忘却の呪いにかかった最弱冒険者 実は…100年先の未来が視えるらしい〜未来予想が百発百中だけど自分のことは、わかりません💦〜

Ⅶ.a Works

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第2話: 忘却の旅路と初めての戦い

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第2話: 忘却の旅路と初めての戦い

リディアと共に歩き出した青年は、自分でも驚くほど軽い足取りだった。ずっとギルドの片隅で無気力に過ごしてきた彼にとって、これは久々の「行動」だった。未来が視えても、自分に直接関わることがない限り、それはただの遠い出来事に過ぎなかった。しかし、リディアとの出会いが、彼に少しずつ変化をもたらしていた。

「本当に、未来が視えるの?」

リディアが、険しい森の道を歩きながらぽつりと問いかける。

「視えるよ。ただし、100年先だけどな」

「100年先…私が死ぬほど年老いている頃の未来なんて、あまり実感がわかないわね」

「そうだろうな。でも、俺にはお前が100年後に王国を救う英雄になることが視えたんだ」

青年がそう言うと、リディアは軽く眉をひそめた。

「英雄?私が?まさか…」

彼女は少し考え込んでから、再び歩き始めた。彼女にとっても、未来の自分がどんな存在になるかなんて想像もつかないのだろう。それは青年自身も同じだ。自分の未来が視えないということが、彼にとって一番の不安要素だった。

だが、今はそれよりも目の前にある現実が問題だった。リディアは伝説の武具を探している。その武具がどんなものなのか、そしてそれがどこにあるのか、全く手がかりがないまま二人は旅を続けている。

「ところで、リディア…その伝説の武具って、一体どんなものなんだ?」

青年は歩きながら尋ねた。彼にとっても、その武具が未来にどう関わってくるのかが気になるところだった。

「伝説の武具…それは、私の家に伝わる古い話によると、かつてこの世界を創った神々が作り出したとされる武具よ。無限の力を秘めていると言われているわ」

「無限の力か…それが手に入ったら、確かに世界を変えることができそうだな」

「でも、その力があれば、悪い奴らに悪用される可能性もある。だから私は、どんな手段を使ってでもそれを手に入れて、悪人の手に渡らないようにしたいの」

リディアの言葉には強い決意が込められていた。その決意が、100年後の彼女を英雄へと導くのだろうと青年は直感的に感じた。しかし、まだ彼女はその未来を知らない。そして、今は目の前にある課題に集中しなければならなかった。

すると、突然、二人の前方で何かが動く音が聞こえた。

「何だ…?」

リディアが剣に手をかけると、茂みの中から現れたのは、巨大な狼のような魔物だった。その鋭い牙と目は、明らかに彼らを襲う意図を持っている。

「クソッ、魔物か…!」

青年は反射的に後退した。最弱の冒険者である彼にとって、魔物と戦うなど到底無理な話だ。しかし、リディアは違った。彼女は一瞬もためらわずに剣を抜き、魔物に向かって突進した。

「私に任せて!あなたは下がって!」

リディアの動きは鋭く、魔物の動きを瞬時に見極めて的確に剣を振るう。彼女の剣技はまさに一級品で、数分のうちに巨大な狼の魔物は息絶えていた。

「さすがだな…」

青年は感嘆の声を漏らした。リディアは戦い終わった後、軽く息を整えながらこちらを振り返った。

「あなた、もっと戦えるようにならないとダメよ。私が全部やるわけにはいかないんだから」

「それは…その通りだな」

青年は苦笑いを浮かべながら答えた。自分の無力さを痛感しつつ、彼はどうにかしてリディアの力になりたいと強く思った。しかし、彼には戦闘能力がない。それでも、自分にできることがあるはずだ――そう信じて、彼はリディアの後を追った。

その夜――

二人は森の中でキャンプを張ることにした。焚き火の光がちらちらと揺れ、静かな夜が広がる。

「リディア…俺、これまでただ流されるままに生きてきたけど、少し変わりたいと思っているんだ」

青年は焚き火を見つめながら、静かに口を開いた。

「変わりたい?どうして?」

「お前と出会って、自分にも何かできることがあるんじゃないかって思うようになったんだ。俺の力は、100年先の未来を視ることしかできないけど、今の俺にだって、できることがあるはずだって」

リディアはその言葉を聞いて、小さく笑った。

「あなたには、あなたにしかできないことがある。100年先の未来が視えるなんて、私には到底理解できないけど…その力があれば、きっと未来を変える手助けができるわ」

その言葉に、青年は少しだけ心が軽くなった気がした。彼にはまだ具体的な答えが出せていなかったが、リディアと共に歩むことで、少しずつ自分の居場所を見つけられる気がした。

そして彼は、これからの旅がどのような冒険に繋がるのかを楽しみに思いながら、火の音を聞きつつ、静かに眠りについた。

しかし、彼の未来視は何も教えてくれない。彼自身の運命も、これから待ち受ける困難も、全てが未知のままだ。
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