侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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潮風3

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「警備が多くて明かりが沢山ある南の港は、レイト伯爵の管理下にあります。夜でも荷運びに困らないし、治安も良いですよ。」

アーロの家が管理してるんだ…。

「暗い方は?」
「北の港は国が管理しています。」
「国営なのに伯爵の管理に劣るの?」
「南の港にある商船の持ち主はアレン様やホイットマン様ですから、管理費も回収出来るのかもしれません。」
「北の港は?」
「地元の漁師や細々と商品をやり取りしている者が使っています。」
「…北の港は無料で誰でも使っていいの?」
「そう聞いています。」
「許可は?」
「必要ありません。」
「簡単ね…。」

夜は暗くて仕事が出来ない。だから人は殆どいない。警備も少ない。
使用に許可も必要ない。

……犯罪には最高の場所だわ。

トライム伯爵が何故私に人身売買の話をしたのか、少し解ったかもしれない。

子爵領のあの道路は、この港町への近道として使われている。伯爵が私の行く先を想像するのは簡単だったはずよ。

国の管理する港に民間の警備は入れない。
南の港に害が出なければ、あえてアーロのお父様も口は出せない。

けれど、この国の軍隊なら話は別よ。

兵士を沢山引き連れてる今の私になら何とか出来るかもしれない…という、伯爵の淡い期待だったのかもしれない。

全て的外れかもしれないけれど、探ってみてもいいよね。

私の予想が当たっていたとしたら、巻き込まれたのはトーマとヘンリーのせいよ。
この兵士達にはきっちり働いて貰うわ。

「ルーナ様?」

護衛達が不思議そうに私を見ている。あまり深刻な顔をしては駄目ね。怪しまれるもの。

「カスターナ、今日は疲れたから近場で済ませるけど、明日と明後日は港にあるお店で夕飯を食べましょう。」
「そうですね。観光地としても人気の場なので、お店は沢山あると思いますよ。」
「だったら、明日は私についてきてる兵士、全員連れてくるといいわ。好きな物を食べていいから。」
「ですが……凄い数ですよ。」
「ええ、何十人でも構わないわよ。トーマから預かってるお金じゃ足りなさそう?」
「いえ、余るくらいの金貨をお預かりしてるので!」
「そう、なら問題ないわね。」

どれくらいあるのかしら…。

まぁ、いくらでもいいわ。
ここで使った兵士の食費は、個人的にヘンリーに請求するもの。王都に行った時、シュート君の為に買った本13冊よりもヘンリーの昼御飯にかけた金額の方が大きかったのよ。許せないわ。

護衛長の息子で伯爵家の長男なのだから、払えないなんて言わせないわよ。
絶対にね。

「兵は全員で何人いるの?」
「私を含め31人です。」
「……ん?」
「31…です…」
「そう…」

……私は小隊を連れて歩いているという事よね。
伯爵に期待されるのも納得よ。
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