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450 今でしょう
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アシッカでの仕事は終わった。
いや、仕事ではないことが六割近くあったが、五体満足で終えたのだからよしとしよう。でないと泣きたくなってくるわ。
きたときと違って帰りは大人数すぎて車をすべて出しても乗車できなかった。
なので、オレとミリエルでパイオニアを運転し、いけるところまでいったら乗っている者を降ろし、ホームに入ってダストシュート移動でアシッカに戻る。それを繰り返して全員を運んだ。
「アリサ。パイオニアが通れるていどに均してくれ」
本格的な工事はまた今度にして、アリサたち土魔法が使える者たちに獣道を林道くらいまでに広げてもらった。
残りのオレらはスコップやツルハシを使って人海戦術。川はラダリオンに木を切ってもらって簡易的な橋を作ってもらった。
一日で一キロくらい整備できた。やはり土魔法を使える者がいると凄まじいもんだ。
二日三日と続けて約十キロ。パイオニアを走らせるには問題ないくらいの道ができた。
「サイルスさん。コラウスの第三城壁街を仕切る一家っていますか?」
すっかり道路工事の作業員となったオレたち。夜に酒盛りしながらふと思ったことをサイルスさんに尋ねた。
「いるにはいるが、今度はなにをする気だ?」
「その一家に道路工事を仕切らせようと考えています」
偏見かもしれないが、そういう893の方々は人を使うのが上手いような気がする。
「コラウスには仕事がない人がいます。そういう人たちを束ねて道を造ってもらおうかと考えています」
人が余っているなら使わない手はない。今なら食事を提供しただけで募れそうだし。
「道を造ってもコラウスの儲けにならんだろう?」
「ダインさん。馬車が通れる道と通れない道、どちらを通ります?」
コラウスの商人も一緒に同行しています。
「まあ、馬車が通れる道ですね」
「オレはこの道を海まで通そうと思っています。海からコラウスまでの街道ができたらどうなります?」
「……商売が活発になりますね……」
「商売が活発になるなら人が増える。人が増えたら税も増える。道を制した者が勝者です。じゃあ、その道を制するのは誰でしょうか?」
「つまり、コラウス主導でやれと言うわけか」
「コラウス主導で第三城壁街を仕切る一家にやらせる。コラウスは道を造らせる労力を一家にやらせることができて、一家はコラウスから継続的に金を得られる。商人はいい道を通り商品を運ぶ。いずれは塩も安い値で取引されるでしょう」
中間地たるアシッカはこちらの味方。コラウスが加わればマイヤー男爵、ミジア男爵、ロック男爵も追随するしか手はなくなる。除け者にされたら寂れるだけだからな。
「その道はセフティーブレットも使う。これほど安全な道はないと思いますよ」
この話が商人に広まったらどうなるか。サイルスさんでもよくわかるだろう。
「ハァー。お前は恐ろしいヤツだよ」
「ゴブリン駆除員は短命です。最長で生きた者は五年です。オレは老衰で死にたい。そのためには速やかに移動できる道が必要なんです」
道があればゴブリン情報も早く集まるし、そこまで迅速に移動できる。より多くの請負員を動かせる。上前はねて生きていけるのだ。
「中間地であるアシッカはさらに発展するでしょう。土地を手に入れるなら今が買い時でしょうね」
コラウスが動き、商人が動けばもう止まらない。ドミノ倒しの如くいき着くところまでいくだろうさ。
商人たちを見れば真剣な顔で考え込んでいる。完全に火がついた感じだ。
「コラウス主体として街道沿いの領主が組めばこの国でも大きな派閥となるでしょう。王都からの無茶な要求も跳ね返せるでしょうね」
あの領主代理は黙って領主の命令に従う性格じゃない。勝つ算段がないから従っていたまで。揃ったら容赦のない攻勢に出るだろうよ。
「やはりお前はミシャを煽っていたな」
「上司に取り入るのは下の基本ですよ」
領主代理がいてくれたのはオレにとって僥倖だ。野望があり、行動力があり、能力がある人が領主代理をやっていてくれたんだからな。
「動くなら今ですよ」
去年はゴブリンの被害は軽微。ミスズ大発生で食料過多。山黒の魔石やらグロゴールの鱗を売れば大金が手に入る。まさに準備は調った、だ。
これで動かないのなら仕方がない。アシッカに拠点を移すまでだ。そのために大金を突っ込んだんだから。
「ミシャがお前を恐ろしいと言った意味がよくわかった。お前を組織に入れたら絶対にダメなヤツだ。知らない間に乗っ取られるよ」
「オレは過ごしやすくしたいだけで、上に立ちたいなんてまったくないです」
働きやすいよう環境を整えるのは当然の行動でしょう。嫌なところで仕事なんてしたくない。ほどよい地位にいてほどよい仕事をしてほどよく生きる。それが幸せだと二十五歳のときに学んだよ。
「まあ、ギルドマスターなんて分不相応の立場に立たされてますけどね」
この世界じゃ多少の地位にいないと生きていけない。まったく、人生とはままならないものだよ。
「わかった。ミシャには伝えておくよ」
「多少の武力ならお貸ししますよ」
もうそろそろ人と戦うことを覚悟しなくちゃならない。さんざん生き物を殺して人間だけできないなんて都合のいいこと、言ってられないだろう。オレがやらなきゃラダリオンたちがやってしまう。そんな卑怯なことしたらそれこそ人として終わっているわ。
「さあ、明日のためにそろそろお開きにしましょうか」
あと十数キロ道を造れば往来が楽になる。皆にはがんばってもらいましょう。
いや、仕事ではないことが六割近くあったが、五体満足で終えたのだからよしとしよう。でないと泣きたくなってくるわ。
きたときと違って帰りは大人数すぎて車をすべて出しても乗車できなかった。
なので、オレとミリエルでパイオニアを運転し、いけるところまでいったら乗っている者を降ろし、ホームに入ってダストシュート移動でアシッカに戻る。それを繰り返して全員を運んだ。
「アリサ。パイオニアが通れるていどに均してくれ」
本格的な工事はまた今度にして、アリサたち土魔法が使える者たちに獣道を林道くらいまでに広げてもらった。
残りのオレらはスコップやツルハシを使って人海戦術。川はラダリオンに木を切ってもらって簡易的な橋を作ってもらった。
一日で一キロくらい整備できた。やはり土魔法を使える者がいると凄まじいもんだ。
二日三日と続けて約十キロ。パイオニアを走らせるには問題ないくらいの道ができた。
「サイルスさん。コラウスの第三城壁街を仕切る一家っていますか?」
すっかり道路工事の作業員となったオレたち。夜に酒盛りしながらふと思ったことをサイルスさんに尋ねた。
「いるにはいるが、今度はなにをする気だ?」
「その一家に道路工事を仕切らせようと考えています」
偏見かもしれないが、そういう893の方々は人を使うのが上手いような気がする。
「コラウスには仕事がない人がいます。そういう人たちを束ねて道を造ってもらおうかと考えています」
人が余っているなら使わない手はない。今なら食事を提供しただけで募れそうだし。
「道を造ってもコラウスの儲けにならんだろう?」
「ダインさん。馬車が通れる道と通れない道、どちらを通ります?」
コラウスの商人も一緒に同行しています。
「まあ、馬車が通れる道ですね」
「オレはこの道を海まで通そうと思っています。海からコラウスまでの街道ができたらどうなります?」
「……商売が活発になりますね……」
「商売が活発になるなら人が増える。人が増えたら税も増える。道を制した者が勝者です。じゃあ、その道を制するのは誰でしょうか?」
「つまり、コラウス主導でやれと言うわけか」
「コラウス主導で第三城壁街を仕切る一家にやらせる。コラウスは道を造らせる労力を一家にやらせることができて、一家はコラウスから継続的に金を得られる。商人はいい道を通り商品を運ぶ。いずれは塩も安い値で取引されるでしょう」
中間地たるアシッカはこちらの味方。コラウスが加わればマイヤー男爵、ミジア男爵、ロック男爵も追随するしか手はなくなる。除け者にされたら寂れるだけだからな。
「その道はセフティーブレットも使う。これほど安全な道はないと思いますよ」
この話が商人に広まったらどうなるか。サイルスさんでもよくわかるだろう。
「ハァー。お前は恐ろしいヤツだよ」
「ゴブリン駆除員は短命です。最長で生きた者は五年です。オレは老衰で死にたい。そのためには速やかに移動できる道が必要なんです」
道があればゴブリン情報も早く集まるし、そこまで迅速に移動できる。より多くの請負員を動かせる。上前はねて生きていけるのだ。
「中間地であるアシッカはさらに発展するでしょう。土地を手に入れるなら今が買い時でしょうね」
コラウスが動き、商人が動けばもう止まらない。ドミノ倒しの如くいき着くところまでいくだろうさ。
商人たちを見れば真剣な顔で考え込んでいる。完全に火がついた感じだ。
「コラウス主体として街道沿いの領主が組めばこの国でも大きな派閥となるでしょう。王都からの無茶な要求も跳ね返せるでしょうね」
あの領主代理は黙って領主の命令に従う性格じゃない。勝つ算段がないから従っていたまで。揃ったら容赦のない攻勢に出るだろうよ。
「やはりお前はミシャを煽っていたな」
「上司に取り入るのは下の基本ですよ」
領主代理がいてくれたのはオレにとって僥倖だ。野望があり、行動力があり、能力がある人が領主代理をやっていてくれたんだからな。
「動くなら今ですよ」
去年はゴブリンの被害は軽微。ミスズ大発生で食料過多。山黒の魔石やらグロゴールの鱗を売れば大金が手に入る。まさに準備は調った、だ。
これで動かないのなら仕方がない。アシッカに拠点を移すまでだ。そのために大金を突っ込んだんだから。
「ミシャがお前を恐ろしいと言った意味がよくわかった。お前を組織に入れたら絶対にダメなヤツだ。知らない間に乗っ取られるよ」
「オレは過ごしやすくしたいだけで、上に立ちたいなんてまったくないです」
働きやすいよう環境を整えるのは当然の行動でしょう。嫌なところで仕事なんてしたくない。ほどよい地位にいてほどよい仕事をしてほどよく生きる。それが幸せだと二十五歳のときに学んだよ。
「まあ、ギルドマスターなんて分不相応の立場に立たされてますけどね」
この世界じゃ多少の地位にいないと生きていけない。まったく、人生とはままならないものだよ。
「わかった。ミシャには伝えておくよ」
「多少の武力ならお貸ししますよ」
もうそろそろ人と戦うことを覚悟しなくちゃならない。さんざん生き物を殺して人間だけできないなんて都合のいいこと、言ってられないだろう。オレがやらなきゃラダリオンたちがやってしまう。そんな卑怯なことしたらそれこそ人として終わっているわ。
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