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327 ミッションコンプリート
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魔物より人間を相手するほうが疲れるとか、人の敵は人と言ったヤツのことがよくわかる。まだゴブリン駆除やっているほうが楽だわ。
いや、別にゴブリン駆除をやりたいってわけじゃないからね! 人間のバケモノを相手にするより無知な害獣を相手してるほうが楽ってだけだから!
「でもまあ、あのくらいの人なら下についたほうが楽かもしれんな」
オレは組織のトップなんて柄でもないし、カリスマもない。凡人は誰かの下で独楽鼠のように歯車を回しているのが性に合っている。
「配下になれって言うんなら喜んで配下になってゴブリン駆除を指揮してもらいたいもんだぜ」
まあ、あのバケモノならゴブリン駆除なんて面倒なことには首を突っ込んではこないだろう。一定の距離を保ち、ほどよい関係を築くだろう。なんせ、オレを利用してやろうって気がまったくなかったからな。
「わかっていてやっているならさらにバケモノだな」
まっ、誘ってこないのなら諦めるしかない。ほどよい距離でほどよい関係を築けるだけで充分だ。社会の裏で生きる人ならいろんな情報網を持っているだろうからな。
倉庫の前からホームに入り、マルド・ロッタールのことを皆に話してその日はホットミルクを飲んで早めに眠りについた。
朝になり、八時に外に出ればマルドさんから金貨が届いていた。
……昨日の今日で金貨二百三十枚も用意できるってなによ? 二百三十枚など屁でもないってことか……?
「怖い人だ」
「マルドもタカト殿を怖いと言ってましたよ」
「オレがですか? よく無害とか言われてたんですがね」
争いは好まなかったし、事なかれ主義でもあった。女性陣から優しい人(ダメなほうの)と言われたこと数知れず。一度たりとも怖い人とか言われたこともないぞ。
「無害な人はマルドを試したりしませんよ」
「……やはり、バレてましたか……」
いや、バレていることを前提に対応してたが、ノーマンさんにまでバレてるとは思わなかった。いや、マルドさんを呼び捨てにしてるんだからこの人も只者ではなかったな。人当たりのよさに意識がいかなかったよ。
「見る者が見ればわかりますよ。タカト殿が背負っているものの大きさにね」
「……大きなものか……」
まあ、ある意味、オレの背後には女神なんて超常の存在がいる。信心深い者なら喜びそうだが、神など邪魔など思う者には厄介でしかないだろう。詐欺師なら喜んで利用しそうだがな。
「宗教関係よりマルドさんのような人の下につきたいものです」
「マルドとしてはごめんでしょうな。あなたが下についたら大変でしょうからね」
「オレ、上の命令には従順ですよ」
ダメ女神は上司じゃないからクソ食らえ! だけど。
「おそらく、マルドはそれを危険に感じたんでしょうね。わたしはマルドほど目はよくないですが、それでもタカト殿を配下に、とは思わない。なにか危険なものを感じますから」
なにそれ? オレ、集団の中では上手く同調するし、上司に反抗したりしないよ。まあ、上司を上手く利用したことならあるけどさ。
「……オレは、誰かの下で働いているほうが楽でいいんですがね……」
大きな責任は上司に任せ、自分にどうにかできる責任を果たす。心穏やかに過ごせるなら給金の安さも気にならないよ。
「なんて愚痴を言っても仕方がありませんね。今、やれることを精一杯やるだけです」
今日をがんばって生き抜き、今日の終わりに美味い酒を飲む。そのささやかな幸せを守るためならオレは今日を戦えるぜ。
食料の搬入を開始し、夕方までに支払った分をホームに運び込めた。これでミッションコンプリートだ。
「ありがとうございました。アシッカの食料事情はかなり改善できましたよ」
さすがに春まで間に合うわけじゃないが、しばらくは食料に悩まされることはない。質素倹約を心がけて雪が解けるのを待ってください、だ。
「雪が解けたらわたしも一度アシッカにいってみます」
「そうしてもらえると助かります。オレは経済のことはさっぱりなので。伯爵様に経済の大切さを説いてください」
経済が活発になれば道もよくなるはず。せめてパイオニアを走らせられる幅を造って欲しいよ。
「では、オレらは帰ります」
「はい。またアシッカで会えるよう願っております」
ノーマンさんに一礼して店をあとにした。
「これで終わり?」
「冒険者ギルドに帰還の報告をしたら行商奴隷団のところにいく」
いろいろ裏を持ってそうな行商奴隷団だが、マルドさんと伝ができた今ならそれほど警戒する必要もないはず。仮にマルドさんと行商奴隷団に繋がりがあったとしてもオレを恐ろしいと思ってくれてるなら表立って敵対はしないはずだ。
「場所はわかるの?」
「ノーマンさんから聞いた。本部は貧民街にあるそうだ」
忌避される存在なのはわかるが、なにも貧民街に本部を構えることもないだろう。依頼しにいくのも大変だろうが。
「武装も都市用に換えなくちゃな」
別に戦いにいくわけじゃないが、治安が悪い貧民街。下手したら人を撃つかもしれない。武装以上に覚悟を決めなくちゃダメだろうな~。
いくら正当防衛とは言え、人に向けて銃を撃つというのは怖い。撃ったあとは激しく後悔するだろうよ。
「まったく、オレはヘタレだよ」
「タカトはあたしが守るから大丈夫」
「オレはお前にも人殺しはさせたくないんだがな」
ゴブリンや魔物を殺しまくって今さらだが、それでも人間を殺して欲しくない。ってまあ、これはオレの我が儘なんだけどな。
「タカトが死ぬよりもマシ」
そうだな。ラダリオンの手が汚れるくらいなら自分の手を汚したほうが楽だな。
「ありがとな。まあ、殺さないよう上手く立ち回るとしよう」
希望を持つくらいは許されるだろう。ハァー。
いや、別にゴブリン駆除をやりたいってわけじゃないからね! 人間のバケモノを相手にするより無知な害獣を相手してるほうが楽ってだけだから!
「でもまあ、あのくらいの人なら下についたほうが楽かもしれんな」
オレは組織のトップなんて柄でもないし、カリスマもない。凡人は誰かの下で独楽鼠のように歯車を回しているのが性に合っている。
「配下になれって言うんなら喜んで配下になってゴブリン駆除を指揮してもらいたいもんだぜ」
まあ、あのバケモノならゴブリン駆除なんて面倒なことには首を突っ込んではこないだろう。一定の距離を保ち、ほどよい関係を築くだろう。なんせ、オレを利用してやろうって気がまったくなかったからな。
「わかっていてやっているならさらにバケモノだな」
まっ、誘ってこないのなら諦めるしかない。ほどよい距離でほどよい関係を築けるだけで充分だ。社会の裏で生きる人ならいろんな情報網を持っているだろうからな。
倉庫の前からホームに入り、マルド・ロッタールのことを皆に話してその日はホットミルクを飲んで早めに眠りについた。
朝になり、八時に外に出ればマルドさんから金貨が届いていた。
……昨日の今日で金貨二百三十枚も用意できるってなによ? 二百三十枚など屁でもないってことか……?
「怖い人だ」
「マルドもタカト殿を怖いと言ってましたよ」
「オレがですか? よく無害とか言われてたんですがね」
争いは好まなかったし、事なかれ主義でもあった。女性陣から優しい人(ダメなほうの)と言われたこと数知れず。一度たりとも怖い人とか言われたこともないぞ。
「無害な人はマルドを試したりしませんよ」
「……やはり、バレてましたか……」
いや、バレていることを前提に対応してたが、ノーマンさんにまでバレてるとは思わなかった。いや、マルドさんを呼び捨てにしてるんだからこの人も只者ではなかったな。人当たりのよさに意識がいかなかったよ。
「見る者が見ればわかりますよ。タカト殿が背負っているものの大きさにね」
「……大きなものか……」
まあ、ある意味、オレの背後には女神なんて超常の存在がいる。信心深い者なら喜びそうだが、神など邪魔など思う者には厄介でしかないだろう。詐欺師なら喜んで利用しそうだがな。
「宗教関係よりマルドさんのような人の下につきたいものです」
「マルドとしてはごめんでしょうな。あなたが下についたら大変でしょうからね」
「オレ、上の命令には従順ですよ」
ダメ女神は上司じゃないからクソ食らえ! だけど。
「おそらく、マルドはそれを危険に感じたんでしょうね。わたしはマルドほど目はよくないですが、それでもタカト殿を配下に、とは思わない。なにか危険なものを感じますから」
なにそれ? オレ、集団の中では上手く同調するし、上司に反抗したりしないよ。まあ、上司を上手く利用したことならあるけどさ。
「……オレは、誰かの下で働いているほうが楽でいいんですがね……」
大きな責任は上司に任せ、自分にどうにかできる責任を果たす。心穏やかに過ごせるなら給金の安さも気にならないよ。
「なんて愚痴を言っても仕方がありませんね。今、やれることを精一杯やるだけです」
今日をがんばって生き抜き、今日の終わりに美味い酒を飲む。そのささやかな幸せを守るためならオレは今日を戦えるぜ。
食料の搬入を開始し、夕方までに支払った分をホームに運び込めた。これでミッションコンプリートだ。
「ありがとうございました。アシッカの食料事情はかなり改善できましたよ」
さすがに春まで間に合うわけじゃないが、しばらくは食料に悩まされることはない。質素倹約を心がけて雪が解けるのを待ってください、だ。
「雪が解けたらわたしも一度アシッカにいってみます」
「そうしてもらえると助かります。オレは経済のことはさっぱりなので。伯爵様に経済の大切さを説いてください」
経済が活発になれば道もよくなるはず。せめてパイオニアを走らせられる幅を造って欲しいよ。
「では、オレらは帰ります」
「はい。またアシッカで会えるよう願っております」
ノーマンさんに一礼して店をあとにした。
「これで終わり?」
「冒険者ギルドに帰還の報告をしたら行商奴隷団のところにいく」
いろいろ裏を持ってそうな行商奴隷団だが、マルドさんと伝ができた今ならそれほど警戒する必要もないはず。仮にマルドさんと行商奴隷団に繋がりがあったとしてもオレを恐ろしいと思ってくれてるなら表立って敵対はしないはずだ。
「場所はわかるの?」
「ノーマンさんから聞いた。本部は貧民街にあるそうだ」
忌避される存在なのはわかるが、なにも貧民街に本部を構えることもないだろう。依頼しにいくのも大変だろうが。
「武装も都市用に換えなくちゃな」
別に戦いにいくわけじゃないが、治安が悪い貧民街。下手したら人を撃つかもしれない。武装以上に覚悟を決めなくちゃダメだろうな~。
いくら正当防衛とは言え、人に向けて銃を撃つというのは怖い。撃ったあとは激しく後悔するだろうよ。
「まったく、オレはヘタレだよ」
「タカトはあたしが守るから大丈夫」
「オレはお前にも人殺しはさせたくないんだがな」
ゴブリンや魔物を殺しまくって今さらだが、それでも人間を殺して欲しくない。ってまあ、これはオレの我が儘なんだけどな。
「タカトが死ぬよりもマシ」
そうだな。ラダリオンの手が汚れるくらいなら自分の手を汚したほうが楽だな。
「ありがとな。まあ、殺さないよう上手く立ち回るとしよう」
希望を持つくらいは許されるだろう。ハァー。
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