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457 城、再び
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朝、マイヤー男爵から手紙を受け取り、コラウスに向けて出発した。
「やはり道がいいといいもんですな」
運転するサイオがコレソン村に到着したらそんなことを言った。
「そうだな。もっといいとコレソン村からミスリムの町まで二時間の距離になるんだがな」
これまでの道を考えたら林道並みによくなっている。だが、山に入れば道幅が二メートルもないところがある。前が詰まっていたらもうアウトだ。この街道、春になると意外と往来が出てくるそうなんだよ。
「コラウスに帰ったら職員用に新しい車を三台買う。よく練習しておけよ」
1000CCだと道幅がキツいから700CCのを買うことにしたのだ。
「それはありがたいです。一度こんな便利なものを覚えたら馬車に乗れませんからな」
こうやって人は堕落していくんだろうな。わかっていても止められないのも人である。
「わたしどもも欲しいものです」
「価格と維持を考えたら損でしかありませんよ」
タイヤ交換やオイル交換、簡単な部品交換ならオレでもできるが、フレームが曲がったり折れたりしたらそれなりの設備がないと無理だ。それなら新しく買い直したほうが経済的だ。
「どうしてもと言うなら請負員となってゴブリンを八百匹も狩れば買えますよ」
「真っ当に働いたほうがいいですね」
「同意です」
商人なら商売で金を稼ぎ、馬車で品を運ぶほうが利益が出せるだろうよ。
コレソン村で三十分ほど休憩したら出発した。
「馬車が増えてきましたね」
「ええ。今の時期は特に多いです」
なんでも隊商が動くのはもうちょっと先の頃らしいが、冬で消費した食糧を買いにマイヤー男爵領までくるそうだ。
山間地帯は何百メートル毎の間隔で待避所が設けられており、登り優先ってルールもあるんだからおもしろいよな。
「パイオニアに驚いてますね」
待避所にいる馬車の連中がパイオニアに驚いている姿にサイオが苦笑していた。
「馬が牽いてないのに走る箱だからな」
コラウスでもオレのことは知られ、車のこともウワサになっているだろうが、実物を見る者は少ない。初めて見たら驚きもする。オレだって元の世界で馬車が走ってたら目がいっちゃうよ。
多少時間はかかったものの、十一時過ぎにはミスリムの町に到着できた。
「なんだか凄く懐かしく思えるな」
三ヶ月離れていただけであり、あまり馴染みもないのにそんな感情が湧いてくるよ。
「まあ、いろいろありましたからな」
サイオもマイセンズに潜り、グロゴールとも対峙している。無事帰ってこれたことに万感の思いがあるだろうよ。
冒険者ギルド支部の前までやってきたらロウルさんとはここで別れる。
「旦那様と話し合ったら城に上がります」
「ええ。よろしくお願いします。オレはすぐに城にいきますんで」
サイルスさんも城にいるはずだ。このままいってしおう。館に帰ったら動きたくなくなるからな。
「サイオ。城の前までいってくれ。帰りは歩いて帰るから」
冒険者ギルドに報告とワイニーズ討伐の依頼を受けなくちゃならないしな。まったく、帰ってきても忙しいもんだ。
「相変わらず臭くて汚れた街だ」
「遠方から帰ってくるとそう思いますよ」
よくこんなところで暮らせると思うが、外は外で危険だ。まったく、真の弱肉強食な世界はクソだよ。
第二城壁門まで送ってもらい、サイオとはそこで別れた。
門番に名前を告げると、サイルスさんが話を通していてくれたお陰ですんなりと入れた。
兵士の一人に案内されて城に向かう。
城でも話は通っており、待合室みたいなところで待っていたら前にサイルスさんを迎えた執事(仮)がやってきた。この人、名前なんだっけ?
「ロズです」
首を傾げたのを見て察したのか、名前を告げてくれた。
「一ノ瀬孝人です」
「存じております」
あ、はい。そうでしたね。こちらは忘れていて申し訳ありません。
ホームに荷物と武器を片付け、着替えて戻ってきた。領主代理に献上する酒を持参してな。
酒をロズさんに渡し、領主代理のところに案内してもらった。
待たされるのは覚悟してたんだが、すんなり部屋に通された。
仕事をしているようで、文官が二人おり、サイルスさんもなにか書き物をしていた。
「お久しぶりです」
領主代理の顔、こんなだっけ? 雰囲気はインパクトが強すぎて忘れてないけど!
「ああ。サイから聞いた。勇者張りに活躍したそうだな」
壁に視線を向けたので、釣られて見ればグロゴールの鱗が一枚飾られていた。あれ、飾って楽しいものか?
「一人で活躍したわけではありませんし、勇者張りに活躍したつもりもありません」
激闘だったのは認める。だが、勇者張りに活躍はしていない。スーパーなロボットの真似事ならしたけど。
「ふふ。相変わらずか」
「この歳になると性格なんてなかなか変わりませんよ」
今さらイケイケガンガンなんて性格にはなれない。オレは死ぬまでこの性格だろうさ。
「街道の件は承知した。各領主とも話し合おう。それと、領内にまたゴブリンが現れ始めた。駆除してくれ。足しにはならんだろうが報酬は支払う」
「わかりました。それが本業なので」
本業になっているのは悲しいがな。
「まだ仕事が残っている。夜は一緒に飲むとしよう。もう酒が尽きたんでな」
「はい。飛びっきりの酒をお持ちしたので存分にお飲みください」
「楽しみだ」
サイルスさんや文官は辟易した顔になってますよ。
「やはり道がいいといいもんですな」
運転するサイオがコレソン村に到着したらそんなことを言った。
「そうだな。もっといいとコレソン村からミスリムの町まで二時間の距離になるんだがな」
これまでの道を考えたら林道並みによくなっている。だが、山に入れば道幅が二メートルもないところがある。前が詰まっていたらもうアウトだ。この街道、春になると意外と往来が出てくるそうなんだよ。
「コラウスに帰ったら職員用に新しい車を三台買う。よく練習しておけよ」
1000CCだと道幅がキツいから700CCのを買うことにしたのだ。
「それはありがたいです。一度こんな便利なものを覚えたら馬車に乗れませんからな」
こうやって人は堕落していくんだろうな。わかっていても止められないのも人である。
「わたしどもも欲しいものです」
「価格と維持を考えたら損でしかありませんよ」
タイヤ交換やオイル交換、簡単な部品交換ならオレでもできるが、フレームが曲がったり折れたりしたらそれなりの設備がないと無理だ。それなら新しく買い直したほうが経済的だ。
「どうしてもと言うなら請負員となってゴブリンを八百匹も狩れば買えますよ」
「真っ当に働いたほうがいいですね」
「同意です」
商人なら商売で金を稼ぎ、馬車で品を運ぶほうが利益が出せるだろうよ。
コレソン村で三十分ほど休憩したら出発した。
「馬車が増えてきましたね」
「ええ。今の時期は特に多いです」
なんでも隊商が動くのはもうちょっと先の頃らしいが、冬で消費した食糧を買いにマイヤー男爵領までくるそうだ。
山間地帯は何百メートル毎の間隔で待避所が設けられており、登り優先ってルールもあるんだからおもしろいよな。
「パイオニアに驚いてますね」
待避所にいる馬車の連中がパイオニアに驚いている姿にサイオが苦笑していた。
「馬が牽いてないのに走る箱だからな」
コラウスでもオレのことは知られ、車のこともウワサになっているだろうが、実物を見る者は少ない。初めて見たら驚きもする。オレだって元の世界で馬車が走ってたら目がいっちゃうよ。
多少時間はかかったものの、十一時過ぎにはミスリムの町に到着できた。
「なんだか凄く懐かしく思えるな」
三ヶ月離れていただけであり、あまり馴染みもないのにそんな感情が湧いてくるよ。
「まあ、いろいろありましたからな」
サイオもマイセンズに潜り、グロゴールとも対峙している。無事帰ってこれたことに万感の思いがあるだろうよ。
冒険者ギルド支部の前までやってきたらロウルさんとはここで別れる。
「旦那様と話し合ったら城に上がります」
「ええ。よろしくお願いします。オレはすぐに城にいきますんで」
サイルスさんも城にいるはずだ。このままいってしおう。館に帰ったら動きたくなくなるからな。
「サイオ。城の前までいってくれ。帰りは歩いて帰るから」
冒険者ギルドに報告とワイニーズ討伐の依頼を受けなくちゃならないしな。まったく、帰ってきても忙しいもんだ。
「相変わらず臭くて汚れた街だ」
「遠方から帰ってくるとそう思いますよ」
よくこんなところで暮らせると思うが、外は外で危険だ。まったく、真の弱肉強食な世界はクソだよ。
第二城壁門まで送ってもらい、サイオとはそこで別れた。
門番に名前を告げると、サイルスさんが話を通していてくれたお陰ですんなりと入れた。
兵士の一人に案内されて城に向かう。
城でも話は通っており、待合室みたいなところで待っていたら前にサイルスさんを迎えた執事(仮)がやってきた。この人、名前なんだっけ?
「ロズです」
首を傾げたのを見て察したのか、名前を告げてくれた。
「一ノ瀬孝人です」
「存じております」
あ、はい。そうでしたね。こちらは忘れていて申し訳ありません。
ホームに荷物と武器を片付け、着替えて戻ってきた。領主代理に献上する酒を持参してな。
酒をロズさんに渡し、領主代理のところに案内してもらった。
待たされるのは覚悟してたんだが、すんなり部屋に通された。
仕事をしているようで、文官が二人おり、サイルスさんもなにか書き物をしていた。
「お久しぶりです」
領主代理の顔、こんなだっけ? 雰囲気はインパクトが強すぎて忘れてないけど!
「ああ。サイから聞いた。勇者張りに活躍したそうだな」
壁に視線を向けたので、釣られて見ればグロゴールの鱗が一枚飾られていた。あれ、飾って楽しいものか?
「一人で活躍したわけではありませんし、勇者張りに活躍したつもりもありません」
激闘だったのは認める。だが、勇者張りに活躍はしていない。スーパーなロボットの真似事ならしたけど。
「ふふ。相変わらずか」
「この歳になると性格なんてなかなか変わりませんよ」
今さらイケイケガンガンなんて性格にはなれない。オレは死ぬまでこの性格だろうさ。
「街道の件は承知した。各領主とも話し合おう。それと、領内にまたゴブリンが現れ始めた。駆除してくれ。足しにはならんだろうが報酬は支払う」
「わかりました。それが本業なので」
本業になっているのは悲しいがな。
「まだ仕事が残っている。夜は一緒に飲むとしよう。もう酒が尽きたんでな」
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