宿を発った。
「さすがに朝は寒いな」
もう十二月に入ったような気温で、六度しかなかった。これでも暖かいそうで、皆厚着をするだけで充分で、貼るカイロを六枚もしているのはオレだけだ。
ハァー。カイロでも寒い。やはり痩せ我慢せず電熱ヒーターのベストとグローブを買うんだったぜ。
冬の寒さに堪えながらKLXを走らせた。
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