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20.どうなる? 試験結果
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「みんなであつまって海いこうよ!」
「キャンプもいいよねー」
テストが終わってからは殺伐とした雰囲気も和らぎ、クラス内は夏休みの話で盛り上がっていた。
受験勉強の息抜きをしたいからとか、思い出作りをするためにとか、それぞれが思い思いに予定を立てて過ごす高校生活最後の夏休み──なのだが。
(はぁ)
周りとは打って変わって私は浮かない顔をしていた。
なぜなら私にとって大事なのは夏休みより試験結果で、それが分かるまではとてもじゃないけどそんな気にはなれないからだ。
しかも今日は、肝心のテストが返ってくるから余計落ち着かない。
テストの自己採点はしていない。落ち込みたくも、ぬか喜びもしたくはないから。
──キーンコーン
予鈴のチャイムがやけに大きく聞こえたかと思うと、次々と生徒たちが着席するなり姿勢を正し、先ほどまで騒がしかったはずの教室が急に静まりかえった。
普段は予鈴が鳴っても席に着かない人が多いが、保健体育の授業の時はいつもこうだ。理由はもちろん、私のクラスの担当があの澤口先生だから。
だけど、教室へ入ってきた先生を見た瞬間に、みんなの緊張の糸が切れて、反対に私の緊張が高まる破目になった。
(なんで先生が……)
「なんだ、倉田かぁ」
「なんだとはなんだ! しかも教師を呼び捨てにすんな! お前、5点マイナスなー」
生徒と先生の掛け合いに教室中で笑いが起こる。
(怒るところは怒って、そうじゃない時は一緒に楽しんで……それが先生のすごいところなんだよね)
「でも、なんでセンセーが来んの?」
「澤口先生が体調を崩して休むことになってなー、代わりに暫く俺が務めることになった。点数も俺がつけたからな。赤点のヤツ、楽しみにしてろよー」
「うげぇー」
(てことは、もう点数知ってるんだ……)
「テスト返すぞー、青山!」
一人一人名前を呼ばれてテストが返却される。
喜んでいる側と落ち込んでいる側、私はどちらになるんだろうか。
「……七瀬!」
呼ばれた瞬間、心臓が跳びはねる。
「はい」
──ドクン
──ドクン
胸が波打つのを感じながら、一歩、また一歩と先生に近づく。
そして、先生の前に立った時。
「……頑張ったな、お前」
「え……」
そう言われてテストを受け取った私は、恐る恐る視線を落とす。
『100』
目の前の点数が信じられなくて思わず先生の顔を見ると、先生が黙って頷いた。
(嘘……じゃない)
大声で叫びたいほどの喜びを抑え、徐に席へ戻る。
(満点、とれたんだ……)
両手で口元を覆い隠して、机の上に置いた満点のテストを眺める。
嬉しくて嬉しくて、顔が綻んでしまうのを止められない。
「答え合わせするぞー。採点間違えてたらいいに来てくれー」
結果が分かったのだから、テストのことはもう忘れてただこれからのことを考えていれば良かったのだ。
それなのに──
(あ……)
気づいてしまった。
(ここ……私、間違ってる……)
「キャンプもいいよねー」
テストが終わってからは殺伐とした雰囲気も和らぎ、クラス内は夏休みの話で盛り上がっていた。
受験勉強の息抜きをしたいからとか、思い出作りをするためにとか、それぞれが思い思いに予定を立てて過ごす高校生活最後の夏休み──なのだが。
(はぁ)
周りとは打って変わって私は浮かない顔をしていた。
なぜなら私にとって大事なのは夏休みより試験結果で、それが分かるまではとてもじゃないけどそんな気にはなれないからだ。
しかも今日は、肝心のテストが返ってくるから余計落ち着かない。
テストの自己採点はしていない。落ち込みたくも、ぬか喜びもしたくはないから。
──キーンコーン
予鈴のチャイムがやけに大きく聞こえたかと思うと、次々と生徒たちが着席するなり姿勢を正し、先ほどまで騒がしかったはずの教室が急に静まりかえった。
普段は予鈴が鳴っても席に着かない人が多いが、保健体育の授業の時はいつもこうだ。理由はもちろん、私のクラスの担当があの澤口先生だから。
だけど、教室へ入ってきた先生を見た瞬間に、みんなの緊張の糸が切れて、反対に私の緊張が高まる破目になった。
(なんで先生が……)
「なんだ、倉田かぁ」
「なんだとはなんだ! しかも教師を呼び捨てにすんな! お前、5点マイナスなー」
生徒と先生の掛け合いに教室中で笑いが起こる。
(怒るところは怒って、そうじゃない時は一緒に楽しんで……それが先生のすごいところなんだよね)
「でも、なんでセンセーが来んの?」
「澤口先生が体調を崩して休むことになってなー、代わりに暫く俺が務めることになった。点数も俺がつけたからな。赤点のヤツ、楽しみにしてろよー」
「うげぇー」
(てことは、もう点数知ってるんだ……)
「テスト返すぞー、青山!」
一人一人名前を呼ばれてテストが返却される。
喜んでいる側と落ち込んでいる側、私はどちらになるんだろうか。
「……七瀬!」
呼ばれた瞬間、心臓が跳びはねる。
「はい」
──ドクン
──ドクン
胸が波打つのを感じながら、一歩、また一歩と先生に近づく。
そして、先生の前に立った時。
「……頑張ったな、お前」
「え……」
そう言われてテストを受け取った私は、恐る恐る視線を落とす。
『100』
目の前の点数が信じられなくて思わず先生の顔を見ると、先生が黙って頷いた。
(嘘……じゃない)
大声で叫びたいほどの喜びを抑え、徐に席へ戻る。
(満点、とれたんだ……)
両手で口元を覆い隠して、机の上に置いた満点のテストを眺める。
嬉しくて嬉しくて、顔が綻んでしまうのを止められない。
「答え合わせするぞー。採点間違えてたらいいに来てくれー」
結果が分かったのだから、テストのことはもう忘れてただこれからのことを考えていれば良かったのだ。
それなのに──
(あ……)
気づいてしまった。
(ここ……私、間違ってる……)
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