僕、聖騎士もハーレムも目指します

ナルミン

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第1章 騎士見習いの誕生

7.魔法発動

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紅葉は遂に自分の番だとやる気に満ちていた。
「よ~し、やっと私の番だね!」
だがそれを制止する様に要が口を開いた。
「いえ、仁も結構体力を使ったので一旦休みましょう。」
「うん。僕もさすがに疲れたよ」
それもそのはず。新入生トップレベルの戦いを連続で繰り広げたのだから。
「はーい」
紅葉も納得したのか快く返事をした。
要は演習場の大時計を見ると針は5時を回っていた。
「寮の門限は7時ですし30分程休みましょう」
と言うことで4人は雑談を始めた。


それから20分ほどが経った。
仁の視界にある人影すが写った。
「あれ?あそこに居るの神通さんだよね?」
金髪に蒼眼で肌が白いという特徴的な外見は結構目立つ。
「あら?本当ね。キョロキョロしてどうしたのかしら?」
冬の言う通り落ち着きが無く周りを見ている。
「ちょっと行ってくる。」
仁はそう言うと大和の所へ歩いていった。
「彼、誰にでも話しかけに行くのね」
冬の言うことに桜も同意見だった。
「本当ですね。クラス最強ってだけあって怖い人なのかもと思ってましたが全然優しいですし♪」
「ねぇ~お姉ぇ怖い人だったらどうしようって涙目だったもんね~」
「ちょっ!?紅葉!?なんでそういう事言っちゃうんですか!?」
たわいもない会話を聞き要は少し安堵していた。
(皆さん悪い人ではないようですね)
「でも良かったじゃんお姉ぇ。優しくて。どうせお姉ぇの事だし気になってるんでしょ?」
(前言撤回!やっぱり好敵手です!)
すると仁が大和を連れて戻ってきた。
「あら?どうしたの?」
「それが、神通さんも手合わせしたいって…」
「あ、俺の事は大和って呼んで貰って構わないよ。よろしく!」
「そうなの、よろしくね」
「「よろしくお願いします」」
「お~よろしく~でも先は私だかんね?!」
「全く…分かってますよ。仁はもう大丈夫ですか?」
「うん。大分回復したかな。」
仁はそう言うと立ち上がり演習場の中心へ歩いていった。
「ではお2人とも、霊装を構えて下さい。」
「来てくれ、獅子王!」
「おいで!岩甲蛇(がんちゅうじゃ)!」
紅葉の手に右と左どちらにも刃が付いている 双頭刃(そうとうじん)の霊装が顕現した。
「ねぇ桜さん?」
「…?何でしょうか、冬さん」
「紅葉ちゃんってどんな戦い方なの?」
「ん~そうですね、力でねじ伏せるって感じですね♪」
冬の問に桜は笑顔で答えた。
「仁君!よろしくね!」
「はい。よろしくお願いします」
「では、用意は良いですか?試合、開始!」
紅葉は開幕と同時に走った。それと同時に仁は全神経を自分の眼球に集めた。
(今度はミスをしない…しっかりと力を測り受け流す…)
「ハァァ!」
紅葉は仁に刃を振り下ろした。
「フッ」
仁は短く呼吸すると剣撃を刀で受け止めた。だが力を入れ過ぎず、かつ抜き過ぎず。受け流す事に成功した。
(よし!この隙を突く!)
だが紅葉は受け流された威力を殺さず剣を半回転させた。
仁の目の前に刃が迫ってきた。
「なっ!?」
次の瞬間、鋭い金属音が鳴った。
仁は辛うじて刀の刃元で防いだのだ。
「おぉ~仁君なかなかやるね~流石1位」
紅葉は煽(おだ)てる様に言うと構えた。
(ダメだ…調子が狂う…)
どうしてもバトル中とは思えない喋り方に戦意を削がれてしまう。
(こんな事じゃダメだ…)
そう思い仁は聴覚の機能を殺しその分の意識を眼球へと移した。
そして刀を構えた。すると仁の胸の辺りに小さい光が灯った。
(よし。準備は出来た)
「ふぅ…行くよ!」
仁はそう言うと地を蹴った。
相手との間合いは2m。仁が目を瞑った次の瞬間仁の胸の光が膨張し辺りを光で埋め尽くした。
「なっ!?」
紅葉は視界を奪われバックステップで一旦引いた。
「これは仁の魔法ですか!?」
要の声に冬が落ち着き答えた。
「要さん、そもそも魔法って何か知ってる?」
「え?えっと、昔存在した5人の女神が与えた物…ですか?」
「ええ。じゃあその5人の女神は?」
「風のシルフ、火のイフリート、水のセイレーン、闇のベルセフォネ…あ!光のアグライア!!」
「そう。この世界の魔法のほとんどが風、火、水の三属性だけど稀に光か闇を持つ者がいる…」
要と桜、大和は納得の表情を浮かべた。

仁は視覚を失った紅葉に刀を振り下ろした。
沢山の血光が飛び散った。
「……仁の勝ちですね。」
「うぅ…お姉ぇ~1回もダメージ与えれなかったよ~」
例のごとく仁がおんぶして紅葉を運んできた。
「仁~疲れてないか?」
「あぁ。大丈夫だよ。えっと…神通さん?」
「大和で良いって!」
「うん。分かったよ。大和」
そうして2人は演習場の中心に移動し霊装を構えた。
「来てくれ、獅子王」
「切り裂け、アイアンナイフ」
大和の手には白い短剣よりも少し短い武器があった。
「試合開始!」
先制攻撃は大和。
大和はナイフをいくつも出し投げた。

基本的に霊装は1つしか出せないが投げナイフは別で使用者の魔力量に応じ出せる数が変わる。

仁は避けるがそこにもまたナイフが飛んでくる。しかも全て的確に首を狙って来ている。
仁はナイフを弾き、避けながら走った。
「そ~ろそろかな~」
そう大和が言った瞬間背後からナイフが飛んできた。
「っ!?」
辛うじて避け後ろを見た。
そこには大和の投げたナイフが地面に刺さっていた。それに跳ね返って来たのだ。
「これも、考えてたのかい?」
「さぁ、どうだろうね~?」
その表情からは何の思惑も感じられない。
「まだまだ行くよ~」
大和はナイフを上空に向け投げた。そのナイフは10本に増えその一本ずつがまた5本に増えた。
その数は合計50…!!!
「なっ!?」
仁は瞬間的に全神経を眼球に集め色、音、匂いを消した。
(だめだ、これでも捌ききれない)
次の瞬間、仁めがけ50ものナイフの雨が降り注いだ。

仁は一本のナイフを右肩に受けてしまった。だが血光は飛ばなかった…変わりに血液が流れた…
「っ!?」
まだ要たちには気付かれてはいない
(どういう事だ、なんで傷が!?まさか…霊現状態なのか)
大和の顔を見るがヘラヘラと笑っているだけ。
(負ける訳にはいかない…)
この戦い、負ければ普通の演習とは違う結末になるだろう。
「金剛部身!!」
仁の身体から蒼光が浮かんだ。
次の瞬間、仁が消えた。正確には注意していないと見えない速さで走った。
そして自作剣技の1つを放った。
「秘の太刀、虚空!!!」
金剛部身を発動中にのみ使える剣技。とてつもない速さで相手を切り刀を返しまた切る。これを繰り返し相手が攻撃してくれば剣速を利用し避ける。相手の剣が切り裂くのは虚空のみ。
「ぐっ…」
初めて大和の表情が強ばった。
大和はナイフを振るが当たらない。振った時には既に避けられている。
(ヤバイ…体力が…)
大和は膝を付いてしまった。
とどめとばかりに仁は大上段に構え垂直に振り下ろした。
「うっ…」
大和は霊幻状態の霊装により大ダメージを受け気絶してしまった。
そこに要が駆け寄って来た。
「仁っ!ここまでしなくても…」
「あ、あぁ。ごめん。」
その日は大和を保健室に預け全員寮に戻った。

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