逢魔が刻の料理店/『双剣の陰陽師』『聖なる祓魔師』『厄災の魔導師』『ただの?調理師』ごきげんなスタッフが、皆様のご来店をお待ちしております!

ペンギン饅頭

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41・判断基準はただ一つです。

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 恥ずかしー!

 我に返って、思わず俯いてしまいましたが、頬が赤らむのが良く分かります。

「他にはございませんか?」

 重ねて問いかける先生の真剣な表情に、ハタと気付きました。

「あ! 申し訳ありません。個人的に思った愚にも付かなない、下らない話を長々としてしまいまして、雇い主として見た大友さんの事ですね?」

「いえ、それも気になりますが……」

 先生が視線を逸らし、言葉を探すように間を開けてから、視線を戻しましたが、半分閉じられた瞳は光を失い、酷く冷徹な印象を受けました。

「あのたちの『力』の事です」

 いけません、頭からスッポリと抜け落ちていましたので、何と言っていいか、急には思いつきませんでした。

「それが、どうかしましたでしょうか?」

「どうかした?」

 先生、眉間にはっきりと皺を寄せて、顔をしかめます。

「例えば、あの娘たちの持つ『神器』について」

「あぁ、マリのはペーパーナイフですし、ハルのはちょっと危なそうですし、やはり包丁は使い慣れた物が一番です。ただリコのロザリオは食材の下拵えに、もの凄く便利そうなので是非欲しいです」

「ぷはっ!」

 突然、先生がテーブルに突っ伏したかと思うと、激しく肩が揺れ動きます。

「クククッ」

『ぷはっ!』『クククッ』? 先生、笑ってらっしゃるのですか? え! 笑うところなのですか? しばらく先生の笑いは収まりませんでした。

「あぁ、失礼いたしました。ククッ。『神器』を調理道具と同列に語る人は初めてでしたので、ククッ。勿論、山背やましろさんの包丁が劣っているなどと言うつもりではありませんので誤解しないでください」

 先生はまなじりを拭いながらも、まだ可笑しさが止まらないようです。

「山背さん、いえ、私も日向ひなたとお呼びしてよろしいでしょうか?」

「もちろんです」

「私の事も、是非アンと呼んで、敬語もいらないわ」

 私とさほど齢は変わらないでしょうが、何せハルたちの先生ですから呼び捨ては少々抵抗ありますが、是非と言うならば、やぶさかではありません。

「あの娘たちの事、不思議には思わないの?」

「色々と不思議な事も体験したし、怖い思いもした。心のひだの隙間に他人にはうかがい知れぬ深い闇を抱えているのも分かる。でも、先生、じゃなくて、アンからその事は聞きたくないし、直接あの娘たちが話してくれるまで、いえ、話したくなるまで詳しい事は聞きたく無いの」

「何故なの?」

 何故と言われてもなぁ、ただの感情論だし、答えるとしたら一言ですかね。


「楽しくないから」
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