結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん

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婚約者の思惑2

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逃げよう。
「失礼します!」
「え?ちょっとニナ、まって!」
待ちません!
「待てって!」

捕まりました…。

「何故急に逃げる?」

「…泣き顔なんて見られたくの。」

鼻水もでてたもの。目だけじゃなく鼻も赤いはずよ…

「何があった?」
ただのホームシックだなんて恥ずかしくて言えないわ。
「クールの事か?」
「…クール様?」
何故ここでクール様が。
「俺じゃなくて、クールの勝ちを望んでいた。だから泣いていた…のか。」
「違いますよ。」
「そうなのか?」
まさかそんな事で泣いてると思うなんて…。
「では何故泣く?」
「教えるつもりはありません。」
「…まぁ、無理強いはしない。」
よかった…。
伯爵が帰るまでに、目を冷やさなきゃ。
「2人で会う日は殿下の都合のいい日時に合わせますので、ご連絡お待ちしております。では。」

大した事ではないけれど、故郷を思う気持ちまで聞かれたくはないもの。



伯爵を待っていると、さっき庭で女性と抱き合っていた男性が通りかかった。隣には奥様らしき人がいる。さっきとは別の女性。何だかな複雑な気分。気持ちがどうであれ、隠れてでも会いたいと思う相手。

あの奥様はまるで将来の私ね。



その3日後、私は城にいます…。
すっかり忘れていたけど、『ニーナに会って婚約破棄の話をする』って、クリフと約束したんだよね。
クリフがボナースに来れないから、私が出向く事になったのだけど…
エドワードもいるのよね。城に呼ばれてる時点で解ってはいたけど…。
まぁいいわ。今日はニーナとして来ているんだもの、嫌みな伯爵令嬢を演じるのよ。

「やぁ、会えて嬉しいよ。」
「私はそれほど喜びはございません。」
エドワードって、本当にニナとニーナは別人だと思ってるのかしら。普通確かめたいなら『2人で来い』って言えば済む話よ。なのにそれをしない。
クリフは絶対解ってるのに…。


「婚約破棄の話はどれくらい進んでますか?」
「申し訳ないがそれは無理なんだ。だから解決策として俺はニナと結婚する事にしたよ。君とそっくりだから、きっと問題ない。」
…嘘でしょ
「そんな、替え玉みたいな事…出来るはずはありません!」
絶対嫌よ、そんなご都合主義が通ってたまるもんですか!
「ニナがニーナとして結婚すれば、君は俺から離れられる。自由だ。」
「………」
本気じゃ無いわよね。こんな馬鹿げた事を堂々と…この国の未来は終わってるわ。
クリフ、何か言いなさいよ!
『馬鹿な事を言わないで下さい!』とか言うのが貴方の務めよ!
「それでは私の家族に迷惑がかかってしまいます。正式な手続きを踏んでから、ニナ様に求婚なさればよろしいではありませんか。」

けれど、ニナとして王太子に求婚されれば断れないわ。
……ちょっと待って。
あの賭けの、『2人きりで会いたい』って言ってたのって、これと繋がりがある訳じゃないよね…?
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