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第1章 騎士見習いの誕生
8.妖女(あやしめ)の戯れ
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オルタナ魔導学園 学生寮の1室
仁と冬は座っていた。
「まさか大和君が霊現状態で戦っていたなんてね…」
冬は仁の怪我をした肩に包帯を巻いている。
「うん…どういう意図だったんだろう…」
「まぁでも、勝てたんだし良かったじゃない?明日大和君に聞きに行けば良いわ」
「うん…」
だが仁の表情が晴れる事は無かった。
「……。そうだ!今日もハーブティー飲むでしょう?」
「うん。頂くよ。冬さん、ありがとね」
仁が例を言うと程なくして冬が包帯を巻き終わった。
「良いのよ。じゃあちょっと待ってね。今淹れて来るわ」
そう言うと冬は自分でブレンドしたハーブティーをティーカップに注いで運んできた。
「どーぞ♪」
「ありがとう」
仁はティーカップの3分の1程飲み「ふぅ」と息をはいた。
「うん。美味しいよ。冬さん」
「そう、良かったわ。あと、そろそろ呼び捨てでも良いのよ?要さんの事は呼び捨てなのに…」
冬は1口飲むと拗ねるように言った。
「う、うん。分かったよ。」
すると冬は目をキラキラとさせている。
「ほら!呼んだくれないの?」
「え、えと…」
(改めて呼ぼうとすると恥ずかしい…)
「っと…冬?」
「はぁい?あなた♪」
(うん…なんだろ…何か違う…普通 おまえ に対して あなた じゃないか…?ってか…)
「え!?あ、あなた!?」
冬は仁の真っ赤になった顔を見つめ薄く笑った。
「ふふ、冗談よ♪」
この日も冬は仁をからかい楽しんだのであった。
「…ん。…仁。」
視界に光が入ってきた。
「ん…」
目の前に人の様な影があった。
(あれ…?人…?って事は…)
「冬!?何してるの!?」
だが目に入ったのは艶のある銀色だった。
「…って…あれ?」
見ると要が僕の顔を覗き込んでいた。
「やっと起きましたか。」
「要?何で要が僕の部屋に?」
「お弁当を渡すついでに起こしに来たんです。それより…冬…と言っていましたね?いつの間にそんなに仲良くなったんですか?しかもま・さ・かとは思いますが昨日もこんな風に起こされたんですか?」
要から黒いオーラが沸いている…
「ち、違うよ。同じ部屋に居るのが冬だけだから間違えただけであっt…」
「またです。昨日まで冬さんと呼んでいたのに。何かあったに違いありません!」
雄大の弁解も途中までしか聞かず要は興奮しきっている。
「私が呼び捨てで良いってお願いしたのよ。堅苦しいもの。」
ピンチの仁を助ける様に冬が洗面所から出てきた。
「む…本当ですか?仁?」
「う、うん。そうだよ」
「そうですか、なら良いです」
(助かった…要の機嫌を損ねると怖いからなぁ)
「じゃあ私は自室に戻りますね。」
そう言うと要はお弁当をテーブルに置き出口へ向かった。
「うん。ありがとう、要。」
仁が例を言うと要は頬を紅くした
「いえ、これ位何ともないです。もし多ければ言ってくださいね?」
「うん。わかったよ」
「それでは、また教室で」
「うん。またね」
落ち着いた仁に冬が声をかけた。
「仁君?そろそろ準備しないといけない時間じゃないの?」
「え?」
仁が間抜けな声を出し時計を見ると7時30分をこえていた。
(教室に8時20分には入ってないといけないから…)
「急げば間に合うかな。とりあえず準備して来るよ!」
結局かなり早めに準備は終わりいつもより余裕な朝となったのだった…
朝。仁に弁当を渡した要が自室に戻ってきた。二人部屋にはルームメイトが朝ごはんを作っていた。
「戻りました。ご飯もう出来そうですか?」
「………うん」
無口な彼女の返事を聞くと要は洗面所に手を洗いに行った。
彼女の名は鳴海 葵(なるみ あおい)
身長は150cm程で要より小さい。髪は栗色で肩にかかる長さで紅く透き通った瞳はとてもキレイで最初見た時は見入ってしまった。
(あんまり話さないから良くわからないんですよね…)
要が戻るとテーブルには目玉焼きとトーストが並べられていた。
「美味しそうですね!頂きます」
「………うん」
要はトーストをはむっと1口かじると「美味しい」と口からこぼれた。
幸せそうに食べる要を見て葵はフフッと小さく微笑んだ。
(ずいぶんと美味しそうに食べる人です)
2人は食べ終わると食器を片付け教室に向かった。
要が教室に入ると既に仁は座っていた。
「仁、もう来ていたんですか」
要を見つけると仁はあはは、と笑い答えた。
「うん。急いで準備してたら意外に早く終わっちゃって」
要と雑談をしていると大和が教室に入り着席した。
(っ……)
大和はこちらを見るとニヤッと笑い授業の準備を始めた。
あと少しで神通先生が来るだろう
(後で話そう…)
午前の授業をモヤモヤとした気持ちで受け昼休みになった。
「仁、一緒にお昼食べましょう?お弁当の感想も聞きたいので。」
授業終了のベルが鳴るとすぐに要が誘ってきた。
「うん。いいよ。みんな呼んで食べようか」
(うぅ…みんなですか…)
要は内心でがっかりしながらも笑顔で応えた。
「大和、君も一緒に食べるだろう?」
「あぁ、ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ!」
大和は嬉しそうに笑みを浮かべ応えた。
「要、他の3人も呼んできてくれないかな?」
仁が頼むと一瞬困った顔をしたがしぶしぶと答えた。
「わかりました。中庭で待ってて下さいね?」
「うん。わかってるよ」
要が3人を呼びに行くと仁は真剣な表情になり口を開いた。
「大和、君に話がある」
「ん?何だ?」
「昨日の演習で君は霊現状態だったね?何故だい?」
「あぁ、それか。それは…」
大和は再びニヤッと笑みを浮かべるとゆっくりと口を開いた…
仁と冬は座っていた。
「まさか大和君が霊現状態で戦っていたなんてね…」
冬は仁の怪我をした肩に包帯を巻いている。
「うん…どういう意図だったんだろう…」
「まぁでも、勝てたんだし良かったじゃない?明日大和君に聞きに行けば良いわ」
「うん…」
だが仁の表情が晴れる事は無かった。
「……。そうだ!今日もハーブティー飲むでしょう?」
「うん。頂くよ。冬さん、ありがとね」
仁が例を言うと程なくして冬が包帯を巻き終わった。
「良いのよ。じゃあちょっと待ってね。今淹れて来るわ」
そう言うと冬は自分でブレンドしたハーブティーをティーカップに注いで運んできた。
「どーぞ♪」
「ありがとう」
仁はティーカップの3分の1程飲み「ふぅ」と息をはいた。
「うん。美味しいよ。冬さん」
「そう、良かったわ。あと、そろそろ呼び捨てでも良いのよ?要さんの事は呼び捨てなのに…」
冬は1口飲むと拗ねるように言った。
「う、うん。分かったよ。」
すると冬は目をキラキラとさせている。
「ほら!呼んだくれないの?」
「え、えと…」
(改めて呼ぼうとすると恥ずかしい…)
「っと…冬?」
「はぁい?あなた♪」
(うん…なんだろ…何か違う…普通 おまえ に対して あなた じゃないか…?ってか…)
「え!?あ、あなた!?」
冬は仁の真っ赤になった顔を見つめ薄く笑った。
「ふふ、冗談よ♪」
この日も冬は仁をからかい楽しんだのであった。
「…ん。…仁。」
視界に光が入ってきた。
「ん…」
目の前に人の様な影があった。
(あれ…?人…?って事は…)
「冬!?何してるの!?」
だが目に入ったのは艶のある銀色だった。
「…って…あれ?」
見ると要が僕の顔を覗き込んでいた。
「やっと起きましたか。」
「要?何で要が僕の部屋に?」
「お弁当を渡すついでに起こしに来たんです。それより…冬…と言っていましたね?いつの間にそんなに仲良くなったんですか?しかもま・さ・かとは思いますが昨日もこんな風に起こされたんですか?」
要から黒いオーラが沸いている…
「ち、違うよ。同じ部屋に居るのが冬だけだから間違えただけであっt…」
「またです。昨日まで冬さんと呼んでいたのに。何かあったに違いありません!」
雄大の弁解も途中までしか聞かず要は興奮しきっている。
「私が呼び捨てで良いってお願いしたのよ。堅苦しいもの。」
ピンチの仁を助ける様に冬が洗面所から出てきた。
「む…本当ですか?仁?」
「う、うん。そうだよ」
「そうですか、なら良いです」
(助かった…要の機嫌を損ねると怖いからなぁ)
「じゃあ私は自室に戻りますね。」
そう言うと要はお弁当をテーブルに置き出口へ向かった。
「うん。ありがとう、要。」
仁が例を言うと要は頬を紅くした
「いえ、これ位何ともないです。もし多ければ言ってくださいね?」
「うん。わかったよ」
「それでは、また教室で」
「うん。またね」
落ち着いた仁に冬が声をかけた。
「仁君?そろそろ準備しないといけない時間じゃないの?」
「え?」
仁が間抜けな声を出し時計を見ると7時30分をこえていた。
(教室に8時20分には入ってないといけないから…)
「急げば間に合うかな。とりあえず準備して来るよ!」
結局かなり早めに準備は終わりいつもより余裕な朝となったのだった…
朝。仁に弁当を渡した要が自室に戻ってきた。二人部屋にはルームメイトが朝ごはんを作っていた。
「戻りました。ご飯もう出来そうですか?」
「………うん」
無口な彼女の返事を聞くと要は洗面所に手を洗いに行った。
彼女の名は鳴海 葵(なるみ あおい)
身長は150cm程で要より小さい。髪は栗色で肩にかかる長さで紅く透き通った瞳はとてもキレイで最初見た時は見入ってしまった。
(あんまり話さないから良くわからないんですよね…)
要が戻るとテーブルには目玉焼きとトーストが並べられていた。
「美味しそうですね!頂きます」
「………うん」
要はトーストをはむっと1口かじると「美味しい」と口からこぼれた。
幸せそうに食べる要を見て葵はフフッと小さく微笑んだ。
(ずいぶんと美味しそうに食べる人です)
2人は食べ終わると食器を片付け教室に向かった。
要が教室に入ると既に仁は座っていた。
「仁、もう来ていたんですか」
要を見つけると仁はあはは、と笑い答えた。
「うん。急いで準備してたら意外に早く終わっちゃって」
要と雑談をしていると大和が教室に入り着席した。
(っ……)
大和はこちらを見るとニヤッと笑い授業の準備を始めた。
あと少しで神通先生が来るだろう
(後で話そう…)
午前の授業をモヤモヤとした気持ちで受け昼休みになった。
「仁、一緒にお昼食べましょう?お弁当の感想も聞きたいので。」
授業終了のベルが鳴るとすぐに要が誘ってきた。
「うん。いいよ。みんな呼んで食べようか」
(うぅ…みんなですか…)
要は内心でがっかりしながらも笑顔で応えた。
「大和、君も一緒に食べるだろう?」
「あぁ、ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ!」
大和は嬉しそうに笑みを浮かべ応えた。
「要、他の3人も呼んできてくれないかな?」
仁が頼むと一瞬困った顔をしたがしぶしぶと答えた。
「わかりました。中庭で待ってて下さいね?」
「うん。わかってるよ」
要が3人を呼びに行くと仁は真剣な表情になり口を開いた。
「大和、君に話がある」
「ん?何だ?」
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