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いい感じにゴブリンどもが集まってきた。
「気温が十五度くらいになると雪の下から出てくるっぽいな」
氷点下でも動き回れるクセに、気温が十五度くらいになったら出てくるとかその基準(判断か?)はなんなんだ? てか、土の中にいて気温がわかるとか高性能すぎんだろう。適当に創ったら超優秀種族ができました~、とか笑えんわ。
「ほんと、命を創ったらダメな女神だよ」
後始末するこっちの身にもなれってんだ。
処理肉に集まってきたゴブリンは約百匹。察知できた数くらいだな。
昨日から気温が上昇してきたからさらに出てくるかもしれないが、今日の分としては上々だろうよ。
村(仮)に戻ると、魔力が回復したようで椅子に座って食事をしていた。
「回復具合はどうだ?」
「半分は、って感じだな。動くには問題ないよ」
「じゃあ、十三時からゴブリン駆除をやるぞ。約百匹は穴から出てきたからな」
「了ー解」
ってことで、オレもホームに戻って昼飯を食べ、ちょっと昼寝をしてから外に出た。
「よし、やるか」
「ああ。早く終わらせて酒が飲みたいよ」
それはオレもだ。早く終えて余市をハイボールにして飲みたいよ。
ゴルグにしゃがんでもらい、改造したディーバッグに入った。
野郎の背中にしがみつくのは嫌だが、ラダリオンに背負われてのほうが誘導しやすいとわかったのだ。
「ちゃんと湯浴みしてるみたいだな」
前のような臭さはない。なんか葉っぱ臭いけど。
「お前やラダリオンの影響だよ。ロミーや女たちが綺麗にしろってうるさいからな、毎晩サウナに入ってんだよ」
「それはなによりだ。汚くしてると娘に父さん臭いとか言われるぞ」
「……なんかそれは嫌だな……」
巨人でも娘に嫌われるのはへこむようだ。まあ、綺麗な父親を目指すことだ。
「ほら、しっかり稼ぐぞ、嫁や子供たちのためにな。まずは二時方向、百メートルだ」
「わかったよ」
立てかけていたベネリM4をつかみ、オレが指示した方向へ向かった。
「まだ雪があるのに出てきているのか?」
「出てきているよ。今回は処理肉をばら撒いたが、普段はなにを食っているかわからんけどな」
「たぶん、虫だな。木のうろや皮の下に隠れているから」
さすが木を知る男。その推察通り、木の皮を石で剥いているゴブリンがいたよ。猿並みには知恵があるようだ。
「ゴルグ。十時方向、あそこだ」
肩から顔出し、レーザーポインターで五十メートル先にいるゴブリンの背中に当てた。
「見えた。やるぞ」
ベネリM4を構え、狙いを定めて引き金を引いた。
鳥撃ち用でも巨人サイズとなれば五十メートルなど近距離。ゴブリンがひき肉にクラスチェンジを果たした。
「今ので近くにいたのは逃げたな」
だが、隠れているだけ。指示を出しながらレーザーポインターで位置を示し、次々とゴブリンをひき肉にしていった。
十五時には四十匹と、まあまあの戦果だろう。一休みしてからまた再開し、暗くなるまでに百五匹をひき肉にしてやった。
半日で三十七万円ぐらい稼げれば上々だろう。上前でオレにも十五万円くらいは入ったしな。
「ゴルグ。明日もやるから処理肉を買ってばら撒け」
「まだいるのか?」
「まだ察知範囲にはいないが、ゴブリンの死体で他のも出てくるはずだ。冬は共食いする率が高くなるからな」
まだ餓死寸前、ってことにはなってないだろうが、まだ冬は続く。食い溜めしておくためにも共食いするはずだ。
村(仮)に戻り、兄貴さんたちと軽く酒盛りしてからホームに入った。
まだラダリオンやミリエルは戻っておらず、ミサロも外に出ているようだ。
「オレ一人ってのも久しぶりだな」
まあ、すぐに誰か戻ってくるだろうけど、一人のうちに中央ルームで着替えてしまった。
家族とは言え、年頃の女の子の前で着替えるというのはなにかと気を使うものなのだ。汚いもの見せないで! とか言われたら軽くヘコむし。
ユニットバスでシャワーを浴びて出てくると、三人が戻っていた。
オレが気を使ってるってのにラダリオンはいつものように下着姿でうろつき、ミリエルはタンクトップに短パンと、冬とは思えない格好だ。ミサロは料理をするからしっかりと着込んでいるが、なぜか割烹着姿だった。
「なんで?」
さすがにスルーできなくてつい口に出してしまった。
ただ、そこはメイド服じゃね? とか口から出そうになったのは必死に堪えた。そんな趣味があると誤解されたら死にたくなるので。
「可愛いでしょう? タブレットでエプロンを探していたら見つけたの」
可愛いと言うか、居酒屋の女将感が主張しているよ。十七歳なのに出してる雰囲気が妖艶すぎるわ。
「ま、まあ、割烹着は可愛いと言うより綺麗と言ったほうがいいかもな」
ミサロの見た目から可愛いは出てこない。メイド喫茶よりキャバクラにいるほうが似合っているヤツだし。
「綺麗なの?」
「ああ。ミサロは美人系の綺麗だし、ミリエルは可愛い系の綺麗。ラダリオンは美少年系の綺麗って感じだな」
元の世界ならさぞやモテたことだろうよ。まあ、そうだったら凡庸なオレとは一生かかわることはなかっただろうな。
冷蔵庫から三五缶のビールを出していっき飲み。カァー! 美味い!
すべて飲み干し、もう一缶出してテーブルにつくと、なにか三人がよそよそしい。なんだ、いったい?
まあ、いいやと、二缶目を開けてゴクゴクと飲み干した。
「気温が十五度くらいになると雪の下から出てくるっぽいな」
氷点下でも動き回れるクセに、気温が十五度くらいになったら出てくるとかその基準(判断か?)はなんなんだ? てか、土の中にいて気温がわかるとか高性能すぎんだろう。適当に創ったら超優秀種族ができました~、とか笑えんわ。
「ほんと、命を創ったらダメな女神だよ」
後始末するこっちの身にもなれってんだ。
処理肉に集まってきたゴブリンは約百匹。察知できた数くらいだな。
昨日から気温が上昇してきたからさらに出てくるかもしれないが、今日の分としては上々だろうよ。
村(仮)に戻ると、魔力が回復したようで椅子に座って食事をしていた。
「回復具合はどうだ?」
「半分は、って感じだな。動くには問題ないよ」
「じゃあ、十三時からゴブリン駆除をやるぞ。約百匹は穴から出てきたからな」
「了ー解」
ってことで、オレもホームに戻って昼飯を食べ、ちょっと昼寝をしてから外に出た。
「よし、やるか」
「ああ。早く終わらせて酒が飲みたいよ」
それはオレもだ。早く終えて余市をハイボールにして飲みたいよ。
ゴルグにしゃがんでもらい、改造したディーバッグに入った。
野郎の背中にしがみつくのは嫌だが、ラダリオンに背負われてのほうが誘導しやすいとわかったのだ。
「ちゃんと湯浴みしてるみたいだな」
前のような臭さはない。なんか葉っぱ臭いけど。
「お前やラダリオンの影響だよ。ロミーや女たちが綺麗にしろってうるさいからな、毎晩サウナに入ってんだよ」
「それはなによりだ。汚くしてると娘に父さん臭いとか言われるぞ」
「……なんかそれは嫌だな……」
巨人でも娘に嫌われるのはへこむようだ。まあ、綺麗な父親を目指すことだ。
「ほら、しっかり稼ぐぞ、嫁や子供たちのためにな。まずは二時方向、百メートルだ」
「わかったよ」
立てかけていたベネリM4をつかみ、オレが指示した方向へ向かった。
「まだ雪があるのに出てきているのか?」
「出てきているよ。今回は処理肉をばら撒いたが、普段はなにを食っているかわからんけどな」
「たぶん、虫だな。木のうろや皮の下に隠れているから」
さすが木を知る男。その推察通り、木の皮を石で剥いているゴブリンがいたよ。猿並みには知恵があるようだ。
「ゴルグ。十時方向、あそこだ」
肩から顔出し、レーザーポインターで五十メートル先にいるゴブリンの背中に当てた。
「見えた。やるぞ」
ベネリM4を構え、狙いを定めて引き金を引いた。
鳥撃ち用でも巨人サイズとなれば五十メートルなど近距離。ゴブリンがひき肉にクラスチェンジを果たした。
「今ので近くにいたのは逃げたな」
だが、隠れているだけ。指示を出しながらレーザーポインターで位置を示し、次々とゴブリンをひき肉にしていった。
十五時には四十匹と、まあまあの戦果だろう。一休みしてからまた再開し、暗くなるまでに百五匹をひき肉にしてやった。
半日で三十七万円ぐらい稼げれば上々だろう。上前でオレにも十五万円くらいは入ったしな。
「ゴルグ。明日もやるから処理肉を買ってばら撒け」
「まだいるのか?」
「まだ察知範囲にはいないが、ゴブリンの死体で他のも出てくるはずだ。冬は共食いする率が高くなるからな」
まだ餓死寸前、ってことにはなってないだろうが、まだ冬は続く。食い溜めしておくためにも共食いするはずだ。
村(仮)に戻り、兄貴さんたちと軽く酒盛りしてからホームに入った。
まだラダリオンやミリエルは戻っておらず、ミサロも外に出ているようだ。
「オレ一人ってのも久しぶりだな」
まあ、すぐに誰か戻ってくるだろうけど、一人のうちに中央ルームで着替えてしまった。
家族とは言え、年頃の女の子の前で着替えるというのはなにかと気を使うものなのだ。汚いもの見せないで! とか言われたら軽くヘコむし。
ユニットバスでシャワーを浴びて出てくると、三人が戻っていた。
オレが気を使ってるってのにラダリオンはいつものように下着姿でうろつき、ミリエルはタンクトップに短パンと、冬とは思えない格好だ。ミサロは料理をするからしっかりと着込んでいるが、なぜか割烹着姿だった。
「なんで?」
さすがにスルーできなくてつい口に出してしまった。
ただ、そこはメイド服じゃね? とか口から出そうになったのは必死に堪えた。そんな趣味があると誤解されたら死にたくなるので。
「可愛いでしょう? タブレットでエプロンを探していたら見つけたの」
可愛いと言うか、居酒屋の女将感が主張しているよ。十七歳なのに出してる雰囲気が妖艶すぎるわ。
「ま、まあ、割烹着は可愛いと言うより綺麗と言ったほうがいいかもな」
ミサロの見た目から可愛いは出てこない。メイド喫茶よりキャバクラにいるほうが似合っているヤツだし。
「綺麗なの?」
「ああ。ミサロは美人系の綺麗だし、ミリエルは可愛い系の綺麗。ラダリオンは美少年系の綺麗って感じだな」
元の世界ならさぞやモテたことだろうよ。まあ、そうだったら凡庸なオレとは一生かかわることはなかっただろうな。
冷蔵庫から三五缶のビールを出していっき飲み。カァー! 美味い!
すべて飲み干し、もう一缶出してテーブルにつくと、なにか三人がよそよそしい。なんだ、いったい?
まあ、いいやと、二缶目を開けてゴクゴクと飲み干した。
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