この婚約、白紙に戻させていただきます

シンさん

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レナードの魔法3

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 私の魂の一部がルルにあるなら、レナードは私の過去も知っていて結婚したいと思ってくれてるのかしら……。自分から過去の話はしたくないから、聞かないけどね。

「レナード、ブレスの外し方を聞いてきて」
「嫌です」

 レナードの方が私より頑固だよね。……こういう所はガスパールに似てるわ。
 はぁ……。ガスパールと似てる所があればあるほど、私はレナードを好きになれない。 

「回復魔法や治癒魔法を使える人は、私の他にもいるのに、何故私を連れて来る必要があったの?」
「……この国にはもう、それを使える人がいません。それどころか、今まともに魔法を使える者は近衛兵くらいです」
「冗談でしょう?私が森番につく前には、履いて捨てるほどいたわ」
「それは、逢魔が刻の森の魔力が人に影響を与えていたからです」
「今も森には魔力があるじゃない」
「そうですね」

 もしかして、私が番人になった事が関係してるのかしら。
 でも、私があの森でやってたことなんて、魔力で育つ木を植林して、定期的に切り倒す作業だし、関係ないよね。森の魔力を一定に保つ為の仕事だし、魔法使いが減る原因にはならないはずよ。

「何か理由があるの?」
「おそらく、魔力を保持できる機能が人体から消え始めています」
「特別な機能なの?」
「今まで国民は多少なりとも魔力を持っていたので、誰も考えもしなかっただけです。気付かなかった……というのが正しいかもしれません。」
「どういう事?」
「人間は進化します。魔力を保持する機能がなくなった事も、環境に適した身体に徐々に進化した結果です。逢魔が刻の森の強力な魔力に耐えられず死ぬ者が、急激に減ったのも事実ですから。あと20年程で、逢魔が刻の森に番人は必要なくなると思います」
「20年後には、魔法使いは殆ど生まれなくなるって事……?」
「この50年で魔法使いが生まれた率で考えれば、おかしな話ではありません」
「……そう」
「これから、便利になればなるほど、魔法を必要としなくなる」
「王都は魔法を使わなくてもいいくらい、便利になったって事?」
「いいえ。そこまで便利にはなっていません。でも、考えてみてください。リュシルは料理を全て魔法で作りますか?」
「窯に火をつけたりするのには使うけど、料理は自分でするわ。魔法だといつも同じ味だし」
「窯に火を付けるのは、魔法が無くても出来ますよね」
「うん」
「魔法が無くても、人間が出来ることは多々あるんです。もちろん、今までより時間も体力も必要になりますが。」

 確かにそうだけど……

「でも、魔法がないと出来ないこともあるわ」
「もちろんあります」
「だったら、魔法が使える事は悪いことはないじゃないよね……」
「何でも魔法で出来るというのは、種の進化をそこで止めてしまう事なのかもしれません。現に、魔法に頼りすぎて医療を学んでこなかった付けが回ってきてる」
「……」
「生き物は進化が止まると滅びるのだと、祖父から教えられました」
「魔法が進化すれば?それなら、困らないじゃない」
「人の生存本能が『魔法は必要ない』と、そう判断したという事です」


 そうだとしても、魔法を否定されてしまうと、私は存在意義が無くなる。だって、私の価値はそれしかないのに。

「リュシル、真っ青ですが、まだ辛いですか?」
「森の番人が必要無くなるのがあと20年なら、王子様の病を治した後、私は死ぬまで森に戻るわ」
「リュシルは俺と」
「結婚なんてしない。出来るわけ無い。……理由は解るでしょう?ルルに、私の記憶があるなら、私が何をしたか知ってるでしょ……」
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