ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
317 / 459

317 ミヤマラン公爵領

しおりを挟む
 伯爵のところにいくと、やはりと言うかなんと言うか、真っ先にモーリスさんが先に現れた。

「食料不足ですか?」

 モーリスさんがしゃべる前にこちらから尋ねた。

「……はい。前回いただいたものがなくなりました」

 ハァー。どんだけだよ。こっちのポケットは四次元じゃねーんだぞ。

「さすがにこちらの懐も限界です。他領から運んでくることはできないので?」

「商人を通じて手紙を出しましたが、やってくるのは春でしょう」

 つまり、早くても三ヶ月後ってことか。

「アシッカから近い大領地ってどこです?」

「ミヤマラン公爵領でしょうか? ここからだと馬車で五日から六日の距離です。そこには行商奴隷団の店があります」

 また馬車でか。距離で言って欲しいぜ。

「買いにいくしかないですね」

 これ以上、ゴブリンの報酬から使うわけにはいかない。まだ洞窟探索もしてないのに、最低ラインを切るわけにはいかない。ホームの改築(増設か?)もしなくちゃならない。なら、買いにいくしかないだろうが。

「ミヤマラン公爵領のことをできるだけ教えてください」

「それなら旦那様に訊いていただけるとわかるかと。十六歳から十八歳まで留学しておりましたので」

 留学? ここでは他領にいくのも留学になるのか?

 よくわからんが、留学にいっていたのなら場所と大まかな地図は作れるだろうよ。

「──ミヤマランにか?」

 説明したら驚かれてしまった。まあ、なかったら買いにいけばいいじゃないとはならんわな。

「はい。とにもかくにも食料がありません。このままでは確実に飢えます」

 オレが出せるのは二十万円。それで五百万円を切ってしまう。さらに洞窟探索で百万円は使うだろう。なんとか四百万円を切る前にはゴブリン駆除をしないと不安で胃に穴が開くわ。オレの胃のためにも食料はこの世界から用意しなくちゃならんのだ。

 まったく、脇道に逸れてばかりだが、だからと言って疎かにはできない。これからを考えたらアシッカは重要拠点。他から干渉されないだけの領地になってもらわなくてはオレが困るのだからな。

「……そ、そうか。わかった。ミヤマランにはアシッカ出の商人がいる。わたしも留学中は世話になった。協力してもらえるよう手紙を書こう」

「ありがとうございます。帰ってくるまでの食料は出していきますが、どれくらいかかるかわかりせん。館を維持できるだけの量は残しておいてください。あと、ミヤマランまでの地図、都市の情報、協力してくださる方の情報をお願いします」

「ああ。すぐに用意しよう」

 その話が終わればエビル男爵領での報告をする。

「金印の冒険者がいたとは言え、よく倒せたものだ。ロースランの群れが出ると兵が動くと言うのにな」

「出費は大きかったですが、ミヤマラン公爵領で食料を買えるだけの魔石は取れましたがね」

「それに見合う後ろ盾となろう」

 権力者がそう言ってくれると頼もしくてしょうがないよ。

 ワインを一瓶取り寄せ、二人で空けてからモーリスさんのところにいき、二十万円分の食料を出した。

「念のため、ミリエルを館に残します。本当に食料が足りないときはミリエルに言ってください」

「はい。ありがとうございます」

「明日の夜にまたきます」

 モーリスさんに見送られて館をあとにし、支部に戻りホームに入った。

「お帰りなさい。まずはシャワーを浴びてきて。その間に食事を出しておくから」

 中央ルームには皆が揃っていたが、ミサロの言葉に甘えてユニットバスに向かい、汗を流してさっぱりさせた。

 上がったらよく冷えたビールが用意されており、いただきますと感謝を述べていっき飲み。カァー! うめー! この美味さが生きていると感じさせてくれるぜ!

「じゃあ、食べましょうか」

 オレの至福の時間を待っててくれたのか、ミサロの音頭で夕飯が始まった。いや、待ってなくていいんだよ。

 なんて言うのも野暮と思ったので、オレも料理に手を伸ばしてタケノコの天ぷらを食べた。

「なんでタケノコづくし?」

 タブレットで買えば季節など関係ないが、なにをどうしたらタケノコに辿り着けた? オレ、タケノコなんて出されるまで存在を忘れてたよ。

「今日の献立から」

 と、料理本を掲げてみせた。

 文字、読めないのに写真だけで作るとか天才なの? いや、天才だったね。あータケノコ美味しい。

 夕飯が終われば雪見なダイフクさんを食べながらミーティングをする。

 エビル男爵領のことは話してあるので省き、食料不足のことを話し、ミヤマラン公爵領にいくことを告げた。

「ミヤマラン公爵領にいくのはオレとラダリオン。ミリエルは伯爵のところに詰めてくれ。食料を買ったらホームに移すから伯爵に渡してくれ」

「二人でいくんですか? 買いつけならダインさんを連れていっては?」

「距離が距離だ。二人のほうがいい。休憩のときはホームに戻れるしな」

 ダインさんのことは考えたが、移動を考えたら連れてはいけない。伯爵が世話になった商人を頼るとしよう。

「さっさと終わらせて洞窟探索に取りかかりたい。報酬も心もとないからな」

「今は四百八十万円を切りましたか」

 タブレットをつかみ、報酬額を確かめるミリエル。あ、ホームの食費を計算に入れてなかったわ。

「カインゼルさんやロンタリオさんたちには洞窟探索を進めてもらう。ミリエル。悪いが明日の朝、マイセンズにいって説明してくれ。オレは巨人たちに説明したりシエイラや伯爵と話し合ったりしなくちゃならないからな」

「わかりました。ビシャとメビはどうします?」

「ミリエルに任せる。マイセンズまではアルズライズに護衛してもらうから」

「では、二人と相談して決めます」

「ラダリオンはゆっくり休んで疲れを完全に抜いておけよ。移動はラダリオンにお願いすると思うからな」

「任せて!」

 どんな移動になるか想像がついたのか、胸を張るラダリオン。頼りになるヤツである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...