11 / 18
STEP1 ハジメマシテ
side D
しおりを挟む「いっしょに、やきゅー、やろ!」
「やきゅー?」
「うん!これ、かしたげる!ボールなげるから、とってね!」
「えっ、わぁ!?」
バタン!と思いの外勢いよく閉まったドアに内心驚く。
どれだけ周りが見えなかったことか……。
でも、仕方ないこと。
懐に忍ばせていた宝物を手に取る。
「はーちゃん……っ」
幼い頃から口下手で、みんなの輪に入れなくてぽつんと一人でいた。
そこに、『はーちゃん』が野球をやろうと誘ってくれたのが始まりだった。
人数不足を解決する為だけかもしれないが、それをきっかけにたくさんの友だちが出来た。
もちろん、その中でも『はーちゃん』が1番で、互いの家に行き来していた。
「はーちゃんは、よこはまがすきなの?」
「うん!よわいけどね、すきなせんしゅ、いっぱいなの!かっこいいの!」
「そ、そっか……」
「とくにね!いっぱいはやいせんしゅと、いっぱいうつせんしゅ!」
テレビでは、瞬足で知られる選手がすぐさま盗塁を決め、小技の上手い選手が送り、安打製造機とも呼ばれる選手がヒットを放ち鮮やかに一点を取った。
それをキラキラと輝く目で見ていた『はーちゃん』に、『俺にもその視線を向けて欲しい』と、子供ながらに思った。
元々左利きだった俺は、投手を除けば外野手になるしかない。
その日から『いっぱいはやくていっぱいうつ、よこはまのせんしゅ』を目指した。
「いつか、にほんいちになるもん!」と、弱いとバカにされた時、泣きじゃくっていた姿を見て、俺が日本一にすると誓った。
両親の都合で引っ越してからも、その想いと、たった1枚の写真だけを胸に、今日まで頑張ってきた。
彼女に会うため、ずっとずっと頑張ってきた。
けれど、『はーちゃん』としか知らなかった俺は、探すことも出来なくていつか見つけてくれると信じて横浜に居続ける。
先輩に誘われる呑み会と称した合コンも、はーちゃんが参加するかもしれないという有り得ないとは思いつつも僅かな可能性に掛けたくて参加していた。
……結果はハズレどころが最悪だが。
はーちゃんには会えないし、女共はウザったいし、俺自身も三十路。
いつまでも初恋を引きずる訳にはいかないと相談所に登録したはいいものの、どこかはーちゃんの面影を探してしまって、上手く行かなかった。
そこで紹介されたのが『ハルカ』さん。
直感で、はーちゃんではないかと思った。
横浜が好きで、俺みたいな選手が好きで。
実際、目が合った時、顔を真っ赤にして興奮した状態で話しかけてくれたのを見て、ほぼ確信した。
俺単体で撮ろうとしてるのを見て、体が思わず彼女を引き寄せた。20年振りのツーショットに内心バクバクだったが、真っ赤になっていた彼女を見て、全てが吹っ飛んだ。
……ファンモードが終わった時の冷静な態度には少し、いや、かなり傷付いたけど……。
地元や幼い頃の話をすればするほど、はーちゃんだと確信する。
はーちゃん、それは俺だよ。なんて言ったら、どんな顔をするのか。
────あれ、はーちゃん、俺の事なんて呼んでた?
名前を呼ばれた記憶がなくて、一生懸命手繰るも浮かばない。てか、名乗った記憶もない。
『はーちゃん』だって、はーちゃんのお母さんがそう呼んでるのを真似しただけで、俺だってちゃんとした名前を知らない。
その事実に打ち震えていると、追撃するような「悠真がすき」の言葉。
選手として、人間としてとは言っていたが、余りのショックに後半の記憶がほとんど無かった。
だから、次も会えるとの確約があったのは、びっくりしたが、嬉しかった。
「っ、はぁ……、」
想像より、随分大人っぽくなっていた。
でも、子供っぽくはしゃいだところも、好物に目を輝かすところも、好きなことになると早口になるところも変わってない。
だいすきな、はーちゃんのままだ。
脳裏に鮮明に思い出す。
それだけで息は荒く、血は駆け巡る。
寒いはずなのに、体が熱い。汗が滲んでいる気がした。
「っ、はー……ちゃん……っ」
真新しいビニール袋に入れた写真を服の上からイキり勃ったそれに押し付け、ゆっくり擦る。
最初は加減がわからなくて折れたり、汚したりしてしまったが、今はそんな事しない。
ゆるい刺激だが、はーちゃんの写真と言うだけで、遥かに気持ちいい。
しかも今回はそこに、今のはーちゃんが加わる。
腰を、引き寄せた。
柔らかくて、気持ちよくて、離したくなかった。
少し撫でた時、ぴくりと反応したのがとても可愛くて、そこにぶっ掛けたくてたまらなかった。
マスクしててもわかるくらい真っ赤で、目が潤んでた。
弱い所を攻めたら、あんな顔して鳴くのだろうか。
マスクを外したら、ぽってりとした赤いくちびる。
あのくちびるに吸い付いたら、どれだけ気持ちいいのだろうか。舐められたら、咥えられたら。
「っ、くぁ……!」
どくどくと写真に掛ける。
ぼたぼたと滴り落ちる精液の量は、尋常じゃないとわかるのに、それでもまだ出したいと主張していた。
白く濁ってしまった写真は1度隅において、今日の写真を表示する。
はーちゃんから、記念にと強請って貰った1枚。唯一マスクを取った写真。
顔をアップにして、口元を映す。そこに、鈴口を当て────
「ダイスケさん……っ、」
どぷっ、とスマホに掛かった。
先程と余り変わらない量に驚く。
はーちゃんに、舐められる妄想をほんの少ししただけで、これとは……。
内心呆れると同時に、彼女への想いが募る。
そして俺は、もう数えるのも億劫なくらいその写真で抜いた。
「そうだ、悠真──……」
抜きすぎて力が入らない体を無理やり起こし、メッセージを打ち込む。
『次会ったら覚悟しとけ』
『なんでですか!?!?』
八つ当たりなのはわかってる。
でも、一発入れないと気が済まなかった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる