ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
320 / 459

320 ヘテアの宿

しおりを挟む
 ざっと百七十万円也。ってこは三百匹以上いたってことか。毎回こうだといいんだがな。

 出費も二十万円に届いていない。一時間ちょっとで百五十万円のプラスだ。アシッカでのマイナスを十二分に取り戻せたぜ。

 ……まあ、すぐに減るんだけどね……!

 周囲に人もいないので、二百メートルほど離れたらホームに戻り、その日は終了。ゆっくり休んで次の日は七時出発とした。

 外に出ると昨日と同じ数の気配を感じたが、それは帰りの楽しみとしよう。

「南はあっちか。よし。ラダリオン。いくぞ」

 もう雪はないし、雑草も枯れているのでオレも歩きで進んだ。ラダリオンは元のサイズで先行してもらいます。

 一時間ほど下ると川に出た。

 雪解け水で川は増水し、川幅もあって渡るのは困難のようだ。チートタイムがなければな。

 チートタイムを使ってサクッと渡り、百メートルも進まないうちに道に出た。

 道幅は馬車が二台並んでも余裕があり、よく踏み固められている。方角からしてアシッカに続く街道だろうよ。

「雪で通れないからか、最近通った跡もないな」

 てか、そんなに往来があったのか? アシッカ、ゴブリンに襲われる前は豊かだったと伯爵が言ってたが。

「せっかく道があるんだからパイオニアでいくとしよう」

 あとどのくらいかわからんし、都(街ではなく都と呼ばれているんだってさ)まで歩くのも時間が惜しい。昼前まで着けたらいいな。

 パイオニア二号を出してきて出発。木々を抜けると視界すべてが畑だった。

「凄いものだ」

 穀物地帯とは言ってたが、ここまでは想像できなかった。公爵領ってのは伊達じゃないな。

 道もよく整備され、川には石の橋がかけられている。畑には人がいて種蒔きをしているようだった。

 時速三十キロくらいで走っているのに、四十分くらいて正面に壁が見えてきた。

 これだけの都でも外敵から守る壁が必要なのか。まあ、数年前にも他国と戦争してるんだから壁の一つもないと安心して暮らせないんだろうよ。

 さらに近づくと、壁の周りにも家が建ち並んでいるのが見えた。

「ここから歩いていくか」

 人の往来はないが、時刻は十時四十分。歩いても昼前には入れる。わざわざ騒ぎを起こす必要もないだろうよ。

 パイオニアをホームに仕舞い、冒険者スタイルに着替えた。

 どうやらこちらは農業に従事する者たちが住むところらしく、馬や牛の臭いがする。

 ゴブリンの臭いになれたせいか、馬や牛の臭いくらいでは鼻をつまむほどではない。まあ、臭いのは臭いんだけどね。

 この道は街道なので都に近づくにつれて広くなり、壁の周りには倉庫がたくさん並んでいた。

「豊かそうだな」

 冬だというのに行き交う人は痩せておらず、着ているものもコラウスよりいい。浮浪者も見当たらず、子供も笑顔で走っていた。

 都に入るには入都税《にゅうとぜい》なるものがかかる。

 こんだけ人がいて、儲けている感じなのに金を取るとか、ミヤマラン、悪どすぎんだろう。

 とは言え、入都税は一人銅貨二枚。さしたる金額じゃないし、面倒な検問があるわけでもない。冒険者なら符を見せればタダで入れるそうだ。

「銀印の冒険者ですか。こちらには依頼で?」

「はい。買い物の依頼でアシッカからきました」

 検問というほど厳しくないが、世間話的なことを交わして都に入った。

 門を潜ったそこは商店街っぽく、外にいた農民とは違った装いで、清潔度も少し上がっている感じだった。

「ラダリオン、臭くないか?」

「ちょっとだけ。マスクすれば気にならない」

 鼻のいいラダリオンがマスクだけで堪えられるんだから相当綺麗なようだ。

 埃っぽくないのでオレはマスクはしない。気温も十二度もある。山脈を越えただけでこれほど気候が変わるとはな。ここに転移させて欲しかったよ。

「さて。まずは都を歩いて地図を作るぞ」

 問題を起こす気はないが、どうも巻き込まれ型なオレ。なら、巻き込まれる前に逃走経路を探っておきましょう、だ。

 歩けば自動で作成されていくオートマップさんをリュックサックに入れて都探索。夕方までちょっとしか塗り潰せなかった。

「うん。オレ、見込み甘すぎ~」

 そして、都広すぎ~。すべてを作成しようとしたら軽く五日はかかるわ!

「ラダリオン。宿屋にいくぞ」

 今日は終わり。地図作成も終わり。いざってときは押し通らせていただきます。

 都の地図は伯爵に描いてもらった。まあ、伯爵の身分で都の隅々まで探索、なんてできないから大まかなものだが、二年もいれば行政区、商業区、繁華街、住宅地くらいはわかるもの。

 どこになにかあるかわかれば宿屋を探すことくらい難しくはないし、冒険者の格好をした者を探してあとをついていったら酒場に到着したよ。

 そこの通りを歩き、ちょっと高級そうな宿屋を発見した。

 わかりやすくベッドが掛かれた看板は掲げられてないが、高級な宿屋はドアが開いていて中が見えるようになっているとミシニーが言っていた。

「失礼。ここは宿屋で?」

 中に入り、カウンターに立つ中年の女性に尋ねた。

「はい。ヘテアの宿ですよ。お泊まりですか?」

「ええ。二人部屋を一泊。食事はいりません。大丈夫でしょうか?」

「はい。大丈夫ですよ」

 と言うことで、今日の宿はここに決めた。

 代金は前払いで大銅貨五枚。二人で十枚。やはり辺境の高級宿より高かった。と言っても五千円で一泊できたら安いもんか。現地の人にしたらどうかわからんけどな。

「銀貨でもよろしいですか?」

「はい。大丈夫ですよ」

 銀貨を一枚出したら大銅貨四枚と銅貨九枚、そして、小銅貨が五枚が返ってきた。

 どういう計算だ? と思ったが、ぼったくりではないだろうからそのまま受け取って革袋に入れた。

「部屋は三階。ミズドの部屋をお使いください」

 と、なにか花の絵が描かれた木札を渡された。

「申し訳ない。ここのやり方がわからないので教えていただけますか?」

「外の人ですか?」

「はい。コラウス辺境伯領にある冒険者ギルドに所属していて、ミヤマランには今日初めてきました」

「そうでしたか。マサラ。お客様を案内して」

 と、女性が奥に向かって声をかけると、若い女性が出てきた。

「いらっしゃいませ。では、ご案内します」

 若い女性に案内されて三階へ。

「ここがミズドの部屋です。お泊まりの際は、この木札をここに差してください。ここを使っている印になります。お帰りの際は、これを持って降りてください。部屋を汚したり破損させたら追加料金がかかるのでご注意ください」

 トイレは一階。お湯が欲しいときは声をかけたら別途料金。サウナに入りたいときは二軒先にサウナ屋があるそうだ。

 若い女性から説明を受けてから部屋へ入った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...