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信じたくないプロローグと決意

☆なんでいるんだよ

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静香さんが前日から仕込んでいたというふわとろのフレンチトーストにうっとりしてました。
たっぷりのメープルシロップに色とりどりのフルーツ、オプションのバニラアイスとチョコソース、生クリームと私はお姫様になった気分だ。絶対太る。

たしか今日は管弦楽部は休みと聞いた気がするので、せっかくなので運動部を見て回ろうと思う。少しでもカロリー消費しないと。ちょうど体育あるからジャージとスニーカー持ってくし。


「静香さん、いってきま───」


「~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」


ばたん、と開いた扉を閉めた。
見てはいけないものを見た気がする。


「どうしたの、姫愛ちゃん」


「あっ、あはははは!なんでもないで────」


「ちょっとー、オレの顔見て閉めるとかひどくなーい??」


なんでいるんだよ南雲蒼空!!!!!!!!
私が書いたんだけどさ!!!!
閉めさせろ顔を見たくない本当に見たくないんだよ!!!!


「どちら様ですか私は貴方を知りません」


「釣れないこと言わないでよォー、<font size="5" color="pink">聖櫻のお姫様♡♡</font>」


なんで過去の私はこのセリフを文字大きく&ピンクにしたんすか…。


「予鈴までまだあるジャン?きもちーことしない?」


「ひっ…!」


急に耳に息を吹かれ、びっくりして手から力が抜ける。
蒼空はそれを狙ったかのように扉を開け、私の腰に手を回して引きずり出した。


「静香サン、俺がちゃーんと送ってくから大丈夫よん♪」


「そう、お願いね」


お願いしないで!!!!と叫びたかったが、口を塞がれて声が出せなかった。
やばい、本格的にやばい。
これは、いきなり突っ込まれ処女喪失フラグだ…!!


「あんま暴れないで、落ちるよ?」


あんたに犯されるくらいなら落ちた方がましだ!!
そう言いたいのに、私の声は丸めたハンカチに吸収され、言葉として伝わらなかった。
しかも蒼空はなかなか力がある。暴れる私を抑えつけ、寮の裏手、死角になるところで降ろした。


「…あれ、リボンてそーなってんの?ざーんねん」


スナップボタンで着けるタイプで助かった…。普通だったらきっと手なんかを縛ってただろう。しかし、両手を纏めた拘束は外れない。
足を踏んで怯ませたいが、それも上手くいかなかった。け、蹴りあげる…?でも足も取られたら…。


「そーいえば聞いたんだけど」


「は、」


口のハンカチをはずされ、ようやくまともな息を…としたところで、それを奪われる。
じゅるじゅると吸い、舌を絡めとり、歯列をなぞる。
昨日の悟より手慣れたそれに、私はびくびくと反応してしまった。


「──なに、その顔。ぶちょーよりよかった?」


くちびるを犯すように、ゆっくりと指でなぞる。それにすら感じてしまい、目が、お腹の奥が、潤むのが自分でもわかる。
睨んだつもりでも、彼には効いていないようで、更に笑みを深くし再度口付けた。


「した、だしてよ…そう、もっと…♡」


なんか、身体がおかしい。
言われるままに舌を出し、そこに唾液が落とされる。
飲めと奥まで押し込まれ、反抗できずに飲み込んだ。
散々口内を舐めまわした後、ゆっくりくちびるを離すと、それを繋ぐ糸が朝日に照らされてぬらぬらと輝き、あまりのいやらしさに見てられなくて目を逸らした。


「っ、え」


かくん、と膝から力が抜ける。
両手を抑えてる左手以外、私に触れてないのに。まだ、キスしかしてないのに。
はっ、はっ、と浅い呼吸を繰り返す。
これじゃ、まるで、欲しがってるみたい。


「あ、よーやく効いてきた♪」


それで、思い出した。

彼は医学コースでも、医者志望じゃない。
薬品開発志望だと。


「さっきのハンカチとー、俺の唾液。両方にクスリ、仕込んでたんだ♡」


「ひぁ…っ!」


耳に軽いキスだけで変な声が出る。
クスリ────多分、媚薬。
それなら、今の状態も説明がつく。

無意識に擦り合わせた膝の奥から、くちゅり、と水音がした。


「───そっかぁ」


もう、抵抗をする力は残されてない。
嬉しそうな顔で両手を解き、その手で開こうと、私の太ももへと手をかけた。



────こうなるから出会いたくなかったんだ!!!!


「っざけんな…!」


「っ、…」


思わず漏れた声に、蒼空の手が止まる。
ボロボロと溢れる涙に、高揚していた顔は絶望の色を滲ませた。


「ごめ、…泣かせたいわけじゃ…っ」


「ヤり捨てる奴なんかに、許すほど、私の身体は安くない…っ」


「はっ…?」


なんとか力を振り絞り、こんなやつ、不能になってしまえと願いを込め、立ち上がってるのがわかるくらい張り詰めたそこに蹴りを入れた。
悶えてる隙に、荷物を拾い上げふらつきながらも教室へと向かった。

媚薬はとりあえず……どうしようか。
自分で発散するのはなんか負けた気がして嫌だったので、口を綺麗にしようととにかく水を飲み、あとは必至に耐えた。
周りの視線は痛かった。





「なんで、新入生チャンが知ってるの…?」













「もう嫌…」


体育をやってわかったこと、姫愛ちゃんはやっぱり運動神経がめちゃくちゃいい。
初回だったので、新体力テストをやったのだが握力以外の項目が軒並み好成績なのだ。昔から身体硬かった私としては、パカパカケータイ並にぺたりとくっつくの本当に羨ましかった…。胸さえ邪魔じゃなければ多分もう少し行けた。
腹筋も軽々50回いけたのは感動した…全盛期ですら20いけばいい方だったもん…。

この能力ならどの部でも迷惑はかけることはなさそうだと思い、興味のある部から見に行ったんだが────




ダンス部


「これ以上はやめてくれぇ!!鼻血が止まらなくなる!!」


「なんで!?」




テニス部


「スコート姿エッロ…」


「辞めます」




陸上部


「ゆっさゆっさ…生足…」


「──────…」



アーチェリー部


「胸当て…でか…挟まれたi」


「それセクハラですからね?」



思春期男子を舐めすぎていた。
これ軽音楽部でなくても貞操の危機だわ。

こうして私は運動部を諦めた。寮で運動するわ。


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