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364 災悪
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「ほんと、ここまで執拗に追われるようなことしたか、オレら?」
交代で休み、用意を調えてサーチアイを飛ばしたら、ここから十分の距離まで迫られていた。
「まあ、してないとは言えないな」
いやまあ、確かに大量虐殺はしてるよ。だけど、滅ぶのも厭わないで追ってくるってなによ? そこまで怒ることってなによ? まったく想像できないんだけど!
「……おそらく、おれらは子を殺したんだろう」
「子? 確かに子を殺したが、それなら尚さら生き残った子を守って逃げるだろう。なんでわざわざ殺されるとわかって追ってくるんだ?」
「あっさり殺したから見落としていたが、成体の魔石、やたら濃かったよな?」
「あ、ああ。確かに濃かったな。長年生きた成体は濃くなるんだろう?」
「そうだ。それだけの存在が守ると言うことは、王の子だったかもしれない」
「……王の、子……」
それは確かに執拗に追ってくるか……?
「あの濃さだとかなりの存在だったんだな」
「ああ。ウワサでは最終的に黒くなるとも言うぞ」
「それはウワサじゃなく本当だ。この世にいる災悪と呼ばれる存在は黒い魔力を纏っている。長く生きた竜も黒い魔力を放っているからな」
それを知っているって、お前はどれだけ長く生きてんだよ? 怖いから口に出せないけどさ。
「アルズライズが追っている竜は特異体。赤い魔力を放つ災悪竜だ」
「……そうか……」
それを聞いてもアルズライズの表情に変化はない。おそらくアルズライズにはなんであろうと関係ないのだろう。殺すと固く誓ったのだろうからな。
「話を戻すが、あそこにいたのは王、特異体の子だと思う。安全のために穴の奥で育てていたのだろう」
まあ、背後には地底湖が広がり、外敵が襲ってくることもない。安全と言えば安全な場所だわな。
「追ってくるロースランの気迫がおれと似ている。子を殺した者らへの憎しみで満ちている……」
今はオレたちが災悪ってことか。生存競争とは過酷なもんだよ。
「だからってやられてやる理由はない。オレらが死んでも意味はないからな。だからと言ってアルズライズの思いを止めるつもりもないぞ。その憎しみは人として、いや、生き物として当然の感情だからな」
オレだってラダリオンたちを殺されたら憎しみに燃えて、殺したヤツに報復するだろう。大切な者を奪われたんだ、仕方がないなんて納得できるか、だ。
「共存共栄できたらいいが、そこにいくにはたくさんの殺し合いをしなくちゃ到達できないと思う」
元の世界だって紀元前から同種同士で殺し合いを繰り広げ、西暦二千年を過ぎても殺し合いは続いているんだ、意志疎通できない生き物となんて一万年経ってもわかり合えるなんて無理だろうよ。
「オレは死にたくない。こんなところで殺されてたくもない。オレとお前、どちらかしか生きられないのならお前が死ね。話はそれからだ」
オレが生き残れたら共存共栄の道を探してやるよ。見つけられるかは知らんけどな。
「そうだな。おれも死にたくないし、殺されてもやれん。くるなら殺してやる」
「乱暴なヤツらだ。まあ、わたしも死にたくないし、殺されるのもゴメンだからな、殺しにくるなら遠慮はしないさ」
三人で向かい合い、ニヤリと笑い合った。
「それで、どうする?」
「ドライアイス戦法でいく」
好都合なことにここは地獄の釜だ。逃げるにはきた道を戻るか、上に続く階段を昇るしかない。
「ミシニーは、階段を使わなくても上にいけるか?」
「問題ない」
問題ないんだ。上まで五十メートルはありそうなのに……。
「アルズライズは階段の向こうに。RPG-7を持っていけ」
取り寄せてアルズライズに渡した。
「ミシニーは階段の中腹辺りでロースランを迎い撃ってくれ。アルズライズは援護だ。階段に近づけさせるな」
無線機を持たせたいところだが、教えている時間はない。それぞれの判断で実行してもらいます。
「オレは上からドライアイスを落とす。絶対に落ちるなよ。落ちたら助けられないからな」
「任せろ」
「わたしもだ。ヘマはしないよ」
その実力からくる自信が羨ましくてたまらないよ。
サーチアイを戻し、階段を昇って──一休みさせてください。五十メートルもある階段を全力ダッシュはキツすぎます。十キロ以上の荷物背負ってんだからさ。
……じゃあ、ホームに戻せよとか言わないで。昇ってから気がついたんだからさ……。
ギリギリのところでホームに入る。
「タカトさん、大丈夫ですか!?」
玄関にミリエルやラダリオンがいた。
「大丈夫だ。これからロースランにドライアイス戦法を仕掛ける。ミリエル。十キロのドライアイスを買ってくれ」
オレはダストシュート係になりますんで。
外を見ると、穴からロースランが上がってくるのが見えた。
「タカトさん、どうぞ」
エル字バールを使ってドライアイスをダストシュートに移動させ、ダストシュート。外を確認したら上手く落ちてくれていた。
「二百キロはいくぞ!」
「わかりました!」
十キロのドライアイスを次々とダストシュート。十分くらいで二百キロをダストシュートしてやった。
「またしばらくホームに戻ってこれないが、オレたちは大丈夫だからしっかり休んでおけよ」
返事を待たずに外へ。グラッとして慌てて後退した。あっぶねー。落ちそうだったわ。
タボール7を構えて下を見ると、ロースランが溢れていた。
「なにかのドアで弾を防ぐとか無駄に知恵を持ちやがって」
アルズライズの狙撃をドアで防ぎながらミシニーがいる階段に押し寄せていた。
チートタイムスタートしてドライアイスにウォータージェットを一発噛ましてやった。
「ミシニー! 昇れ! アルズライズ!」
反対側まで聞こえるかどうかわからないが、あらんばかりの声を出して叫んだ。
伝わったのか、ロケット弾が撃たれ、階段に直撃。爆発を起こした。
これで昇ってくることはないが、ドライアイスが溶けるまでロースランを挑発する必要があるので、銃弾の雨を降らせてやった。
「さあ、災悪の始まりだ。震えて死んでいけ!」
交代で休み、用意を調えてサーチアイを飛ばしたら、ここから十分の距離まで迫られていた。
「まあ、してないとは言えないな」
いやまあ、確かに大量虐殺はしてるよ。だけど、滅ぶのも厭わないで追ってくるってなによ? そこまで怒ることってなによ? まったく想像できないんだけど!
「……おそらく、おれらは子を殺したんだろう」
「子? 確かに子を殺したが、それなら尚さら生き残った子を守って逃げるだろう。なんでわざわざ殺されるとわかって追ってくるんだ?」
「あっさり殺したから見落としていたが、成体の魔石、やたら濃かったよな?」
「あ、ああ。確かに濃かったな。長年生きた成体は濃くなるんだろう?」
「そうだ。それだけの存在が守ると言うことは、王の子だったかもしれない」
「……王の、子……」
それは確かに執拗に追ってくるか……?
「あの濃さだとかなりの存在だったんだな」
「ああ。ウワサでは最終的に黒くなるとも言うぞ」
「それはウワサじゃなく本当だ。この世にいる災悪と呼ばれる存在は黒い魔力を纏っている。長く生きた竜も黒い魔力を放っているからな」
それを知っているって、お前はどれだけ長く生きてんだよ? 怖いから口に出せないけどさ。
「アルズライズが追っている竜は特異体。赤い魔力を放つ災悪竜だ」
「……そうか……」
それを聞いてもアルズライズの表情に変化はない。おそらくアルズライズにはなんであろうと関係ないのだろう。殺すと固く誓ったのだろうからな。
「話を戻すが、あそこにいたのは王、特異体の子だと思う。安全のために穴の奥で育てていたのだろう」
まあ、背後には地底湖が広がり、外敵が襲ってくることもない。安全と言えば安全な場所だわな。
「追ってくるロースランの気迫がおれと似ている。子を殺した者らへの憎しみで満ちている……」
今はオレたちが災悪ってことか。生存競争とは過酷なもんだよ。
「だからってやられてやる理由はない。オレらが死んでも意味はないからな。だからと言ってアルズライズの思いを止めるつもりもないぞ。その憎しみは人として、いや、生き物として当然の感情だからな」
オレだってラダリオンたちを殺されたら憎しみに燃えて、殺したヤツに報復するだろう。大切な者を奪われたんだ、仕方がないなんて納得できるか、だ。
「共存共栄できたらいいが、そこにいくにはたくさんの殺し合いをしなくちゃ到達できないと思う」
元の世界だって紀元前から同種同士で殺し合いを繰り広げ、西暦二千年を過ぎても殺し合いは続いているんだ、意志疎通できない生き物となんて一万年経ってもわかり合えるなんて無理だろうよ。
「オレは死にたくない。こんなところで殺されてたくもない。オレとお前、どちらかしか生きられないのならお前が死ね。話はそれからだ」
オレが生き残れたら共存共栄の道を探してやるよ。見つけられるかは知らんけどな。
「そうだな。おれも死にたくないし、殺されてもやれん。くるなら殺してやる」
「乱暴なヤツらだ。まあ、わたしも死にたくないし、殺されるのもゴメンだからな、殺しにくるなら遠慮はしないさ」
三人で向かい合い、ニヤリと笑い合った。
「それで、どうする?」
「ドライアイス戦法でいく」
好都合なことにここは地獄の釜だ。逃げるにはきた道を戻るか、上に続く階段を昇るしかない。
「ミシニーは、階段を使わなくても上にいけるか?」
「問題ない」
問題ないんだ。上まで五十メートルはありそうなのに……。
「アルズライズは階段の向こうに。RPG-7を持っていけ」
取り寄せてアルズライズに渡した。
「ミシニーは階段の中腹辺りでロースランを迎い撃ってくれ。アルズライズは援護だ。階段に近づけさせるな」
無線機を持たせたいところだが、教えている時間はない。それぞれの判断で実行してもらいます。
「オレは上からドライアイスを落とす。絶対に落ちるなよ。落ちたら助けられないからな」
「任せろ」
「わたしもだ。ヘマはしないよ」
その実力からくる自信が羨ましくてたまらないよ。
サーチアイを戻し、階段を昇って──一休みさせてください。五十メートルもある階段を全力ダッシュはキツすぎます。十キロ以上の荷物背負ってんだからさ。
……じゃあ、ホームに戻せよとか言わないで。昇ってから気がついたんだからさ……。
ギリギリのところでホームに入る。
「タカトさん、大丈夫ですか!?」
玄関にミリエルやラダリオンがいた。
「大丈夫だ。これからロースランにドライアイス戦法を仕掛ける。ミリエル。十キロのドライアイスを買ってくれ」
オレはダストシュート係になりますんで。
外を見ると、穴からロースランが上がってくるのが見えた。
「タカトさん、どうぞ」
エル字バールを使ってドライアイスをダストシュートに移動させ、ダストシュート。外を確認したら上手く落ちてくれていた。
「二百キロはいくぞ!」
「わかりました!」
十キロのドライアイスを次々とダストシュート。十分くらいで二百キロをダストシュートしてやった。
「またしばらくホームに戻ってこれないが、オレたちは大丈夫だからしっかり休んでおけよ」
返事を待たずに外へ。グラッとして慌てて後退した。あっぶねー。落ちそうだったわ。
タボール7を構えて下を見ると、ロースランが溢れていた。
「なにかのドアで弾を防ぐとか無駄に知恵を持ちやがって」
アルズライズの狙撃をドアで防ぎながらミシニーがいる階段に押し寄せていた。
チートタイムスタートしてドライアイスにウォータージェットを一発噛ましてやった。
「ミシニー! 昇れ! アルズライズ!」
反対側まで聞こえるかどうかわからないが、あらんばかりの声を出して叫んだ。
伝わったのか、ロケット弾が撃たれ、階段に直撃。爆発を起こした。
これで昇ってくることはないが、ドライアイスが溶けるまでロースランを挑発する必要があるので、銃弾の雨を降らせてやった。
「さあ、災悪の始まりだ。震えて死んでいけ!」
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