買い食いしてたら、あっというまにお兄様になりました

シンさん

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好きとか嫌いとか2

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お兄様は次の日で終了した。

雑用で働いてた分の給金を貰ったけど、ものすごい額!!

「あの、こんなに貰うのはちょっと…、遠慮したいんですが…」 
「これでも少ないくらいです。ファビアン王の雑務をこなしていたのですから……。」

書類片付けただけなんだけどな…。
それにしても、見送りに来てくれた皆のようすが少し変な気が…

「どうかしましたか?」
「あの……ここに残っては頂けないでしょうか!」
「え…なんで?」
「いや…その…」
「…ああ…さみしいし…」

目が泳いでる…。王様と仕事をするのが怖いんだ…。さては私の役目を引き継ぎたくないんだな。


「アリス」
「はい。」

マアサ様が私に寂しそうに言った。

「貴女がお姉様になる…そんな日は来そうにありませんわね。」
「はい…。マアサ様、今日までありがとうございました。」
「…『様』を付けずには呼ばないのね。」
「庶民ですから。では、失礼します!」

そう、私はもともとお兄様じゃない。城下の娘だ。住む世界は違う。


カタカタと馬車が揺れる。

「あの…王様、馬車に乗ってまで送ってくれなくても大丈夫ですが…。」

何故か王様は馬車にいて、2人きりだったりする。護衛はいらないのかな…。まさか、最後のお仕事!!

「アリス…1つ、言い残した事があった。」
「…何でしょうか。」
「俺は変人だ。」
「ん…?変な人じゃないですよ。何を言ってるんですか。」
「…解らないままでいい。」
「そうですか…」

そんな風には見えないけど。
何だか寂しそうだし。

「そういえば、宿題。答えはなんだったんですか?」

マアサ様の宿題の答えも忘れてた。

「答え…、そうだな。もし今度会えたとしたら答え合わせでもするか。」
「今度…」

もうそんなのないのに…。

「わかりました!考えておきます!」

カタカタと揺れていた馬車が止まった。

「王様っ!これからも王様を頑張って下さい!」
「王様を頑張る…。」
「王妃探しも、世継ぎ問題も、政も、まぁ色々やるのが王様です。買い食い出来ない職業。」
「買い食いは出来ないな…。」
「…食べたかったなら、私と出掛けた時に食べればよかったんですよ。最後のチャンスだったんです。」
「……」

何でそんな寂しそうな顔をするんだろ。

「来年の祭の日はトウモロコシ食べながら手を振ります!じゃあ、今日までありがとうございました。」
ゴンッ
「イタっ!」

…ドアで頭を打ってしまった。最後にかっこよく帰るはずが…。

「…はは…っさようならっ!!」
「アリスっ!!」

王様に呼ばれたけど、止まらなかった。

いつもの買い食いコースを駆け抜けて、まっすぐ家に帰った。

お金だっていっぱいもらったし、帰る時は何を買おうか決めてたのに、何も買わずに帰ってきた。

「はは…頭強く打ったのかな、涙が…。これくらいで、変なの。」
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