ターフの虹彩

おしゃんな猫_S.S

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紫電一閃 最後に咲くのは藤の花

秋華賞 古豪への足掛かりⅡ

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「勝った!シルキー勝ったよ!」

 彼女の身体から降りて、抱き着いて勝利の余韻に浸る。シルキーモーヴは少し疲れた様子だが、嬉しそうに目元が緩んでいる気がした。シルキーの上にもう一度のせてもらい、スタンド前まで行くと関係者や馬主さん、騎手さん達が出迎えてくれた。私は満面の笑みで手を振って、喜びを全身で表す。
これでクラシック二冠達成だ。オークスは悔しかったが今回の秋華賞は完勝と言えるだろう。しかも名勝負だ。記録だけでなく人々の記憶に長く残るような素晴らしいレースが出来たと思う。


◇◆◇


「シルキーモーヴ、快進撃ですね!今回はニニアソネットとは僅差でしたが……」
「そう、ですね。負けるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしてましたが勝てて良かったです」

いいライバルだと思う事と、素直にあの豪脚は見ていて気持ちいい事を簡潔に伝える。取材陣は頷きながらメモを取り、質問を続ける。

「やはり、精神が大人に近づいた事が影響しているんでしょうか?」
「……そうですね、以前よりも落ち着いて走れていますし、精神的に成長していますね。逃げ以外にも適性はあると思いますが、彼女の性格を尊重すると前目の競馬が一番良いと思います」
「なるほど……ありがとうございます。では次走についてですが、エリザベス女王杯に挑みますか?それともマイルチャンピオンシップですか?」

 間髪入れずにエリザベス女王杯と答える。理由は明白で単純なものだ。牝馬最強の座を彼女に捧げたい、それだけで充分だ。シルキーモーヴは古馬路線、牡馬混合GIレースと活躍する場所は選ばない馬だろう。

「やはり、エリザベス女王杯ですか!理由を聞いてもよろしいですか?」
「はい、シルキーモーヴは強い馬ですし、古馬と戦っても遜色ないと思います。3歳時に古馬と戦えるのはこの時期しかないので挑戦したいです」
「わかりました。藤崎ジョッキー、ありがとうございました!」
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