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お祭り

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早いもので、あれから1年。私の髪は10㎝のびた。
もともとボサボサだからキレイなストレートではないけど、『アリスを可愛くしようの会』が発足されている。
本当に仲のいい子達は、私にケンカをしてくれとか言ってなかった。気がつくのが遅すぎる…と怒られもした。

今日はお祭りだ。
焼きトウモロコシを2年ぶりに食べられる。

王様もマアサ様も見れる。

「ふふふ」
「何笑ってるの?」
「べつに、何でもない。」
「変なの。そうそう、マイクがアリスをお祭りに誘おうかって話になってるらしいよぉ~」
「……」
「アリス?」
「え?だって私はアリスだよ?」
「それ以外ではないわね。」
「そうじゃなくて、お祭りに誘うとかありえないよ!」
「…何で?」
「だって、私なんて男の子みたいだし、それに私にケンカばっかり売ってきた男なんだよ?」
「好きだから相手してほしかったんじゃないの?」

何それ、どういう愛情表現なの…。

「私みたいなのを好きになるなんて変人だよ。」
ガタン
「それじゃ俺は変人だな。」
「なに、まさか本気で誘いに来たの!?」
「うるせーぞ!リナ!!」
「アリスは城でカッコいい人いっぱい見てるだろうし、難しいかもね~。…ん?アリス?」

『俺は変人だ』…そう王様が言ってた。
それは、私の事を好きだって事だったのかな。
もう知る事なんて出来ない。答えなんて出てこない。
手を振るだけで、精一杯なんだから。答えは考えない事にしよう。

「私…今日お祭り行くのやめとく…。ごめんなさい!」
私は2人を残して部屋を出た。

…焼きトウモロコシを買って、1番よく見える場所に行こう。
皆と買い食い出来ないけど。今日はそれでもいいや。



「行っちゃったわね。」
「え?俺…ふられた感じ?」
「もともと眼中にないわね。」
「その言い方…酷すぎる。」
「アリスは『危ないからケンカをするな』って言われたからしなくなったのよ。その一言でアリスを護れる男に勝てるわけないじゃない。」
「男かわかんねぇだろ。」
「…男に決まってるでしょ。じゃなきゃ可愛くなろうとするわけないわよ。」
「…お前、昔から可愛くないよな。アリスは性格も可愛いのに。」
「あんた、もっと早くに告白しておけばよかったのに…。」
「うるせぇ。」
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