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1章
4. 虫
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香り高い紅茶の芳香が、宮殿内の東棟に位置する魔法省本部、通称『麒麟』の一画にある女子隊の隊長室に立ち込める。
「それで、今日立ち寄った本当の目的は何だ?」
好物の『フレジュ』のブリュレをスプーンで掬いながら、セナは元部下に問い掛けた。アイリーンは一呼吸おいて、優雅にティーカップをソーサーに戻す。
「相変わらず、隊長は人の心を読むのが上手いですわね。尊敬しますわ」
「世辞はいらない」
素っ気ない切り返しにも慣れたものだ。アイリーンはそっとハンカチで口元を押さえ、静かに微笑んだ。
「ふふ、単に好奇心ですわ。アーチーが、近頃セナ隊長には厄介な『虫』が付き纏っていると言っていたもので」
「……」
アイリーンにとって、セナの部下として過ごした三年間は貴重な経験だった。
朝出勤したら美形が出迎えてくれて、一日中、目の保養が出来る。何かと仕事を押し付けてくるけれど、主にアイリーンが担当したのは他部署との交渉だったので簡単だった。何故なら、高位貴族の特権を余すことなく活用するアイリーンの発言に、対抗できる人間はほぼ皆無だったから。たまに「やり過ぎだ」とセナに怒られて撤回を余儀なくされたが、全てが順調だった。
発足して間もない脆弱な女子隊の基盤を強化し、その立ち位置を明確にしていく。セナの類稀なる魔剣士としての素質に触発されて、他の女性騎士達もその才能を惜しみなく発揮したし、「女だてらに」と蔑む反感も、アイリーンの社交術で即座に抑え込んだ。
隊長であるセナさえも時にはアイリーンに逆らえず、主に上流階級としてのマナーを叩き込まれた。彼女が習慣付けたお茶の時間は、その最たるものだ。
自分好みの美形と、優雅に午後のお茶を嗜む……
本音ではその時間をもっと楽しんでいたかったが、女としての幸せも大切だったので諦めた。
夫のアーチーとは、アイリーンが20歳の時に正式に婚約した。
クロノスの加護があるので本来なら免除される魔法省の入省試験を興味本位で受けて、その試験会場で初めて出会ったのだ。お互いに一目惚れだった。
アーチーは上級文官養成のクラスを首席で卒業した頭脳派で、将来は有望。ただ一つだけ、問題は彼の実家が下級の子爵家で、しかも三男だったことだ。侯爵家のアイリーンと一緒になるには少しどころか、かなり箔が足りなかった。
案の定、父親であるゼロン侯爵は娘の結婚にかなり難色を示した。だがどうしても彼と結婚したかったアイリーンは、自分の後任を彼に任せることで婚約者の出世を企んだ。
女子隊に男が勤めるのは恥だとか、そんなことは知った事ではない。あくまでセナの信頼される副官として働けばいいのだ。飛ぶ鳥を落とす勢いの女大佐の横にいれば、必然的に知名度が上がる。王族に、特に王妃に寵愛されている彼女の補佐を完璧にこなしていけば、やがてアーチー自身も認められるだろう。
それにアーチーは文官としてとても優秀なので、絶対にセナの役に立つと思ったのだ。
自分が寿退職することで、セナが困らないように。
平民出身のセナは貴族との駆け引きが苦手だから、それを肩代わりする調整役がいる。セナの辞書に、『世渡り社交』とか、『歓心を買う』とかいう文字は載っていないのだから……
王妃をはじめとする王族の前でも自然体で媚びもせず、施される恩恵に感謝はするが、そのことを当てにしたり、まして当然のこととして周りに驕ったりしない。あるがままに飄々と、手にした地位をひけらかすこともなく。誰に対しても変わらない態度で接する平民が、侯爵令嬢には新鮮だった。
体を動かすこと以外の多くが不得手で、要領が悪い。出来の悪い子ほど可愛いというか、「私が何とかしてあげなきゃ」と母性本能を擽られ、気が付いたらどっぷりハマっていた。それもこれも、セナが同性のくせに男前だからだ。
アイリーンにとってセナは、幼い頃に夢中で読んだ絵本に出てくる、白馬に乗った王子様だった。憧れるのに、絶対に手に入らない存在。
その永遠のアイドルに『虫』がついたと聞いて、アイリーンは居ても立っても居られなくて真相を確かめにきたのだ。
元部下の言葉に、露骨にセナの眉間に皺が寄った。「やっぱり……」と、アイリーンは憤って詳細を追求する。
「わたくしの大切なセナ隊長に迷惑をかけるなんて、なんて身の程知らずな輩なのかしら!」
アーチーが、「ここ最近、特にしつこく付き纏っている」と溢していたから、アイリーンはなかば当然のように、セナに嫌がらせをしているのは男だと決めつけていた。
「どこのどんな男ですの? 何でしたら、わたくしが根回しして遠くに左遷いたしますわ」
アイリーンの高飛車な発言はいつものことだ。セナもアーチーも慣れたもので、その部分に関してはもはやツッコむこともしない。
「左遷も何も、まだ確証がないんだ。もう少し様子をみなきゃ、もしかしたら私の勘違いかもしれないし」
「……では、犯人は分からないということですか?」
「いや、それは心当たりがある」
即答だった。
「?」
「こんなことを出来るのは、アイツしかいないんだがな……」
セナの歯切れが随分と悪い。
「だけど、何です?」
「目的が分からないんだ」
「目的?」
「ああ……」
煮え切らないセナの返答に、アイリーンは首を傾げるばかりだった。
確信はないが、犯人の心当たりはある。では付き纏われていると思うその根拠は何だろう?
「結局のところ、一体、何があったんです?」
「だから、虫だよ」
「??」
ますます意味が分からない。アーチーに解説を求めて視線を向けるが、彼もいまいち要領を得ていないのか、困り顔で「うーん」と唸るばかりだった。
「いや、僕にもよく分からないんだ。隊長が言うには、最近部屋に虫が入ることが増えたと……」
「虫? え、本当に、言葉通りに『虫』ですの?」
「ああ、小蝿? らしいよ。僕はあんまり、飛んでいても気が付かないんだけど」
「それは……」
小蝿に付き纏われるなんて普通ならあり得ないだろう。だが野生の感が鋭いセナのことだ。何かそう思う証拠があるのかもしれない。
「ああ、ほらまた……」
2個目の甘味に手を伸ばしながら、セナがふと明後日の方向を見つめてうんざりとため息を漏らした。
「きっとアイリーンが来たから、偵察にきたんだろうな」
そう言って、セナは後ろ髪を纏めている赤い魔石のついた簪の一本を手に取ると、魔力を通して炎の小玉を出した。ピュンと飛び出たそれが、ポンっと小さく空で弾ける。
「……」
何もない……
どれだけ目を凝らしても、そこにあるのは普段通りの変哲もない隊長室だ。
ポカン……とその空虚を見つめて。次に、何事もなかったかのように美味しそうに小さなチェリータルトを頬張るセナを見つめて。
アイリーンとアーチーは、二人して「分かる?」「分からない」と小さく首を振りながら、困惑げに顔を見合わせた。
「それで、今日立ち寄った本当の目的は何だ?」
好物の『フレジュ』のブリュレをスプーンで掬いながら、セナは元部下に問い掛けた。アイリーンは一呼吸おいて、優雅にティーカップをソーサーに戻す。
「相変わらず、隊長は人の心を読むのが上手いですわね。尊敬しますわ」
「世辞はいらない」
素っ気ない切り返しにも慣れたものだ。アイリーンはそっとハンカチで口元を押さえ、静かに微笑んだ。
「ふふ、単に好奇心ですわ。アーチーが、近頃セナ隊長には厄介な『虫』が付き纏っていると言っていたもので」
「……」
アイリーンにとって、セナの部下として過ごした三年間は貴重な経験だった。
朝出勤したら美形が出迎えてくれて、一日中、目の保養が出来る。何かと仕事を押し付けてくるけれど、主にアイリーンが担当したのは他部署との交渉だったので簡単だった。何故なら、高位貴族の特権を余すことなく活用するアイリーンの発言に、対抗できる人間はほぼ皆無だったから。たまに「やり過ぎだ」とセナに怒られて撤回を余儀なくされたが、全てが順調だった。
発足して間もない脆弱な女子隊の基盤を強化し、その立ち位置を明確にしていく。セナの類稀なる魔剣士としての素質に触発されて、他の女性騎士達もその才能を惜しみなく発揮したし、「女だてらに」と蔑む反感も、アイリーンの社交術で即座に抑え込んだ。
隊長であるセナさえも時にはアイリーンに逆らえず、主に上流階級としてのマナーを叩き込まれた。彼女が習慣付けたお茶の時間は、その最たるものだ。
自分好みの美形と、優雅に午後のお茶を嗜む……
本音ではその時間をもっと楽しんでいたかったが、女としての幸せも大切だったので諦めた。
夫のアーチーとは、アイリーンが20歳の時に正式に婚約した。
クロノスの加護があるので本来なら免除される魔法省の入省試験を興味本位で受けて、その試験会場で初めて出会ったのだ。お互いに一目惚れだった。
アーチーは上級文官養成のクラスを首席で卒業した頭脳派で、将来は有望。ただ一つだけ、問題は彼の実家が下級の子爵家で、しかも三男だったことだ。侯爵家のアイリーンと一緒になるには少しどころか、かなり箔が足りなかった。
案の定、父親であるゼロン侯爵は娘の結婚にかなり難色を示した。だがどうしても彼と結婚したかったアイリーンは、自分の後任を彼に任せることで婚約者の出世を企んだ。
女子隊に男が勤めるのは恥だとか、そんなことは知った事ではない。あくまでセナの信頼される副官として働けばいいのだ。飛ぶ鳥を落とす勢いの女大佐の横にいれば、必然的に知名度が上がる。王族に、特に王妃に寵愛されている彼女の補佐を完璧にこなしていけば、やがてアーチー自身も認められるだろう。
それにアーチーは文官としてとても優秀なので、絶対にセナの役に立つと思ったのだ。
自分が寿退職することで、セナが困らないように。
平民出身のセナは貴族との駆け引きが苦手だから、それを肩代わりする調整役がいる。セナの辞書に、『世渡り社交』とか、『歓心を買う』とかいう文字は載っていないのだから……
王妃をはじめとする王族の前でも自然体で媚びもせず、施される恩恵に感謝はするが、そのことを当てにしたり、まして当然のこととして周りに驕ったりしない。あるがままに飄々と、手にした地位をひけらかすこともなく。誰に対しても変わらない態度で接する平民が、侯爵令嬢には新鮮だった。
体を動かすこと以外の多くが不得手で、要領が悪い。出来の悪い子ほど可愛いというか、「私が何とかしてあげなきゃ」と母性本能を擽られ、気が付いたらどっぷりハマっていた。それもこれも、セナが同性のくせに男前だからだ。
アイリーンにとってセナは、幼い頃に夢中で読んだ絵本に出てくる、白馬に乗った王子様だった。憧れるのに、絶対に手に入らない存在。
その永遠のアイドルに『虫』がついたと聞いて、アイリーンは居ても立っても居られなくて真相を確かめにきたのだ。
元部下の言葉に、露骨にセナの眉間に皺が寄った。「やっぱり……」と、アイリーンは憤って詳細を追求する。
「わたくしの大切なセナ隊長に迷惑をかけるなんて、なんて身の程知らずな輩なのかしら!」
アーチーが、「ここ最近、特にしつこく付き纏っている」と溢していたから、アイリーンはなかば当然のように、セナに嫌がらせをしているのは男だと決めつけていた。
「どこのどんな男ですの? 何でしたら、わたくしが根回しして遠くに左遷いたしますわ」
アイリーンの高飛車な発言はいつものことだ。セナもアーチーも慣れたもので、その部分に関してはもはやツッコむこともしない。
「左遷も何も、まだ確証がないんだ。もう少し様子をみなきゃ、もしかしたら私の勘違いかもしれないし」
「……では、犯人は分からないということですか?」
「いや、それは心当たりがある」
即答だった。
「?」
「こんなことを出来るのは、アイツしかいないんだがな……」
セナの歯切れが随分と悪い。
「だけど、何です?」
「目的が分からないんだ」
「目的?」
「ああ……」
煮え切らないセナの返答に、アイリーンは首を傾げるばかりだった。
確信はないが、犯人の心当たりはある。では付き纏われていると思うその根拠は何だろう?
「結局のところ、一体、何があったんです?」
「だから、虫だよ」
「??」
ますます意味が分からない。アーチーに解説を求めて視線を向けるが、彼もいまいち要領を得ていないのか、困り顔で「うーん」と唸るばかりだった。
「いや、僕にもよく分からないんだ。隊長が言うには、最近部屋に虫が入ることが増えたと……」
「虫? え、本当に、言葉通りに『虫』ですの?」
「ああ、小蝿? らしいよ。僕はあんまり、飛んでいても気が付かないんだけど」
「それは……」
小蝿に付き纏われるなんて普通ならあり得ないだろう。だが野生の感が鋭いセナのことだ。何かそう思う証拠があるのかもしれない。
「ああ、ほらまた……」
2個目の甘味に手を伸ばしながら、セナがふと明後日の方向を見つめてうんざりとため息を漏らした。
「きっとアイリーンが来たから、偵察にきたんだろうな」
そう言って、セナは後ろ髪を纏めている赤い魔石のついた簪の一本を手に取ると、魔力を通して炎の小玉を出した。ピュンと飛び出たそれが、ポンっと小さく空で弾ける。
「……」
何もない……
どれだけ目を凝らしても、そこにあるのは普段通りの変哲もない隊長室だ。
ポカン……とその空虚を見つめて。次に、何事もなかったかのように美味しそうに小さなチェリータルトを頬張るセナを見つめて。
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