273 / 459
273 パイルバンカー
しおりを挟む
暗くなる前に職員五人とドワーフ二人、そして、領主代理の副官、ハーフエルフの……なにさんだっけ?
「ミロルド・シャードマンよ」
あ、あぁ、そんな名前、でしたっけ? ダメ女神のアナウンスで完全に忘れてしまいました。ごめんなさい。
「なぜ、領主代理の副官が? 領地を離れたりしてよろしいので?」
「ミシャード様の命令ですので」
上司からの命令か。なら、なぜとか訊いても仕方がないか。
「そうですか。まあ、今日はゆっくり休んでください。状況は落ち着いたら話しますんで」
副官さんの出番はマイセンズにいってから。今回のことには不参加でいいだろう。ミリエルたちが町に入ったらプライムデーが終わるまで休日とするからな。
風呂を用意してやり、食事を出して早々に休んでもらった。
オレも明日は駆除に参加するので夜中にロズとマッシュに代わってもらい、七時まで眠らせてもらった。
ミリエルたちはとっくに起きていて、準備万端でゆっくりしていた。
「すぐに用意する」
ホームに入ってシャワーを浴び、果物を適当に突っ込み、牛乳を入れてミキサーをオン。できたものをいっき飲み。マルチシールドを右腕に装着。ヒートソードは右腰に。グロック17は左腰に。今回は接近戦仕様だ。
「ミサロ。これから町に入る作戦をする」
「ええ。気をつけてね」
ミサロに見送られて外に出た。
「よし。いこうか。オレが戻ってくるまでここにいろよ」
職員たちにそう指示を出して簡易砦を発った。
仲間を食ったゴブリンどもは今日も元気であり、腹が満ちただろうに町を囲んでいた。
……仲間を食っただけでは満たされないのか……?
「よし。作戦開始だ」
「タカトさん。気をつけてくださいね」
「そっちもな。町に入れないときはすぐに逃げるんだぞ」
入れてくれるとは限らない。なので、トレーラーに食料を積んで入れる理由を作った。食料不足なら少しでも欲しいだろうからな。
ミリエルたちと別れ、川があったところに向かい、処理肉を大量にばら撒いた。
気温が氷点下に近いので、臭いが立つよう焼き肉のタレをかけてヒートソードで焼いた。
肉を切り落としただけだけど、焼き肉のタレをかけた肉はなんとも美味そうな香りを立てやがる。プライムデーは焼き肉デーにするか。七十パーオフだし。
「おっ。動き出した」
チートタイムをスタートさせて空にジャンプ。ホームに入ったら停止させた。
「ざっと十五メートルかな?」
本気じゃないとは言え、十五メートルもジャンプできるとか勇者はバケモノか? てか、そんなバケモノがいるってことか? 考えるだけで人生を強制終了させたくなるよ……。
窓を下に移動させると、ゴブリンがわんさかと集まり出して焼き肉のタレで焼いた処理肉をがっついていた。
臭いは伝わらないが、ゴブリンどもの目から狂乱化しているのがわかった。
「最後の晩餐だ。しっかり食えよ」
ダストシュートを開放し、ガソリンを降らした。
十八リットルのポリタンクを四つ、空にしたら火炎瓶に火をつけてダストシュートにポイ。空から撒いたことにより広範囲に散ったガソリンに引火。そこそこの大惨事になった。
燃えたのは百匹もいないだろうが、オレの役目はゴブリンを引きつけること。
「──タカトさん。パイオニアを出します!」
少し離れたところからミリエルがホームに入ってきた。
「ああ。ゴブリンはどうだ?」
「そこそこいますが、メビとアルズライズさんでなんとかなります」
パイオニア二号に乗り込むとエンジンをかけて外に。少ししてまた入ってきてトレーラーを出した。
連結させたら町に向かう、って作戦だ。
そのためにも集めたゴブリンをさらに集めるために解体した山黒の肉をダストシュートしてやる。
ガソリンの臭いで嗅ぎ取れるかな? と心配したが、醤油と砂糖、酒をかけておいたのでいい匂いになっていたようだ。燃えて苦しむ仲間を踏み潰して山黒の肉に群がった。
いい感じになったら手榴弾のピンを抜いてポイ。ポポイのポイと次々とポイしていった。
「空中爆撃だな」
十五メートルの上空からなので手榴弾が爆発する前に落下し、ゴブリンどもに蹴られて広がっている。
そのせいで買っていた手榴弾を四十個も使ってしまった。手榴弾もプライムデーに買っておかないとな。
「二百匹は駆除したかな?」
必要経費を引いたら八十万円の儲け、と言ったところだろうか? 毎回こんな楽な駆除をできたらいいのにな。
なんて夢は捨ててダストシュートを閉じる。
「ミサロ。パイオニア一号を入れておいてくれな」
そろそろカインゼルさんたちがパイオニアを使えるところまで進んだはずだ。
「ええ、わかったわ。気をつけて」
今日、二度目の気をつけてをもらい、チートタイムを再スタートさせて外に出た。
落下しながら水を最大に集め、着地したら辺りに満ちる臭いを洗い流した。
またチートタイムを停止。マルチシールドを展開。ヒートソードを抜いた。
マルチシールドは流体金属でできているようで、いろんな形に変えられ、防御力は低下するが装着者を覆うこともできる。
自由自在に形を変えられるってことは、一点に伸ばすってことも可能。つまり、パイルバンカーになるってことだ。
三メートル離れたゴブリンに向けてマルチシールドを伸ばすイメージ──したら頭を貫いてしまった。
射程は大体三メートルちょっと。いや、ゴブリンならもっと細くして四メートルまではイケるはずだ。
どんなエネルギーで動いているかまでは教えてくれなかったが、壊れるまで動くとは教えてくれた。曖昧か!
まあ、世の中壊れない道具はない。千匹倒せたなら当たった価値はある。惜しまず使え、だ。
「さあ、串刺しの時間だ!」
「ミロルド・シャードマンよ」
あ、あぁ、そんな名前、でしたっけ? ダメ女神のアナウンスで完全に忘れてしまいました。ごめんなさい。
「なぜ、領主代理の副官が? 領地を離れたりしてよろしいので?」
「ミシャード様の命令ですので」
上司からの命令か。なら、なぜとか訊いても仕方がないか。
「そうですか。まあ、今日はゆっくり休んでください。状況は落ち着いたら話しますんで」
副官さんの出番はマイセンズにいってから。今回のことには不参加でいいだろう。ミリエルたちが町に入ったらプライムデーが終わるまで休日とするからな。
風呂を用意してやり、食事を出して早々に休んでもらった。
オレも明日は駆除に参加するので夜中にロズとマッシュに代わってもらい、七時まで眠らせてもらった。
ミリエルたちはとっくに起きていて、準備万端でゆっくりしていた。
「すぐに用意する」
ホームに入ってシャワーを浴び、果物を適当に突っ込み、牛乳を入れてミキサーをオン。できたものをいっき飲み。マルチシールドを右腕に装着。ヒートソードは右腰に。グロック17は左腰に。今回は接近戦仕様だ。
「ミサロ。これから町に入る作戦をする」
「ええ。気をつけてね」
ミサロに見送られて外に出た。
「よし。いこうか。オレが戻ってくるまでここにいろよ」
職員たちにそう指示を出して簡易砦を発った。
仲間を食ったゴブリンどもは今日も元気であり、腹が満ちただろうに町を囲んでいた。
……仲間を食っただけでは満たされないのか……?
「よし。作戦開始だ」
「タカトさん。気をつけてくださいね」
「そっちもな。町に入れないときはすぐに逃げるんだぞ」
入れてくれるとは限らない。なので、トレーラーに食料を積んで入れる理由を作った。食料不足なら少しでも欲しいだろうからな。
ミリエルたちと別れ、川があったところに向かい、処理肉を大量にばら撒いた。
気温が氷点下に近いので、臭いが立つよう焼き肉のタレをかけてヒートソードで焼いた。
肉を切り落としただけだけど、焼き肉のタレをかけた肉はなんとも美味そうな香りを立てやがる。プライムデーは焼き肉デーにするか。七十パーオフだし。
「おっ。動き出した」
チートタイムをスタートさせて空にジャンプ。ホームに入ったら停止させた。
「ざっと十五メートルかな?」
本気じゃないとは言え、十五メートルもジャンプできるとか勇者はバケモノか? てか、そんなバケモノがいるってことか? 考えるだけで人生を強制終了させたくなるよ……。
窓を下に移動させると、ゴブリンがわんさかと集まり出して焼き肉のタレで焼いた処理肉をがっついていた。
臭いは伝わらないが、ゴブリンどもの目から狂乱化しているのがわかった。
「最後の晩餐だ。しっかり食えよ」
ダストシュートを開放し、ガソリンを降らした。
十八リットルのポリタンクを四つ、空にしたら火炎瓶に火をつけてダストシュートにポイ。空から撒いたことにより広範囲に散ったガソリンに引火。そこそこの大惨事になった。
燃えたのは百匹もいないだろうが、オレの役目はゴブリンを引きつけること。
「──タカトさん。パイオニアを出します!」
少し離れたところからミリエルがホームに入ってきた。
「ああ。ゴブリンはどうだ?」
「そこそこいますが、メビとアルズライズさんでなんとかなります」
パイオニア二号に乗り込むとエンジンをかけて外に。少ししてまた入ってきてトレーラーを出した。
連結させたら町に向かう、って作戦だ。
そのためにも集めたゴブリンをさらに集めるために解体した山黒の肉をダストシュートしてやる。
ガソリンの臭いで嗅ぎ取れるかな? と心配したが、醤油と砂糖、酒をかけておいたのでいい匂いになっていたようだ。燃えて苦しむ仲間を踏み潰して山黒の肉に群がった。
いい感じになったら手榴弾のピンを抜いてポイ。ポポイのポイと次々とポイしていった。
「空中爆撃だな」
十五メートルの上空からなので手榴弾が爆発する前に落下し、ゴブリンどもに蹴られて広がっている。
そのせいで買っていた手榴弾を四十個も使ってしまった。手榴弾もプライムデーに買っておかないとな。
「二百匹は駆除したかな?」
必要経費を引いたら八十万円の儲け、と言ったところだろうか? 毎回こんな楽な駆除をできたらいいのにな。
なんて夢は捨ててダストシュートを閉じる。
「ミサロ。パイオニア一号を入れておいてくれな」
そろそろカインゼルさんたちがパイオニアを使えるところまで進んだはずだ。
「ええ、わかったわ。気をつけて」
今日、二度目の気をつけてをもらい、チートタイムを再スタートさせて外に出た。
落下しながら水を最大に集め、着地したら辺りに満ちる臭いを洗い流した。
またチートタイムを停止。マルチシールドを展開。ヒートソードを抜いた。
マルチシールドは流体金属でできているようで、いろんな形に変えられ、防御力は低下するが装着者を覆うこともできる。
自由自在に形を変えられるってことは、一点に伸ばすってことも可能。つまり、パイルバンカーになるってことだ。
三メートル離れたゴブリンに向けてマルチシールドを伸ばすイメージ──したら頭を貫いてしまった。
射程は大体三メートルちょっと。いや、ゴブリンならもっと細くして四メートルまではイケるはずだ。
どんなエネルギーで動いているかまでは教えてくれなかったが、壊れるまで動くとは教えてくれた。曖昧か!
まあ、世の中壊れない道具はない。千匹倒せたなら当たった価値はある。惜しまず使え、だ。
「さあ、串刺しの時間だ!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる