42 / 77
39・止めましょうよ、こういう展開は。
しおりを挟む「お待たせいたしました」
「お手数おかけいたします」
先生、軽く頭を下げられたのですが、一つ一つの挙措がとても優雅です。
土鍋の蓋を開けると、湯気と、香りと、歓声が上がりました。
仕上げに三つ葉と柚子の皮をすりおろした物を振りかけます。
「ざっくり掻き混ぜて食べてね」
ハルとリコが早速とばかりに飯杓文字を手にします。
「マリ、おこげ―!」「わかったわ」「私も是非、おこげを頂けますか」「はい、先生どうぞ」
はい、みんな揃って『いただきます!』
「何だこれは、ご飯の一粒一粒に鯛の味が染み込んでいるではないか」「鯛の身に火が通り過ぎずに、パサつかず、しっとりとしていて美味しいですわ」「…………」「マリ? 大丈夫か固まっているぞ」「鯛飯に鶏のトマト煮なんて合わないのではないかと思いましたが、とんでもないですわ」「うむ、鯛飯とトマトの酸味、甘味、鶏肉の旨味が相乗効果で抜群の相性だ」「あぁ、私分かりますわ。この筑前煮は咲が作ったのですね」「味がしっかりと染みていて実に旨い! 優しい味わいだ」「マリは先程から黙々と鯛飯を食べていますけど、あれほど『とりの、とまとーに!』と言ってましたのに如何しましたの?」「味見と称して、散々つまみ食いしていたからな、私は知っているぞ」「たこ、うめー!」「マリ! 誤魔化さないでくれます、う~ん」「リコ、どーした?」「蛸が……蛸飯も食べたいですわ」「それなら私は筑前煮で鶏の炊き込みご飯だな」「とりの、とまとりぞっと!」「マリは天才ですわ」
「えへへ」「リコ! マリを甘やかすな、鶏とトマトと言えばパスタに決まっている」「ぶーぶー!」
3人娘、相変わらず騒がしいですし、勝手な事を言い始めました。
先生はと言うと軽く目を閉じて、一口ずつ噛みしめるように味わいながら、お食べになっています。
どうやら、お気に召していただけたようなので一安心です。
「先生、お替わりよそいますか?」
ハルが尋ねましたが、先生は箸を置き小さく首を横に振って。
「ありがとう。もう結構です」
3人娘が箸を止め、不審そうに先生を見詰めます。
先生の様子が変です。
お料理には一通り箸をお付けになって、ご満足頂けたかのように見えたのですが、何かご不満がおありなのでしょうか?
「せんせー?」
先生の顔を覗き込むようにして尋ねる、マリの声が震えているのが分かります。
その時です。
先生の頬を大粒の涙が伝いました。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる