BLゲームの悪役令息に異世界転生したら攻略対象の王子に目をつけられました

ほしふり

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【第六章】悪役令息の奔走

(3)悪役令息のもとに訪れる客人

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想像とは違う展開に動揺して俺の思考が崩れる。
取り繕っていた表情が引きつり、それを見逃すほどサイラスは優しいやつではない。

「これはこれは。少しは脈があるってことで、調子に乗ってもいいですかね?」
「そんなわけあるか!俺はっ!!」

握られた手を振り払おうとしたが、思いのほか力強く握られている。
その手を引っ張るとサイラスは距離を詰めて俺の耳元で囁く。

「俺は昨日の続きを期待してますよ」

背筋にぞわりと鳥肌が立つ。
わざわざ囁くんじゃない。
こいつは言葉では停止しないと悟った俺は、容赦なく身体に巡る己の魔力に電流を流した。

「痛っ!?」
「調子に乗るなよ」

サイラスは痛みによって反射的に手を放したが、俺の身体を中心にバチバチと空中に電気が光る。
フランツ相手には通用しなかったが、サイラスには十分効果があった。

「まったく、駄犬の部下も駄犬だな」

鼻先であしらうが、俺の内心は焦り続けていた。
この生活はあまりにも想像外のことが多すぎる。
俺の防衛攻撃にサイラスはジトッとした目線を投げかけてきた。

「つれないですね~」
「つれてたまるか」
「まぁ、そこがベリル様のいいところですよね!」
「…。」
「膨れないでくださいよぉ」

周りの生徒達は俺とサイラスのやり取りに対してザワザワしているが、間に入る者はいなかった。
サイラスもここまで目立つ行動を堂々と実行するなんて肝が据わっている。
リズは止めるだけの勇気はなかったが、この現状におろおろしていた。

「ベリル」

ふと名前を呼ばれて俺は振り返る。
フランツはいつもの仏頂面のまま、俺を見据えていた。
相変わらず何を考えているのかわからない表情である。

「なんだ?主の方の駄犬」
「お前に客が来ているぞ」

言いながらフランツが教室の出入り口を指差す。
そこには恨めしそうに負の波動を周りに撒き散らすエリオットの姿があった。
こちらの様子…主に俺の周りを睨みつけながら話が終わるのを待っていた。
あっちは待てができる犬だ。偉い。

(エリオットが俺の教室まで来るなんて珍しいな)

表の学園生活ではあまり関わり合いがないように、秘密倶楽部の従者として徹底している彼が俺に用があるなら…

(昨日のこと、さすがにお咎めがくるのか?)

不安を懐きながら俺は教室を出た。
廊下に出ると先程の負の感情を押し殺したエリオットに出迎えられた。
あくまでも俺の前では大人しくしようという彼の根性が垣間見えて複雑な気分になった。

「それで、エリオット先輩は俺に何の用だ?」

俺が要件を問うとエリオットが硬直した。

「うん?どうしたんだ?」

訝しげに小首をかしげると、エリオットは動揺を咳払いで正した。

「ベリル様の先輩呼びがあまりにも珍しくてグッときました」
「…要件がないなら帰るぞ?」
「すみません。それが…」
エリオットが内容を話す前に唇を引き結んだ。
「…。」
「エリオット?」
「どうやら向こうからやって来たようですね」

廊下から何人かの集団がこっちにやって来る。
俺とエリオットの正面まで来るとその集団は足を止めた。
リズたちの教室の窓からも見える位置であり、何事かとクラスメイトたちが廊下にいる俺たちの方を見ている。

「ベリル・フォン・フェリストは貴様だな?」

集団の中から代表者が一歩前に出ると俺の名を口にする。
今日は千客万来だな。
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