434 / 459
434 アシッカ支部
しおりを挟む
次の日、デトたちに声はかけずアシッカに向かった。
気温が十度を越えたので、城壁の外の雪は完全に解けてなくなり、畑を耕す人がちらほら見えた。
巨人たちもレーキを使って耕すのを手伝っている。あ、そういや、ゴルグはどうした? コラウスに帰ったか?
「ゴルグ、どうしました?」
農作業する巨人に尋ねてみた。
「何日か前に帰ったよ」
あ、そうですか。どうもです。
大した稼ぎを与えてやれなかったな。コラウスに帰ったらまたゴブリンを集めてやるか。どうせまた増えているだろうしな。
伯爵にミラジナ男爵のことを伝え、奴隷傭兵団の配置や処遇を話し合い、そろそろ帰ることを伝えた。
「それは寂しいな」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですが、自分の判断と決断で動けるようにならないといけません。経験を積んでください。夏にはまたきますので」
コラウスからマイヤー男爵領まで道があり、マイヤー男爵領からミジア男爵領、ロック男爵領と巨人が均してくれている。夏までにはパイオニアが走れる道や橋はできているだろう。そうなれば二日くらいでやってこれるだろうよ。
「わたしもコラウスにいってみたいよ」
「なら、留守を任せる者を育ててください。できる上司は下に仕事を割り振れる者ですよ」
「上に立つということがこれほどの苦行だとは思わなかったよ」
「そうですね。自分の立場をよくしようとしたらいらぬ苦労を背負わされる。なのに見返りは少ない。ただ、平和に、穏やかに暮らせたらそれでいいだけなのに」
上を見たらきりがなく、下を見たら際限かない。ほどよい位置にいることが幸せだと、社会に出て悟ったよ。
「ああ、まったくその通りだ」
立場は違うが、背負う苦労は同じ。そして、こうして愚痴を言い合う相手がいてくれる。恵まれてはいると思うよ……。
今生の別れでもないし、まだアシッカにはいるが、この共感に乾杯したくて伯爵が好きなシーバスを出した。
「「乾杯」」
一杯飲んだら「また」と言って館をあとにした。
パイオニアはホームに戻し、歩いてギルドに向かった。
きたときと同じく人の往来は激しく、滅びかけた街とは思えない。他から流れてきた者がゴザを敷いて物売りをしてたり、どこから持ってきたのか屋台まで出ている。発展と衰退は凄まじく早いものだよ。
冒険者ギルドの前にはくたびれた感じの冒険者チームが何組かいた。
長旅をしてきたんだろうな。疲れが顔に出ているよ。ホームに入れるオレは恵まれていることを再確認したよ。
逆にゴブリン駆除ギルドは閑古鳥が鳴いている。まあ、請負員のほとんどはエルフと奴隷傭兵団であり、駆除員がいなきゃ請負員にできないんだから当然の結果だろうよ。
「マスター、お疲れ様です」
中に入ると、ほんわかとした空気が満ちており、皆仲良くお茶をしていた。
「お疲れさん。冒険者が流れてきてみるみたいだな」
「ええ。隣の領地や山脈を越えてミヤマランからきているみたいですね」
オレもお茶に混ざり、冒険者の情報を聞かせてもらった。
「薬草なんて生えてたんだ」
なんの仕事があるのかと思ったら、オードブルにはいろんな薬草が生息しており、毎年冒険者が集まってくるそうだ。ただ、去年からゴブリンが集まりすぎて、冒険者ギルド撤退まで追い込まれたそうだ。
「冒険者ギルド、勝手に築いちゃって不味かったかな?」
「コラウスの冒険者ギルドからの支援ってことになっているから問題ありません」
そっちは完全に管轄外でノータッチ。ふーんと流しておく。
「問題はゴブリン駆除ギルドだな。伯爵への支援くらいしかやることないし、縮小したほうがいいかな?」
「そうですね。もう宿屋と酒場経営みたくなってますしね」
話し合った結果、アシッカにはザイルとカナル、タリアに残ってもらい、ここで雇い入れた者とでギルドを運営してもらうことにした。
「じゃあ、三人を連れてゴブリン駆除に出るか。五十万円ずつ入れておいたほうがいいだろう」
山脈にはまだゴブリンがいそうだ。また拠点を築いて狂乱化させたら五百匹なんてすぐ集まるだろうよ。
「それなら職員全員でいきませんか? ここにきてゴブリンを狩ったのって一、二回くらいですしね」
「そうだな。がんばってくれた職員に報いてやらんといかんな」
「だが、留守にはできないからミリエルとアリサにいてもらうか」
ミリエルがいるならすぐに戻ってこれる。アリサたちには護衛してもらうとしよう。
「職員は何人だっけ?」
「コラウスから連れてきた職員が六名。アシッカで雇い入れたのが十名です」
計十六人名か。結構な数になってたな。
「あれ? ゼイスはどうしたんだ?」
元鉄印の冒険者だったゼイスや他にもいたよな?
「コラウスに戻りました。あちらも人が足りてませんからね」
さすがシエイラ、頼りになるぅ~。
「何日くらいで用意できる?」
「今日と明日で用意します。ミリエルには今日か明日の朝はきてもらってください。引き継ぎをしますので」
「わかった。これからマイセンズの砦にいってくるよ」
報酬の動きからしてゴブリン駆除をやっているみたいだ。暗くなる前には戻ってくるだろうから、アリサたちも連れて戻ってくるとしよう。
久しぶりにKLX230を出してきてマイセンズの砦に向かった。
気温が十度を越えたので、城壁の外の雪は完全に解けてなくなり、畑を耕す人がちらほら見えた。
巨人たちもレーキを使って耕すのを手伝っている。あ、そういや、ゴルグはどうした? コラウスに帰ったか?
「ゴルグ、どうしました?」
農作業する巨人に尋ねてみた。
「何日か前に帰ったよ」
あ、そうですか。どうもです。
大した稼ぎを与えてやれなかったな。コラウスに帰ったらまたゴブリンを集めてやるか。どうせまた増えているだろうしな。
伯爵にミラジナ男爵のことを伝え、奴隷傭兵団の配置や処遇を話し合い、そろそろ帰ることを伝えた。
「それは寂しいな」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですが、自分の判断と決断で動けるようにならないといけません。経験を積んでください。夏にはまたきますので」
コラウスからマイヤー男爵領まで道があり、マイヤー男爵領からミジア男爵領、ロック男爵領と巨人が均してくれている。夏までにはパイオニアが走れる道や橋はできているだろう。そうなれば二日くらいでやってこれるだろうよ。
「わたしもコラウスにいってみたいよ」
「なら、留守を任せる者を育ててください。できる上司は下に仕事を割り振れる者ですよ」
「上に立つということがこれほどの苦行だとは思わなかったよ」
「そうですね。自分の立場をよくしようとしたらいらぬ苦労を背負わされる。なのに見返りは少ない。ただ、平和に、穏やかに暮らせたらそれでいいだけなのに」
上を見たらきりがなく、下を見たら際限かない。ほどよい位置にいることが幸せだと、社会に出て悟ったよ。
「ああ、まったくその通りだ」
立場は違うが、背負う苦労は同じ。そして、こうして愚痴を言い合う相手がいてくれる。恵まれてはいると思うよ……。
今生の別れでもないし、まだアシッカにはいるが、この共感に乾杯したくて伯爵が好きなシーバスを出した。
「「乾杯」」
一杯飲んだら「また」と言って館をあとにした。
パイオニアはホームに戻し、歩いてギルドに向かった。
きたときと同じく人の往来は激しく、滅びかけた街とは思えない。他から流れてきた者がゴザを敷いて物売りをしてたり、どこから持ってきたのか屋台まで出ている。発展と衰退は凄まじく早いものだよ。
冒険者ギルドの前にはくたびれた感じの冒険者チームが何組かいた。
長旅をしてきたんだろうな。疲れが顔に出ているよ。ホームに入れるオレは恵まれていることを再確認したよ。
逆にゴブリン駆除ギルドは閑古鳥が鳴いている。まあ、請負員のほとんどはエルフと奴隷傭兵団であり、駆除員がいなきゃ請負員にできないんだから当然の結果だろうよ。
「マスター、お疲れ様です」
中に入ると、ほんわかとした空気が満ちており、皆仲良くお茶をしていた。
「お疲れさん。冒険者が流れてきてみるみたいだな」
「ええ。隣の領地や山脈を越えてミヤマランからきているみたいですね」
オレもお茶に混ざり、冒険者の情報を聞かせてもらった。
「薬草なんて生えてたんだ」
なんの仕事があるのかと思ったら、オードブルにはいろんな薬草が生息しており、毎年冒険者が集まってくるそうだ。ただ、去年からゴブリンが集まりすぎて、冒険者ギルド撤退まで追い込まれたそうだ。
「冒険者ギルド、勝手に築いちゃって不味かったかな?」
「コラウスの冒険者ギルドからの支援ってことになっているから問題ありません」
そっちは完全に管轄外でノータッチ。ふーんと流しておく。
「問題はゴブリン駆除ギルドだな。伯爵への支援くらいしかやることないし、縮小したほうがいいかな?」
「そうですね。もう宿屋と酒場経営みたくなってますしね」
話し合った結果、アシッカにはザイルとカナル、タリアに残ってもらい、ここで雇い入れた者とでギルドを運営してもらうことにした。
「じゃあ、三人を連れてゴブリン駆除に出るか。五十万円ずつ入れておいたほうがいいだろう」
山脈にはまだゴブリンがいそうだ。また拠点を築いて狂乱化させたら五百匹なんてすぐ集まるだろうよ。
「それなら職員全員でいきませんか? ここにきてゴブリンを狩ったのって一、二回くらいですしね」
「そうだな。がんばってくれた職員に報いてやらんといかんな」
「だが、留守にはできないからミリエルとアリサにいてもらうか」
ミリエルがいるならすぐに戻ってこれる。アリサたちには護衛してもらうとしよう。
「職員は何人だっけ?」
「コラウスから連れてきた職員が六名。アシッカで雇い入れたのが十名です」
計十六人名か。結構な数になってたな。
「あれ? ゼイスはどうしたんだ?」
元鉄印の冒険者だったゼイスや他にもいたよな?
「コラウスに戻りました。あちらも人が足りてませんからね」
さすがシエイラ、頼りになるぅ~。
「何日くらいで用意できる?」
「今日と明日で用意します。ミリエルには今日か明日の朝はきてもらってください。引き継ぎをしますので」
「わかった。これからマイセンズの砦にいってくるよ」
報酬の動きからしてゴブリン駆除をやっているみたいだ。暗くなる前には戻ってくるだろうから、アリサたちも連れて戻ってくるとしよう。
久しぶりにKLX230を出してきてマイセンズの砦に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~
RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。
試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。
「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」
枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!
ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる