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第1章 騎士見習いの誕生
9.男の真意
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2人は廊下を渡り中庭に向かっていた。
僕の質問に大和は少し笑った後
「それは中庭に向かいながら話そうぜ?」
と少しぼやかし答えた。
廊下の人の少ない所で大和が口を開いた。
「で、何だっけ?霊現状態だったことについて?」
「あぁ。演習では霊幻状態が条件のはずだけど?」
「それは単純に仁君の全力が見たかったからだよ♪」
「え?」
大和がふざけた口調で言うと仁は間抜けな声を出してしまった。
「本当だぜ?俺もナイフ'sパレードを使うくらい本気だったし」
(確かに久しぶりに本気で闘えたけど…)
「そうかい。わかったよ。でも次からは事前に教えてくれよ?結構焦ったんだよ?」
仁が笑いながら言うと大和は
「すまんすまん」と軽く謝ると手をあわせた。
(本当かしばらく様子見かな…本気だとは思うけど…)
「じーんーくーん!」
遠くからかけられた声に「え?」と振り返ると紅葉に渾身のタックルをお見舞いされた
「うぐっ!?」
突然の事にどうする事も出来なく身体で受けてしまった。
「あ!ご、ごめん…止まれなくて…」
「もう!何してるんですか!大丈夫ですか?」
しゅん として謝る紅葉を叱ると心配そうに桜が駆け寄ってきた。
「う、うん。大丈夫だよ!」
日頃の筋トレや体づくりのおかげで大して痛くは無かった。
「とりあえず座ろうか?」
空いている場所を指差し言うと
「そうですね。紅葉、行きましょう」と桜が応えた。
「あれ?そう言えば要ちゃんと冬ちゃんは?」
大和の問いに
「あぁ、2人ならそろそろ…」
と言った時遅れて2人がやって来た。
「もう!紅葉さんも桜さんも走って置いていかないでください!」
要が少し怒りながら'ちゃっかり'と仁の横に座った。
校舎の中庭はかなり広く周りにはたくさんの人が同じ様に集まりご飯を食べ雑談をしている。
各々が自分の食べる物を用意し始めた。
仁も同じ様に要が(多少強引に)作ってくれたお弁当を出し蓋を開けた。
「おぉ!」
思わず声が出てしまった…中にはとても美味しそうな物が色合いや栄養面も考えて詰められていた。
「どーですか?」
要がワクワクした様な表情で尋ねてきた。きっと要に尻尾があれば ブンブン と千切れそうな程に振っているだろう。
仁は卵焼きを1口食べ、答えた
「うん。とても美味しいよ!要、ありがとうね」
「はうっ!」
仁が笑顔で答えると要はその場に倒れてしまった。
「要!?」
仁が要の身体を引き寄せ顔を見ると耳まで真っ赤になっていた。
「大丈夫!?」
仁が心配そうに顔をのぞき込むと更に顔を赤くし応えた。
「は、はい…だい…じょうぶ…です。」
コホン と息を整えると要は落ち着いた口調に戻った。
「お口に合う様で良かったです」
(まだ耳が赤いのは言わないでおこう…)
「ねぇねぇ仁君!」
紅葉が明るい声色で身を乗り出して来た。
「今日もお手合わせ…と言うか特訓して欲しいんだけど良いかなっ!?」
紅葉のキラキラと期待した眼差しに断る気もなく答えた。
「うん。僕で良ければいいよ!」
「ありがとう!」
「強い方に実演を通して学ぶのは良い事ですが迷惑をかけないようにするんですよ?」
「わかってるって~」
桜の注意にめんどくさそうに答えるとまたお弁当を食べ始めた。
食べ終わり雑談をしていると昼休み終了のベルが校内に響いた。
「じゃあ冬さんまたね!」
「えぇ、またね。仁君♪」
そして仁達は冬と別れ教室に向かった。
「え~それでは皆さんに大切なお話があります。」
教卓に立つ神道先生がほんわかとした口調に違和感のある真剣な顔をして口を開いた。
「来週辺りに魔物討伐に全生徒で行く事になりました。魔物と言っても知能があるので連携が大事になります。なので仲の良い人と戦力を考えた上でパーティー(分隊)を組んでおいて下さいね」
(この話しが終わったら要が飛んでくるだろうなぁ)
等と思いながら要の方を見ると既にこちらに走ってきそうな程にガン見されていた
「また、今回の最終目標は魔物の心臓でもある"コア"を回収する事です。」
コアとは一般生徒3人分の魔力を秘めた魔石でそれから魔力を吸収する事で様々な事に使われる。
(確か今の魔力で動く物は全部コアで動いてるんだっけ?)
「では話しを終わります。パーティーは最低4人で組んで下さいね」
そう言うと神道先生はパーティー申請用紙を置いて忙しそうに教室を出て行った。
「じーんー君!」
紅葉が机の向い側から覗く様に話しかけてきた。
「パーティーの事だよね?」
「うん!私と桜ねぇで組むんだけど前衛をお願いしようと思って!」
「そっか。桜さんは魔弓だからパーティーバランスも良くなるね。良いよ」
仁が快く承諾すると要がいつの間にか真横に居た。
「ジー」
わざわざ口で言うところに可愛く感じながらも当然の様に要を誘うことにした。
「要も一緒に組もうよ」
「2人は良いんですか?」
要が遠慮しながら桜と紅葉に訊くと
「うん!2人いっつも一緒だもんね♪」
と紅葉が気はずかしい事を口にしながら答えた。
「そうかな?」「そうですか?」
と2人は同時に口にしてお互いに見合うと顔を真っ赤にした。
「「うぅ…」」
「はいはい。仲良し夫婦は置いといて、俺もパーティーに入れてくれない?」
大和が軽い口調で冷やかす様に言いながら会話に入ってきた。
「私達はいいですよ。仁さんと要さんは良いですか?」
桜の問いに2人は当然の様に答えた。
「うん、僕はいいよ。要も良いよね?」
「はい。問題ありません」
「じゃあパーティーはこのメンバーで良いよね。」
そう言うと仁はパーティー申請用紙を取り出し全員の名前を書いた。
仁、要、桜、紅葉、大和、5人の戦闘能力上位者が集まったパーティーが結成された。
僕の質問に大和は少し笑った後
「それは中庭に向かいながら話そうぜ?」
と少しぼやかし答えた。
廊下の人の少ない所で大和が口を開いた。
「で、何だっけ?霊現状態だったことについて?」
「あぁ。演習では霊幻状態が条件のはずだけど?」
「それは単純に仁君の全力が見たかったからだよ♪」
「え?」
大和がふざけた口調で言うと仁は間抜けな声を出してしまった。
「本当だぜ?俺もナイフ'sパレードを使うくらい本気だったし」
(確かに久しぶりに本気で闘えたけど…)
「そうかい。わかったよ。でも次からは事前に教えてくれよ?結構焦ったんだよ?」
仁が笑いながら言うと大和は
「すまんすまん」と軽く謝ると手をあわせた。
(本当かしばらく様子見かな…本気だとは思うけど…)
「じーんーくーん!」
遠くからかけられた声に「え?」と振り返ると紅葉に渾身のタックルをお見舞いされた
「うぐっ!?」
突然の事にどうする事も出来なく身体で受けてしまった。
「あ!ご、ごめん…止まれなくて…」
「もう!何してるんですか!大丈夫ですか?」
しゅん として謝る紅葉を叱ると心配そうに桜が駆け寄ってきた。
「う、うん。大丈夫だよ!」
日頃の筋トレや体づくりのおかげで大して痛くは無かった。
「とりあえず座ろうか?」
空いている場所を指差し言うと
「そうですね。紅葉、行きましょう」と桜が応えた。
「あれ?そう言えば要ちゃんと冬ちゃんは?」
大和の問いに
「あぁ、2人ならそろそろ…」
と言った時遅れて2人がやって来た。
「もう!紅葉さんも桜さんも走って置いていかないでください!」
要が少し怒りながら'ちゃっかり'と仁の横に座った。
校舎の中庭はかなり広く周りにはたくさんの人が同じ様に集まりご飯を食べ雑談をしている。
各々が自分の食べる物を用意し始めた。
仁も同じ様に要が(多少強引に)作ってくれたお弁当を出し蓋を開けた。
「おぉ!」
思わず声が出てしまった…中にはとても美味しそうな物が色合いや栄養面も考えて詰められていた。
「どーですか?」
要がワクワクした様な表情で尋ねてきた。きっと要に尻尾があれば ブンブン と千切れそうな程に振っているだろう。
仁は卵焼きを1口食べ、答えた
「うん。とても美味しいよ!要、ありがとうね」
「はうっ!」
仁が笑顔で答えると要はその場に倒れてしまった。
「要!?」
仁が要の身体を引き寄せ顔を見ると耳まで真っ赤になっていた。
「大丈夫!?」
仁が心配そうに顔をのぞき込むと更に顔を赤くし応えた。
「は、はい…だい…じょうぶ…です。」
コホン と息を整えると要は落ち着いた口調に戻った。
「お口に合う様で良かったです」
(まだ耳が赤いのは言わないでおこう…)
「ねぇねぇ仁君!」
紅葉が明るい声色で身を乗り出して来た。
「今日もお手合わせ…と言うか特訓して欲しいんだけど良いかなっ!?」
紅葉のキラキラと期待した眼差しに断る気もなく答えた。
「うん。僕で良ければいいよ!」
「ありがとう!」
「強い方に実演を通して学ぶのは良い事ですが迷惑をかけないようにするんですよ?」
「わかってるって~」
桜の注意にめんどくさそうに答えるとまたお弁当を食べ始めた。
食べ終わり雑談をしていると昼休み終了のベルが校内に響いた。
「じゃあ冬さんまたね!」
「えぇ、またね。仁君♪」
そして仁達は冬と別れ教室に向かった。
「え~それでは皆さんに大切なお話があります。」
教卓に立つ神道先生がほんわかとした口調に違和感のある真剣な顔をして口を開いた。
「来週辺りに魔物討伐に全生徒で行く事になりました。魔物と言っても知能があるので連携が大事になります。なので仲の良い人と戦力を考えた上でパーティー(分隊)を組んでおいて下さいね」
(この話しが終わったら要が飛んでくるだろうなぁ)
等と思いながら要の方を見ると既にこちらに走ってきそうな程にガン見されていた
「また、今回の最終目標は魔物の心臓でもある"コア"を回収する事です。」
コアとは一般生徒3人分の魔力を秘めた魔石でそれから魔力を吸収する事で様々な事に使われる。
(確か今の魔力で動く物は全部コアで動いてるんだっけ?)
「では話しを終わります。パーティーは最低4人で組んで下さいね」
そう言うと神道先生はパーティー申請用紙を置いて忙しそうに教室を出て行った。
「じーんー君!」
紅葉が机の向い側から覗く様に話しかけてきた。
「パーティーの事だよね?」
「うん!私と桜ねぇで組むんだけど前衛をお願いしようと思って!」
「そっか。桜さんは魔弓だからパーティーバランスも良くなるね。良いよ」
仁が快く承諾すると要がいつの間にか真横に居た。
「ジー」
わざわざ口で言うところに可愛く感じながらも当然の様に要を誘うことにした。
「要も一緒に組もうよ」
「2人は良いんですか?」
要が遠慮しながら桜と紅葉に訊くと
「うん!2人いっつも一緒だもんね♪」
と紅葉が気はずかしい事を口にしながら答えた。
「そうかな?」「そうですか?」
と2人は同時に口にしてお互いに見合うと顔を真っ赤にした。
「「うぅ…」」
「はいはい。仲良し夫婦は置いといて、俺もパーティーに入れてくれない?」
大和が軽い口調で冷やかす様に言いながら会話に入ってきた。
「私達はいいですよ。仁さんと要さんは良いですか?」
桜の問いに2人は当然の様に答えた。
「うん、僕はいいよ。要も良いよね?」
「はい。問題ありません」
「じゃあパーティーはこのメンバーで良いよね。」
そう言うと仁はパーティー申請用紙を取り出し全員の名前を書いた。
仁、要、桜、紅葉、大和、5人の戦闘能力上位者が集まったパーティーが結成された。
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