結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん

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本編後の小話 全19話

指輪

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 今から…エドワードの部屋に行くんだけど…。

 ケイトが何だかいつもより張り切っていたわ。
 ふわっとしたワンピースを選んでくれて、普通にエドワードに会いに行くだけ…って感じにも見えるし、そのまま部屋で寝ても苦しくない…そんな服だわ。
 何でもお見通しよ。恥ずかしい。


 コンコン
「ニーナです…」

 ドアの前にレオンがいるし、恥ずかしい。
 こういう時って、男性から部屋に来てくれるんじゃないの?
 まぁ、遠くないから色々な人に見られる事は無いのだけど。

 …きっとエドワードは気を使ってくれてるんだわ。『来て』であれば、嫌だった時『今日は行かない』と逃げられるもの。

「ニーナ、よく来たね。」

「……うん」

「座って、お茶を用意してるから。」

「ありがとう。」

 少し薄目の紅茶を用意してくれていた。教えた覚えも聞かれた覚えもないのに、それが好きだと知っていてくれるのは嬉しかった。
「……」
 緊張するわ。エドワードは、そういうつもりじゃないかもしれないじゃない!普通にしないと!

「最近ボナースへは行った?」

「ええ、1週間くらい前にね。」

「リト君とソラト君は、俺の事嫌ってるだろ?」

「…うん。どうしてかしら。」

「さてね、俺の勝ちだからかな。」

「…何を勝負していたの?」

「べつに。」

 何だか本当に勝ち誇った顔をしているわ。

「そうだ、今日お買い物に行った時にね、マール君おすすめの『変なお菓子』が売ってたから買ってきたの。」
「そう、なら今度一緒に食べようか。」
「うん」…そう返事をする前に、軽く口付けされた。
「指輪は明日の朝…交換しよう。」
「…あ…の、」

 それって……

「言ってる意味、解ってくれる?」

 頑張ってここまで来たんだから、逃げてばかりいては駄目よ。

「……ぅん」

「ありがとう。」

「…」

 エドワードがとても優しく笑うから、よけいに恥ずかしくなってきた。

「では、選んでくれるかな。」

「…何を?」

「自分でベッドまで行くか、俺に抱えられて行くか。」

 いっぱいいっぱいの私に、そんな事を聞くなんて酷すぎよ!!

「あ…歩いて…行くわ…」

「では、手を繋いで行こうか。」

「……」

 1人でも行けるけれど、
 握っていてもらう事にするわ。

 ポスっとベッドに腰かけるものの、どうしたらいいのかしら…。

「ニーナ」

「……」

「こっちを向いて。」

「……」

 エドワードの顔を見ると、凄く真剣だった。

「最後だよ。…今ならまだ逃げられる。俺も待つ。」

 エドワードが繋いでいた手をそっと離した。

『待つ。』そう言ってくれる気持ちが嬉しかった。

 私はエドワードの手を握りなおした。

「わたし…は、一緒にいた…っ!?」

 最後まで言う前に、深く口付けされた。

「そう、なら逃がさない。」

「…っ!」

 少し臆して『待って…』と言ったけれど、もうその腕から逃がしてくれる事はなかった。
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