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トウモロコシ

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「アリス」

「何でございましょうか。王様。」

「…何をそんなに怒っている。お兄様の事か?」

「もう怒ってません。」

怒るどころか、すぐ隣に『死神様』がいると思うと恐ろしい!なんとかしないと…。

「……仕方がない。これをやる。」

机の上に大きな紙袋があるな…とは思ってましたけど…
まさかその中身はトウモロコシ…

まさか餌付け…しかも安い…。

「好きではないか?」
「いえ、大好きです。」

けどさ、ここで渡されてもさ、家に帰れるのは来週なのですけれども!
調理してくれたの出そうよ…王様。

「お前はなかなか難しい女だな。」
「ではアランを…。」
「だから、無理だと言っている。」

「好きな人と結婚してもいい…って、アランには言ってたと聞きました。なのになぜ政略結婚をする事になったのですか?」

「コロコロ王国の次期王だ。見初められてしまえば、無下には出来ない。」

「結局、好きな人とは結婚出来ないということじゃないですか。王様も早く結婚なさったらどうですか?このままじゃ、姫に先こされちゃいますよ。」
「………」
そう言ったら、ギロリと睨まれた。
……しまった…結婚の話をしてしまった。
殺される…。

「俺は一生1人で生きる」
「お世継ぎは?」
「適当に誰かが継げばいい。」
「そうなのですね。」
王様!!
ナイス判断!

「マアサ様に…それを伝えて下さいませんか?」

「何故だ?」

貴方が私を好きになるような、そんなとんでもない画策をしています。…なんて口がさけてもいえません。

「好きな女性はいたことはあるでしょうし、その女性と一緒になりたいとは思わなかったのですか?」

「………」

あ、まずい。地雷元はここにあり…?

大失恋したとか、
無理やり引き離されたとか、
嫌われてるとか。

相手は女性ではないのかもしれない……

「トウモロコシ、湯がいて食べても美味しいのはご存知ですか?私、すぐに調理して持ってきます。では、しばしお待ちを。」


逃げるが勝ち!

「おいアラン!」
厨房まで走っていると声をかけられた。
「ロレッソくん。私はアリスです。」
「あ、そうなの?」
「アランはもうここに来る事はなくなったの。」
「おお、アリス完全勝利!おめでとう!」
パシパシと私の肩を叩く少年ロレッソくん。

「いたくているんじゃないよ。王様じきじきに命令されたら断るなんて出来ないじゃない……」
「そんなにも愛されてるのか……常に自分の側におきたい…と。溺愛されてんのな。」
「ほんの少し優しさはいただきましたよ。」
「少し?」

私は紙袋の中身を見せた。

「…トウモロコシ5本…安っ!」

率直なご意見ありがとう。
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