ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
316 / 459

316 ボーノ

しおりを挟む
 アシッカの町には暗くなる前に到着できた。ふー。疲れた。

「また人が増えているな」

 城門の前にテントがたくさん張られ、露店ができて賑わっていた。どっからきたんだ?

「タカト、ラダリオンねーちゃんだよ」

 ビシャが指差す方向にラダリオンやゴルグ、ラザニア村からきた巨人が集まっていた。

「マスター」

 ラダリオンたちに目がいって、すぐそこにいたシエイラたちに気づかなかった。

「ご苦労様。今着いたのか?」

 請負員カードで買っただろう防寒着が汚れ、肌がカサカサしていた。もう歳が歳なんだからクリームは塗っとけよ。いや、知らない。んじゃ、あとで買って渡しておくか。

「はい。ほんの数分前に」

「じゃあ、まずは支部にいって風呂に入って疲れを落とせ。オレはゴルグと話をしてくるから。ビシャ、アルズライズ。お前たちも支部にいってていいぞ」

「はい。正直、お風呂に入ったらすぐに寝台に倒れたいです」

「そうするといい。そう急ぐこともないしな。皆もゆっくり休んでくれ」

 ギルドの職員やダインさんなど、かなりの数を連れてきている。話は明日でもいいだろうさ。

 皆を見送ったらラダリオンたちのところに向かった。

「ゴルグ!」

「おう。相変わらず忙しそうだな」

 ここは巨人区的なところなので、話しやすくするよう櫓を作ってもらったのだ。

「まーな。ゴブリンだけじゃなくロースランも退治しないといけないよ」

「ロースランなら大歓迎だ。おれらが食えることは滅多にないからな」

 巨人にも人気なロースラン。意外と不遇な魔物だったりする?

「まだあるなら出してやるよ。ラダリオン。ホームにいってミサロに訊いてみてくれ」

「わかった」

 少し離れてからホームに入り、すぐに寸胴鍋を持って出てきた。なんの料理だ?

「ミサロがロースラン汁を持ってけって。あとうどんも」

 豚汁うどん、ってことか? 

「そうか。まあ、今日はたくさん食べてゆっくり休んでくれ。ラダリオンはホームに戻って休めな」

 腕輪はマイセンズの砦にいる巨人に渡してある。小さくなれないし、ゴルグたちの荷物を運び出す必要もある。しばらくラダリオンにはゴルグたちについててもらおう。

 暗くなってきたのでゴルグたちに任せ、支部に向かった。

 町の中もかなりの人がいて、なにか家の光が多くなった感じがする。道の雪も排除されて空き地にテントが張られている。大丈夫なのか?

 支部に入ると、シエイラたちはとっくに宿屋に移動しており、サイルとカナルの兄弟とアシッカで雇った職員がいるだけだった。

「ご苦労さん。なにか問題は?」

「逃げ出した者が戻ってきて食料不足再び、ですね」

「またか。さすがにコラウスから運ぶのも限界だよな~」

 もちろん、ホームを通しての運搬だが、コラウスにも限界はある。豆や小麦もそんなに回せたりはしないだろうよ。

「となれば伯爵様のところも不足しているか」

 ハァー。問題が次から次にやってくる。オレは領地経営やってんじゃねーぞ。

「明日にでもラダリオンに小麦粉を出してもらう。十時くらいに人を寄越してくれ」

「あ、それなのですが、パスタなら安いと思うのですが、どうでしょう?」

「パスタ?」

「はい。請負員カードで調べたら小麦粉より安かったです」

 原料より安いのか? まあ、小麦が安いときに大量生産されたら安いか? 

「そうか。安いなら買ってみるか。てか、パスタなんて食ったことあるのか?」

 オレ、この世界きてパスタなんて食ってないぞ。

「海の向こうにある国では、パスタに似たボーノが食べられているそうです。わたしも王都でボーノを食べたことがあったので請負員カードで調べてみました」

 またダメ女神に連れてこられた地球人が広めたのか? それとも勇者か? つーか、パスタがボーノになる状況ってなによ? もっと説明があっただろうよ。

「二人は今、報酬金いくらある?」

「わたしは五十二万円てす」

「おれは四十五万円くらいですですかね?」

 合計九十五万円か。結構稼いでいたんだな。

「すまないが三十万円ずつ出してパスタを買ってくれるか? あとでオマケして補填するから。なんなら金貨でもいいぞ」

 オレだといっきに買っていっきに放出することになるが、町にいる二人なら量に合わせて出せるだろうよ。

「わかりました。それならわたしたちで売って構いませんか? なにもマスターがすべてを負担する必要もありませんし、わたしらも小遣い稼ぎしたいですからね」

「もしかして、給金安かったか?」

 給金のことはシエイラに一任したからいくらか知らんけどさ。

「いえ、充分すぎる給金で使い道がないくらいですよ。住むところも食べるものもギルドから出てますからね」

「酒も支給されるとか他ではあり得ません。他に知られないように皆で口を噤むほどです」

 よかった。ブラックギルドでなくて。

「まあ、うちは副業禁止じゃないしな。自分で稼いだ報酬からなにを買っても、それを売ろうとも自由だ。但し、十日で消えることを周知させろよ」

 カインゼルさんやアルズライズ、シエイラには本当のことは教えているが、大体の請負員には十日と周知させている。周りにも十日で消えると浸透させておこう。

「はい。周知させて売ります」

「よろしく頼む。オレは伯爵様のところにいってくる」

 エビル男爵での出来事を報告しなくちゃならないし、食料事情も聞かなくちゃならん。あーリフレッシュ休暇が欲しいぃー!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...