侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん

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品物

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翌日10時、私はカスターナ含む5人の護衛と南の港に向かった。

軍服を着て付いて来たから、必死で止めたのよね。
今この港に兵士が沢山いると知られたくないのよ。もし北の港で事件が起きているなら、警戒されるもの。私と伯爵が話をしていたのを知られてると思うし、それだけで動かない可能性もあるけどね。

それに、兵士が沢山歩いていたら、観光に来ている人を驚かせてしまうわ。悪い噂がたつとアーロに迷惑になるもの。


馬車を降りると10mほど先にルーベンを見つけた。

「ルーナ、こっちだ。」
「ごめんなさい、少し遅れてしまったわ。」
「いや、謝るのは俺の方だ。急に仕事が入って親父は来れなくなった。」
「大丈夫よ。無理を言ってるのはこっちだもの。」

ルーベンだって忙しいのに時間を割いてくれてるんだから、贅沢なくらいよ。

「この大きな倉庫に品物があるの?」
「ああ、ほぼ棄てる物だ。」

倉庫には家具や服や食べ物、その他にも、私が想像していたよりも沢山置いてあった。

「これ、処分するのも一苦労なんだよな。」

どこかに持っていって焼却するなら、その手間賃も大きいよね。

「ねぇ、ルーベン。これは何故売れないの?」

目の前にあるソファーを見ても、何故廃棄になるのか私には解らない。

「肘掛けの部分に傷があった。磨いて色を塗ったから、わからないだけだ。」
「それを言わなければ、普通に売れると思うわ。」

何故棄てる必要があるのかしら。

「有名な職人が作った物でも、別の手が加わってたら嫌がる客が多い。どんなに繕っても、傷があったのは本当だから嘘はつけない。信用問題になる。」
「そうね。」

商売は信用が一番大事だもの。ルーベンが真面目でよかったわ。

「ルーナ、このワンピースどう思う?」

ルーベンが指差したトルソーには、淡い水色のワンピースが着せられている。

「とても素敵よ。細かい刺繍がしてあるし、高いでしょう?」
「裾が破れてたからフリルをつけて修正した。こんな物でも半値なら商品になるか?」
「半値以上でも売れるわよ。」
「ハンカチや小物も作って売るのはどうだ?高級な生地でも、端切れなら安いし。」
「賛成よ!」

凄く楽しくなってきたわ。

「ルーナがここに来ること、侯爵は快諾してたか?」
「どうして?」
「いや、嫉妬されてたら怖いし…。」
「しないわよ。」
「ルーナって男心が解ってないよな。」
「嫉妬するほど、トーマが私を好きだと思う?」
「ああ。結婚前の侯爵は殆んど本心で笑ってなかったと思うけど、最近は違うから。」

優しい侯爵を演じてるって、ルーベンには解ってたんだ。

「今は笑ってるの?」
「ルーナの事を話すとポーカーフェイスが崩れる。この前偶然会った時、『俺も殴られた』って笑ってた。」

トーマ、余計な事を…。

「殴ってないわよ。……二の腕しか。」
「大人になって人の顔面を殴る女がいるわけないだろ。」

残念だけど、ここにいるのよ。
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