上 下
113 / 120
本編後の小話 全18話 現在10話

マール君

しおりを挟む
「マール君!久しぶりだね。」

コクンとマール君がうなずく。

「最近は虫の図鑑は作ってる?」

またコクコクと頷く。

少し声が出るようになった…って手紙には書いてたけど、簡単な事じゃないよね。今度あったら声が聞けるかな。
楽しみが増えたわ。

「ニーナ!久しぶりだね。元気だったかい?」
「お久しぶりです。伯爵!ここにいた時と同じくらい元気です。」
「それはよかった。帰って来てくれて嬉しいよ。マールが淋しがってるだろうと、何度か陛下が来てくれてたんだよ。」
「エドワードが?」
「『もうすぐニーナが帰ってくる』ってマールに言っていたよ。」
「そんな事を…」
「『結婚するから』…とも言ってたよ。」
「……」
「君が王妃になったら、こんな風に気さくに話す事は出来なくなるね。」
「それは公式の場でだけで、ここでは『教育係のニナ』ですから。今までと同じでお願いします。特にマール君には言ってて下さい。」
「君はいつも面白いな。」
「ふふ、そうでしょうか。」
「マール君の声は少しずつでも出ていますか?」
「ああ、診てくれている医師がとてもよくてね。」
「それは良かった。あ、マール君が呼んでるので行ってきます。」

おいでおいでするマール君。

『お茶にする』
そう、お喋りノートに書いている。

「うん、そうしようか。」

何故かいつもより嬉しそうなマール君。
お茶より外で遊ぶ方が好きだったのに、それだけ成長したって事よね。

奥様とマール君と私、丸テーブルを3人で囲んでいて、そこには沢山クッキーがおいてある。私が好きだから用意してくれたんだわ。

嬉しくてニコニコしていると、トントンと肩をたたかれた。

『クッキー、僕が作った。』
ノートに書いてある。

「………これを全部っ!?」

コクコクと自慢気に頷くマール君。

「ありがとう!」

お礼を言うと、ニコニコと笑ってくれた。



「長居してしまってすみません。今日は楽しかったです。マール君またね。」

「……また…ね」
「っ!?」
「ふふ、『驚かしてやる』って、最後まで喋らなかったんだよ。」
「…っ凄い!!マール君凄いよ!!」

驚くよりも抱きついて泣いてしまった。




「ニーナ、その目……どうした?」

「嬉し泣きよ。」

「マールくんと出来たのか。」

「そうよ。」

私より先に喋ってるなんて、ちょっと悔しい!
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

最強の赤ん坊決定戦

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,086pt お気に入り:4

狂わせたのは君なのに

BL / 完結 24h.ポイント:227pt お気に入り:541

邪神が願いを叶えます(嫌がらせで)

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:1,192pt お気に入り:5

【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,704pt お気に入り:4,702

凄い人を決めよう

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:553pt お気に入り:2

中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:14

織田信長 -尾州払暁-

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:213pt お気に入り:9

残念な配信者たち

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:596pt お気に入り:2

お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

恋愛 / 完結 24h.ポイント:355pt お気に入り:4,637

処理中です...