侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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敵と味方3

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トーマは30分ほどで、私達のいる部屋に戻って来た。

「叔父様と話は出来た?」
「ああ。」
「怒っていなかったでしょう?」
「『馬鹿だ』とは言われたけどな。」
「的確ね。」
「……ルーナが学園寮から脱走して退学になったとも言ってたぞ。」
「転校しただけよ…。」

退学の事は学園側が隠してるはずなのに、何故知っているのかしら。

「その嘘情報はどこから手に入れたの?」
「叔父と学園長は友人だ。」

…それじゃ筒抜けよね。
もしかして、それを知ったから快く離縁を許可してくれたのかしら。

「退学女に侯爵夫人は相応しくないわね。これでいつでも円満離縁よ。」
「そうだな。」

そんな所が意外と気に入られている…とは、言えないトーマだった。

・・・・

叔父様と話を終えて邸に帰る馬車の中で、気になっている事を聞いてみた。

「公爵の裁判にどれくらいの期間が必要なのか、大まかな予定はもう立てられてるの?」
「いや、取り調べは始まってるが、詳しくは何も。陛下と護衛長が、辺境伯をどう抑えるかによる。」
「そうね、まずそこを解決しないと次に進まないよね。」
「辺境では既に雪が降り始めてる。早く何とかしないと、春まで手を出せなくなる。」
「冬を越せないくらい困窮してるのでしょう?それを何とかする動きはないの?」

飢饉でもないのに、沢山の人が飢えて亡くなるなんて、考えたくないわ。

「『出稼ぎ』という名目で百人ほど侯爵領にいるが、さすがに全員は助けられない。」
「それはトーマが個人的に動いてるだけで、国は何もしていないのよね。」
「ああ。もし気付かれれば、辺境の動きが急変する可能性があるからな。」
「……いつまでも対応を先伸ばしにしてきたのは、辺境を弱らせる為かしら。」
「だろうな。」

あまりにも貧しくなると、隣国と手を組んだりする確率が高い気がするけど、その辺りは上手く動いてるのかしら。手を組むより先に、辺境が乗っ取られる可能性だってあるのに。

まぁ、その辺りは私が考えてもどうにもならないわね。今は子供達の事だけ考えよう。
子供……。

「ねぇ、正直に言ってほしいのだけど、私って怖いかしら?」
「怖いな。」

即答…。

「どうしたんだ?」
「エミリーに泣かれちゃう理由を考えてるの。何か妙な気配とか暴力的なオーラがあるのかもしれないと思って…。」
「何も感じないが。」
「理由もなく嫌われてるなら、それが1番傷つくけどね…。」

それって本能的に受け付けないって事でしょ…。そうなるとお手上げだわ。

「マイセン、エミリーを王都こっちに連れてくるよう使いを出してくれ。」
「わざわざ連れて来なくても、私は帰るわ。」
「ルーナもそのうち陛下に呼ばれる日がくる。」
「え…、私が王様に会う必要があるの?」
「ルーナは重要人物だからな。それに、子供を助けるなら、陛下のご機嫌取りは必須だ。問題は起こさないように。」
「はい…」

侯爵夫人の重圧に、本当に耐えられなくなる日も近いわ。
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