侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

文字の大きさ
173 / 306

敵と味方2

しおりを挟む
ルーナに部屋を追い出され、結局俺は両親の事を伝える事にした。

「全てお話しします。私がルーナと結婚した理由から、今日までの事を。」

絶対に言わないと思っていた事を、全て話さなくてはいけない時が来るとは思わなかった。エミリーの事は伏せておきたかったが、それも今更だ。


俺が話を終えるまで、叔父から何か聞かれる事は無かった。

「黙っていた事、申し訳ありません。」
「話してくれて良かった。これで、私も少しは手を貸す事が出来る。」
「…怒りはないのですか?父が殺されたと、伝えなかった事。」
「両親が殺されて一番辛い思いをしたのはトーマだろう。なのに何故怒る必要がある。私からすれば、復讐などとくだらない行動に出なかった事に安心したよ。辺境伯は断罪されるようだし、放っておく。腹立たしい事にはかわりないが。」
「ですが…、自分勝手に動いてしまいました。」
「そうだな。エミリーの事は絶対にルーナさんの子だと言いきれ。頭の硬い奴らがごちゃごちゃ言い出すと面倒だ。後継ぎ問題で家が荒れるのは一番避けたい。」
「勿論そのつもりです。」

叔父が『一番避けたい』と言う事が、俺の考えていた事と違って拍子抜けしてしまった。

「ラッセンの筆頭はトーマだ。自信を持って行動すれば良い。とりあえず、今はルーナさんと離縁しない方法を考える事だな。」
「許可は頂けないという事ですか?」
「今日ルーナさんと話して、許可したくないと思ったのは確かだ。トーマにはあれくらい度胸のある娘がついていないとやっていけないだろう。どう見ても、トーマよりルーナさんの方が強い。」
「それは、違いありませんが。」
「…ルーナさんがマディソン公爵の息子を殴ったと聞いたが、本当か?」
「はい。」

レオンに聞いたのか…。

「ククク、私も見たかったな。呼んでくれればいいものを。」
「何の冗談ですか…。」

何だか、叔父の意外な一面を見た気がする。
こんな風に笑って話をする人だっただろうか。

いや、俺がいっぱいいっぱいだったから気づけなかっただけだ。自分でなんとかしなければと必死で、理解しようとしなかった。
手を伸ばせばいつでも助けてもらえたんだ。

「ルーナさんの事、本当は手放したくないんだろう?」
「そんな事はありません。俺とは別れて、農園で自由に暮らして欲しいと思っています。」

一緒にいてくれたら頼もしいとは思うが、ルーナの一生を勝手に決める事は出来ない。

「はぁ…。トーマ、お前は本当に馬鹿だな。農園で暮らすより、トーマと一緒にいたいと思わせればいいだけの話だろう。」
「……」
「そういう事に気付かない所が父親にそっくりだ。女性の好みもな。」
「母はルーナのような人ではありませんが…。」
「子供に『人を殴った事がある』と言う親がいるわけないだろう。」
「殴っていたのですか?」
「教師を殴って停学処分をうけた、前代未聞の女性だよ。」
「母が…教師を…」
「言っておくが、ルーナさんはその上を行ってるぞ。脱走して退学になってるからな。」
「……」

……どちらも聞きたくなかった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...